大和住銀投信投資顧問が設定・運用する「メキシコ債券オープン(毎月分配型)」
(愛称:アミーゴ)。

毎月分配型の新興国債券ファンドには色々と議論がありますが、本ファンドも
例外ではありません。今日はアミーゴについて徹底的に分析していきます。

メキシコ債券投資信託「アミーゴ」の基本情報

投資対象は?

投資対象はメキシコペソ建ての国債・政府機関債・国際機関債を中心に投資します。

組入銘柄の上位を見てみると、メキシコ国債で占められており、実質メキシコ国債に
投資をするようなイメージを持っておけばよいかと思います。

メキシコ国債はS&Pの格付でA-の評価を得ており、投資適格債とみなされているので、
デフォルトリスクはほぼないと考えてよいでしょう。

運用の特徴は?

投資対象が国債のためバイアンドホールド(買ったら、償還まで持ち切り)にしているか
と思いきや、どの期も大きな売買損益を計上しているため、ポートフォリオ全体の
デュレーション(投資回収期間または金利に対する感応度)を一定度にコントロール
しようとしていることが分かります。

後述するメキシコの金利見通しを考えると、概ね5年から6年の中期ゾーンをターゲットに
しているものと考えられます。

ポートフォリオは7%台の利回りで設計されていますね。

また、通常、海外資産に投資するファンドである場合、運用の外部委託を行いますが、
このファンドはシンプルな運用方針から、大和住銀投信投資顧問が自社で運用を
行っているのも特徴のひとつです。

為替ヘッジは行っていませんので、パフォーマンスの源泉はクーポン、償還または
売却差損益、為替差損益となります。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと
思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることが
できなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、
事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

2018年現在、メキシコ債券投資信託「アミーゴ」の純資産総額は、506億円です。

設定当初と年間1,200円を超えるタコ足分配を行っていた2015年から2016年末まで
資金流出が続いていましたが、2017年に運用パフォーマンスが良かったことと、
エマージング銘柄への注目が再び高まりつつあることを受け、資金が流入しました。

純資産の規模としては、まったく問題ないレベルとなっています。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

アミーゴの実質コストは1.355%となっており、同カテゴリーの中では、
平均より低い水準です。とは言っても、まだこのコストでは高すぎますね。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.3392%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.355%(概算値)

メキシコ債券投資信託「アミーゴ」の評価分析

基準価格をどう見る?

2018年現在、「アミーゴ」(毎月決算型)の基準価額は5,793円と、
毎月分配型の債券ファンドにありがちな数値です。

これは言うまでも無く、無謀なタコ足分配を繰り返した結果です。

ただし、この基準価額に加え税引き前の分配金累計額が8,420円であることを
考慮すると、他の同様のファンドと比較してパフォーマンスが特段劣後している
わけでは無いと考えます。

利回りはどれくらい?

メキシコ債券投資信託「アミーゴ」の直近一年間の利回りは▲2.29%となっています。
3年平均利回りも5年平均利回りもマイナスとなっており、現状投資する価値は皆無
と言えるでしょう。

将来リターンについては、標準偏差から計算できますので、ご自身で計算してみてください。
計算方法に自信がない方はこちらをご参考に。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

分配金の推移と分配金余力は?

2016年後半までは120円/月の分配金がありましたが、2016年末に60円/月に
減額されて今に至ります。

分配金余力が33か月ありますので、まだ当面分配金が減額されることはないと
思われますが、分配利回りが13%ほどとなっており、当ファンドの運用利回りを
はるかに超える分配をしていますので、中長期的に見れば、減額は避けられないでしょう。

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、
月次の資金流出入額でしょう。

資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している人が多い
ということなので、評判がいいということです。

月次の資金流出入額を見ると、2017年に大きく資金流入しており、
一時的に人気が出ました。これは、運用実績が良かったことによる
一時的な資金流入です。

今年に入ってからは当然ですが、資金流出が続いており、評判はよくありません。

メキシコ債券投資信託「アミーゴ」の今後の見通し

メキシコ国債はムーディーズでA3格(安定的)、フィッチでBBB+(安定的)の
格付けを得ており、デフォルトリスクは極めて低いと考えられます。

従って、メキシコ債券投資信託「アミーゴ」の今後のパフォーマンスで
気にするべきはメキシコの金利情勢と為替レートの動向でしょう。

ここ数年、主要産業である原油の価格下落とNAFTA脱退騒動のため
メキシコペソは大きく下落しましたが、これらの懸念事項が後退したことと
メキシコ中央銀行の相次ぐ利上げにより、メキシコペソ相場は
比較的安定感を取り戻しつつあります。

2018年7月の大統領選挙という波乱要因はありますが、チャート上では
すでに底を打ったと見ることも可能でしょう。

問題は、金利です。

メキシコ当局は自国通貨安を嫌気する立場が明確であることと、メキシコ経済
そのものが比較的好調のため、今後も政策金利引き上げは相次ぐものと考えられます。

これは、債券価格の下落要因です。

なお、アメリカとの国境に壁を建設するだの、メキシコからの輸入品20%の関税を
課すだの、トランプ大統領が提唱している子供じみた外交政策が現実的ではないことは
誰の目にも明らかになりつつあるため、こちらは放念して良いのではないかと思います。

よって、今後の「アミーゴ」は、現状比で為替要因でプラス、債券価格でマイナス、
インカムゲインでプラスになるものと考えられます。

あとはファンドマネージャーの腕次第であり、さらに言うと高額な手数料と
過剰な分配をどのように是正するかでしょう。

まとめ

メキシコ国債は投資対象として魅力的だと思いますが、やはり「アミーゴ」のような
コストと毎月分配型である点は嫌気すべきでしょう。

したがって、本ファンドへの投資はあまりおすすめできません。

個人でも購入可能な新発メキシコ国債の税引前利率が概ね6.5%から7.5%であることを
考慮すると、購入時の為替コスト(基準為替レートにプラスマイナス10銭から20銭)を
加味しても、メキシコ国債をファンドで保有する理由は思いつきません。

メキシコ国債を直接購入して保有していた方がコストもリスクも少なくなると考えられます。