東京海上アセットマネジメントが運用する、東京海上・
円建て投資適格債券ファンド(毎月決算型)『円債くん』。

債券の低利回りを背景に人気は完全に下火ですが、「リッパー・
ファンド・アワード・ジャパン」や「ファンド・オブ・ザ・イヤー」
など数々の受賞歴があり、無難な投資対象でもあることから
投資初心者に人気があります。

円債くんは、毎月分配型と年2回決算型の2種類がありますが、
今日は純資産総額の多い毎月分配型について詳しく見ていきたい
と思います。

円債くん(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

マザーファンドを通じて、主にS&P社の発行体格付けでBBB格以上の
安全性の高い日本の公社債に投資しています。

投資する債券は、S&P社の格付でBBB以上の格付の債券のみに
投資をします。

一般的にBB以下の債券というのは、投資不適格債券と呼ばれ、
機関投資家は手を出しません。

円債くんの組入債券の平均格付はAA-なので、デフォルトリスクは
限りなく低いと言えます。


※引用:交付目論見書2018年10月版

債券の種別構成比を見てみると、社債の比率が50%超と
高くなっていることがわかります。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

具体的に上位銘柄は下図のようになっています。

JR東海、三菱UFJ銀行の債券はクーポンが高いですが、
それ以外の社債は1%以下となっています。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性
がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

直近の純資産総額は、約437億円となっており、規模としては問題
ありません。

2017年末から純資産額の低下傾向が鮮明になっています。

債券の運用環境や投資家のリスク選好度の変化に伴い、
今後この水準を維持できるかは難しいと考えられます。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

円債くん(毎月分配型)の実質コストは0.5636%となっています。

他のアクティブファンドと比べると、コストは低いですが、
利回りに対するコストの比率はかなり高くなっています。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 1.08%(税込)
信託報酬 0.5616%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 0.5636%(概算値)

※引用:第100期 運用報告書(2018年9月25日)

実質コストを加味しても、円債くん(毎月分配型)より圧倒的に高いリターンを出しているアクティブファンド特集

円債くん(毎月分配型)の評価分析

基準価額をどう見る?

円債くんの直近の基準価額は、9,583円です。

為替リスクがなくボラティリティの低い投資対象と、さほど高い
とはいえない信託報酬(税込み0.5616%)であることを考慮すると、
10,000円割れを起こしている基準価額の要因を探る必要があります。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

円債くん(毎月分配型)の直近1年間のトータルリターンは、
▲0.36%程度です。

リスクの小ささを考慮すれば、納得できる水準でしょう。

ただ、円債くん(毎月分配型)は類似ファンド122本中97位の
パフォーマンスであり、もう少し頑張って欲しいところですね。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲0.36% 80%
3年 0.76% 57%
5年 1.23% 44%
10年

※2018年11月時点

標準偏差は?

円債くん(毎月分配型)の標準偏差を見てみると、同カテゴリー内で
順位が良いときもありますが、5年超で見ると下位25%程度にいます。

つまり、同カテゴリー内では値動きが相対的に大きいファンドと
言えますね。

今後、1年間の値動きはだいたい、▲2.30%~1.58%内に収まる可能性が
高いですね。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 0.97 85%
3年 1.95 24%
5年 1.79 76%
10年

※2018年11月時点

年別のパフォーマンスは?

円債くんの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

リターン自体はかなり小さいですが、毎年プラスのリターンを
維持しているのは評価できますね。2018年はこのままいくと
わずかにマイナスになりそうです。

年間利回り
2018年 ▲0.07(9月末時点)
2017年 0.01%
2016年 2.27%
2015年 0.44%
2014年 4.58%

※2018年11月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

円債くんに投資をするのであれば、NOMURA-BPI総合を
ベンチマークとするインデックスファンドと比較をして
おいて損はありません。

今回は、eMAXIS Slim国内債券インデックスとパフォーマンスを
比較してみました。

円債くんのほうが高いリターンを出しているときもありますが、
直近で見てみるとeMAXIS Slim国内債券インデックスのほうが
優れていることがわかります。


※引用:モーニングスター

最大下落率は?

投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲を
ある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみた
ほうがイメージがわきます。

円債くん(毎月分配型)は2016年7月~2017年6月の間に最大▲3.22%下落
しています。

リスクを全くとらない運用なので、下落幅も最小に抑えられているのは
唯一にして最大のメリットでしょう。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲1.70%
3カ月 ▲2.42%
6カ月 ▲3.69%
12カ月 ▲3.22%

※2018年12月時点

分配金の推移は?

円債くんは2018年5月決算より、これまで18円だった月当たりの
分配金を半分近くの10円に引き下げています。

実際に分配金が18円だった時期の内訳を見ると、運用収益で
賄っている分はたったの30%未満であり、残りはファンドから
タコ足配当となっていました。

現在の翌期繰越分配対象額は約30カ月分ですので、あと数年も
すれば分配金の額を減額するしかなくなると思われます。

このブログでは何度も言っていますが、特別な事情がない限りは
毎月分配型のファンドに投資すべきではありません。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金 当期収益以外 繰越対象額
95期 18円 15円 399円
96期 10円 7円 394円
97期 10円 5円 390円
98期 10円 7円 383円
99期 10円 7円 375円
100期 10円 10円「 368円

評判はどう?

円債くん(毎月分配型)の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流出しているということは、それだけ円債くん(毎月分配型)を
解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

2016年以降は株式市場が好調だったこともあり、資金が債券から株式に
流出しています。


※引用:モーニングスター

円債くん(毎月分配型)の今後の見通しは?

日銀のマイナス金利政策により国内債券の魅力度は相対的に
低くなっています。

しかし、一般的に国内債券は株式と逆の動きをするため、バランス運用を
志向する投資家は引き続き円債くん(毎月分配型)を保有すると見られます。

あとは金利引き上げ時にどれだけ円債くん(毎月分配型)のポートフォリオに
ダメージがあるかですが、先述のとおり国債のウェイトが小さくバランスの
取れたラダー運用を行っているため、これは限定的と考えてよいと思います。

とは言えど円債くん(毎月分配型)はタコ足分配のため、ファンドの縮小は
避けられないでしょう。

リスクをとにかく好まない投資初心者にとっては、初めの一歩目となりえる
ファンドではありますが、年利回り1%程度で、あなたの資産形成プランは
達成できますか?

今、リスクを取らないことが、将来の大きなリスクにつながることもある
ということを忘れずに、資産運用をしてほしいと思います。

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