2009年のリーマン・ショック以降上昇し続けている米国株式。

アップル・インテル・ナイキなど、ダウ平均に組み入れられているような
世界的にも有名な大型銘柄は、私たちの生活の中でも身近な存在であり
企業情報も手に入れやすいので、個人投資家でも投資しやすいと思います。

ですが米国の中小型株はどうでしょう?

成長性高い企業が多数存在しているのは間違いありませんが、どのような企業があり、
その経営状況がどうなのか、日本の個人投資家が情報を入手するのはそうそう困難です。

企業の利益より株価が割安であるバリュー株を判断するのはさらに困難でしょう。

今日は、米国の中小型銘柄に投資できる米国小型バリュー株ファンド Bコース(H無)
『愛称:アメリカン・エンジェル』を徹底分析していきたいと思います。

米国小型バリュー株ファンド Bコース『アメリカン・エンジェル』の基本情報

投資対象は?

アメリカン・エンジェルは、米国の金融商品取引所に上場している株式のうち
中小型株に投資をします。

運用自体は米国にあるビクトリー・キャピタル社が行なっています。

業種別の組入比率を見てみると、金融(地方銀行など)と情報技術で約半数を
占めています。利上げや法人税減税、金融緩和など、金融業界にとって追い風となる
ニュースが多かったので、組入比率が高くなっているのでしょう。


※出典:2018年9月時点のマンスリーレポート

純資産総額は?

純資産総額は投資信託を見極める際にとても大切なポイントとなります。
純資産総額はある程度大きくないと、ファンドマネージャーが資金を運用する際に
不利になったり、他の投資家の解約の際に余計なコストがかかる可能性があるので、
必ず確認する必要があります。

また純資産総額が減少しているファンドは、解約が増えているということですので、
何らかの理由で投資信託自体の魅力が減っているということもわかりますね。

アメリカン・エンジェルの純資産総額は現在125億円程度となっています。
2015年7月の設定時には純資産総額が一気に増えましたが、調子が良かったのは
初めの数カ月のみで、2016年に入ってから現在まで減少の一途をたどっています。

つまりは購入した投資家が解約しているということです。
なぜにこのように資金が流出しているのでしょうか。
以降このファンドの悪い部分が見えてきます。


※出典:2018年9月時点のマンスリーレポート

実質コストは?

投資信託にかかる費用には、販売時の手数料・信託報酬・解約時の信託財産保留金以外にも
あることをご存知でしたでしょうか?これを実質コストと言います。

実質コストは売買時の手数料や取引の際の税金、保管費用などが含まれ、
運用報告書の「1万口当たりの費用明細」で確認することができます。

アメリカン・エンジェルの実質コストは2.17%となっており、かなり割高です。
マザーファンドの運用をビクトリー・キャピタルに委託しているのが
コスト高になっている原因です。

さらに購入時手数料も3%かかりますので、パフォーマンスが相当良くないと
投資対象にはなりません。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.9872%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 2.17%(概算値)

※出典:第6期 運用報告書(決算日2018年6月18日)

米国小型バリュー株ファンド Bコース『アメリカン・エンジェル』の評価分析

基準価額の推移は?

アメリカン・エンジェルの基準価額は2016年末に大きく上昇し、2017年にはあまり大きく
伸びませんでしたが、2018年も大きく下落した後に順調に基準価額を伸ばしています。


※出典:モーニングスターHP

利回りはどれくらい?

アメリカン・エンジェルの直近1年の利回りは+7.51%になります。
3年平均利回りでは、+12.45%となっています。

カテゴリーランキングを見ると、真ん中くらいの位置づけなので、非常に優れた
パフォーマンスを残しているというわけではないことがわかりますね。


※出典:2018年10月時点 モーニングスターHP

四半期別のパフォーマンスは?

続いて、アメリカン・エンジェルの四半期別のパフォーマンスを見てみましょう。
毎年2桁のプラスを出している点は高評価です。

S&P500とのパフォーマンス比較

米国株に投資をするのであれば、米国の主要な指標との比較は必ず確認しておきたい
ポイントです。今回は、S&P500とアメリカン・エンジェルを比較してみました。

直近3年間では、S&P500のほうが高いパフォーマンスとなっています。
もちろん、S&P500は米国の大型株が中心なので、アメリカン・エンジェルと
そのまま比較してよいものかという議論はありますが、あえて高コストで
パフォーマンスの悪いアメリカン・エンジェルを選ぶ理由はないと思います。


※出典:モーニングスターHP

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性があるのは
知っておきたいところです。

標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認したほうが
イメージがわきますね。

アメリカン・エンジェルの最大下落率は1ヶ月で▲9.82%、1年では▲13.21%となりますが、
まだ設定されてから3年程ですし、市況も好調でしたので下げ幅は狭いです。

しかし、小型株自体が変動幅が大きいのと為替変動の影響もうけますので、
30%~40%は下落する可能性もあると思っておいたほうがよいかもしれません。


※出典:モーニングスターHP

分配金は?

アメリカンエンジェルは、毎年6月と12月に分配金を出しています。
2016年は530円、2017年は810円、直近2018年は現状210円の分配金が出ています。

基準価額を割り込まない程度に分配金を出していますので、大きな問題には
なりませんが、個人的には分配金を出さずに運用をしてほしいと思ってしまいますね。


※出典:モーニングスターHP

評判はどう?

続いて、アメリカン・エンジェルの評判を見ていきましょう。
評判を見る上で役に立つのが、月次の資金流入額です。

資金が流出超過となっていれば、購入する人よりも解約する人のほうが多いわけですから、
人気が落ちていることがわかりますね。

アメリカン・エンジェルは2016年以降、毎月資金が流出しています。
ただ、流出金額も小さいことから、あまり注目をされていないとも言えます。
S&P500にパフォーマンスで負けているうちは、人気に火が付くことはないと思いますね。

米国小型バリュー株ファンド Bコース『アメリカン・エンジェル』の今後の見通し

米国株は10月の初めに大幅に下落しましたが、市場内にくすぶっていた割高感の修正
といったところだと思います。

ですが、今後、長期金利の上昇・米中貿易摩擦・トランプ氏自体への不信感といった
問題から、先行きは不透明であり、今までのように高値を更新していく展開は想像
しにくいでしょう。

どちらにしても、パフォーマンスでS&P500に負けているようでは、超低コストの
eMAXIS Slim S&P500やiFree S&P500 インデックスをおすすめするほかないので、
ビクトリー・キャピタルにはもう少し運用を頑張ってほしいところです。