よくリートやハイ・イールド債券と比較して、より利回りが高い投資先として
語られることがあるMLP。しかし、これには大きな裏があります。

実際に価格の変動幅を見てもらったほうが早いのですが、MLPはリートや
ハイ・イールド債券よりもはるかにハイリスク・ハイリターンである
ということです。

今日は、米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)『愛称:エネルギー・ラッシュ』
について、徹底分析していきます。

米国エネルギーMLPオープン『エネルギー・ラッシュ』の基本情報

投資対象は?

エネルギー・ラッシュは、USエネルギーMLPファンドへの投資を通じて、
エネルギー天然資源に関するMLPに投資をしていきます。

MLPはマスター・リミテッド・パートナーシップと言って、共同投資事業形態のひとつで、
その出資持分がアメリカの金融商品取引所で取引されています。

MLPは収入の90%以上をエネルギーや天然資源に関連する事業、金利、配当、不動産賃貸料
から得ているのが特徴で、多くのMLPは、天然資源等のパイプラインや貯蔵施設などの
利用料を収益源にしています。

実際に、エネルギー・ラッシュの上位組入銘柄を見てみると、石油・ガス貯蔵・輸送と
なっており、石油やガスを貯蔵する施設の利用料や輸送するためのパイプライン利用料を
得ていることがわかります。


※引用:マンスリーレポート(2018年9月時点)

純資産総額は?

続いて、エネルギー・ラッシュの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、
コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

エネルギー・ラッシュの純資産総額は、現在350億円程度です。
2015年には2000億円規模まで膨らんだのですが、そのあと基準価額が大暴落したことに伴い、
純資産総額が一気に下落し、それ以降は400億円前後で推移しています。


※引用:マンスリーレポート(2018年9月時点)

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

エネルギー・ラッシュの実質コストは2.0864%と、同カテゴリー内でも割高となっています。
購入時手数料もしっかりかかりますので、基本的にはコストが高すぎるため投資をしては
いけないファンドです。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.1664%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 2.0864%(概算値)

※引用:第57期 運用報告書(決算日2018年4月13日)

米国エネルギーMLPオープン『エネルギー・ラッシュ』の評価分析

基準価額の推移は?

エネルギー・ラッシュの基準価額は2015年末~2016年にかけて大暴落しました。
その後、暴落前の水準まで戻してきましたが、上昇トレンドは長くつづかず、
下落傾向にあります。


※引用:モーニングスターHP

利回りはどれくらい?

エネルギー・ラッシュの直近1年の利回りは▲3.26%となっています。
3年平均利回りでは+2.00%となっており、5年平均利回りでは、▲2.48%となっています。

カテゴリーランキングをみても、ほぼ最下位に近いパフォーマンスを維持しており、
純資産総額が350億円もまだあることに驚きます。


※引用:モーニングスターHP(2018年10月時点)

四半期別のパフォーマンスは?

続いて、エネルギー・ラッシュの四半期別のパフォーマンスを見てみましょう。
MLPはパイプライン利用料等が収益のメインなので、安定しているイメージがありますが、
実際はかなり値動きが激しいことがわかります。

株式などよりリスクが低いと思って投資をすると痛い目を見ますので、くれぐれも注意してください。


※引用:モーニングスターHP

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性があるのは
知っておきたいところです。

標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認したほうが
イメージがわきますね。

エネルギー・ラッシュの最大下落率は、2015年3月~2016年2月までの間に
▲55.60%となっています。

リーマンショック級の大幅下落が直近であったというのは衝撃ですね。
MLPは一部でリスクは低めと言われたりしていますが、決してそのようなことはなく、
まさにハイリスクローリターンファンドの典型です。


※引用:モーニングスターHP

分配金は?

エネルギー・ラッシュは、2014年ごろから毎月30円の分配を続けています。
分配余力は40カ月ほどありますので、まだ分配金を下げることはないかと思います。

ただ、基準価額に対する分配金の利回りを示す分配利回りがファンドの収益力を
はるかに上回っていますので、当然タコ足配当になっていることは言うまでもありません。


※引用:モーニングスターHP

評判はどう?

続いて、エネルギー・ラッシュの評判を見ていきましょう。
評判を見る上で役に立つのが、月次の資金流入額です。

資金が流出超過となっていれば、購入する人よりも解約する人のほうが
多いわけですから、人気が落ちていることがわかりますね。

エネルギー・ラッシュは2015年の基準価額の大暴落に合わせて、
100億単位で毎月資金が流出しました。

2017年以降も毎月資金が流出しており、評判が良いとはお世辞にもいえません。


※引用:モーニングスターHP

米国エネルギーMLPオープン『エネルギー・ラッシュ』の今後の見通し

一部では、パイプライン等のプロジェクトが実際に稼働し始めるので、
キャッシュフローを生み出すフェーズに入るとも言われていますが、
高コスト体質かつハイリスク・ローリターンの現状において、
あえて投資をする理由が見当たりません。

少なくとも日本国内で組成されたMLP関連ファンドで、運用がうまくいっている
ファンドは見たことがありませんので、くれぐれも投資をしないように注意してください。