日興アセットのグローバル・モビリティファンドやBNY
メロンのモビリティ・イノベーションファンドと並んで、
注目が集まっている大和住銀のEV革命。

同時期にファンドを出すことで、注目を集めようという
マーケティングの戦略ですが、投資家からすると、何が
どう違うのかよくわかりません。

実際、中身をよくみると、違いがわかってくるので、
今日は、EV革命について、私が独自の目線で分析、評価
していきます。


グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の基本情報

投資対象は?

EV革命の投資対象は、EV(電気自動車)の進化や発展に
伴い恩恵を受ける企業です。

国別の構成比率を見てみると、アメリカが約5割となって
おり、次いでフランス、日本と続いています。


※引用:マンスリーレポート

運用体制は?

EV革命の実際の運用は、ロべコSAMエージ―が行います。

ロベコはオランダの大手資産運用グループ「ロベコ・グル
ープ」の100%出資法人で、1995年に設立され、ESG分野
で高い評価を受けている資産運用会社です。

ちなみ、ESG分野とは、環境(Enviroment)、社会(Social)、
企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別
して投資を行う方法です。

純資産総額は?

続いて、グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の純資産
総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄
を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少
していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬ
マイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の現在の純資産
総額は約1000億円ですので、いまだにかなり大きなファン
ドです。

ただ、純資産総額の増減を見てもらえばわかるとおり、基準
価額が10,000円を割り込んでいる関係で、ゆるやかながら、
減少傾向にあります。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や保管費用、印刷費用など
が含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の実質コストは、
1.86%とかなり割高な水準になっています。

テーマ型ファンドはコストが高いことも多いですが、パフォ
ーマンスが伴わないと、まったく割にあいません。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.793%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.86%(概算値)

※引用:最新運用報告書

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の評価分析

基準価格をどう見る?

EV革命の現在の基準価額は6800円です。2019年は奮戦
してようやく、基準価額が10000円まで戻してきたとこ
ろで、コロナショックにより30%近く下落してしまいま
した。

後述しますが、EVの可能性については私も否定はしま
せんが、一般市場に普及するにはまだ越えなければなら
ないハードルがたくさんあると考えています。

そのため、基準価額にすぐに反映してくると思えません。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

EV革命の直近1年間の利回りは▲8.59%と10%近いマイナス
ですが、これでも上位40%のパフォーマンスとなっています。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲8.59% 37%
3年
5年
10年

※2020年4月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

標準偏差は?

標準偏差まで確認する人はあまりいませんが、EV革命の
基準価額の変動幅の大きさを知るには役立ちます。

単年の標準偏差はあまり役立たないのですが、通常20程度
でしたので、32というのはかなり大きく基準価額が変動
しているということがわかります。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 32.05 91%
3年
5年
10年

※2020年4月時点

年別のパフォーマンスは?

EV革命の年別のパフォーマンスを見てみましょう。

2018年の悲惨なパフォーマンスを2019年でようやく
取り戻したところで、コロナショックが起き、また
大きくマイナスを抱え込んでしまいました。

設定したタイミングが運がないというのもありますが、
このパフォーマンスでは積極的に投資をしようとは
思えません。

EV関連銘柄が評価されるまでまだ時間がかかると思い
ますので、基準価額の回復にはまだ時間を要すると思われます。

年間利回り
2020年 ▲25.53%(1-3月)
2019年 +35.70%
2018年 ▲20.98%

※2020年4月時点

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参考にしてみてください。

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類似ファンドとのパフォーマンス比較

ここでは、他の運用会社が設定しているEV革命と類似した
ファンドとパフォーマンスの比較を行いました。

EV革命は橙色です。他にもっと悲惨なパフォーマンスの
ファンドがありますが、モビリティ系のファンドの中で
いうと、グローバルMaaSが頭一つとびぬけています。

とはいえ、3年間のトータルリターンはどのファンドを
とってもマイナスには変わりありません。

あえて、毎年2%近いコストを支払ってまで投資をする
価値があるとは思えませんね。


※引用:モーニングスター

最大下落率は?

EV革命に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性
があるのかを知っておくことは非常に重要です。

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく
下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではEV革命の最大下落率を見てみましょう。最大下落率は
2020年1月~2020年3月の25.53%です。コロナショックの影響
はやはり大きかったということですね。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかも
しれません。

しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの
可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲11.79%
3カ月 ▲25.53%
6カ月 ▲19.61%
12カ月 ▲20.74%

※2020年4月時点

評判はどう?

つづいて、EV革命の評判を見てみましょう。

評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額
です。

資金が流入しているということは、それだけEV革命を購入している
人が多いということなので、評判がよくなっているということです。

EV革命は2018年の初めだけ資金流入がつづいていましたが、
2019年以降は毎月資金流出がつづいています。

このパフォーマンスでは当然の結果と言えるでしょう。


※引用:モーニングスター

グローバルEV関連株ファンド『EV革命』の今後の見通し

まず、世界的な流れとして、多くの炭素燃焼を動力とする自動車を
道路から排除する方向で合意がなされています。

以下のように、大気汚染対策や排ガス規制を強化するために
各国が取組みを決めています。ここ数年で大きく動くかと
言われると、決してそうではないと思いますが、

大きな流れとして、電気自動車にシフトさせていくという
流れはもう止まらないでしょう。そういう意味ではEV関連
銘柄というのは将来性があると言えます。

運用会社のロベコが資産しているデータでは、2038年には
世界の自動車販売数の50%がEV車に置き換わるというデータ
さえあります。

中長期でみれば、非常に魅力的なマーケットであると
思いますが、果たして短期的にはいくつもの課題がある
ように思っています。

例えば、充電の手間です。充電スタンドも増えてきては
いますが、ガソリンスタンドほどは充実していません。

車の充電が切れそうになったときにすぐに充電スポット
がないとなると、手を出しづらくなりますよね。

また充電スタンドは1か所に複数あるわけではないので、
充電待ちの時間もかかります。

それ以外では、やはり価格がまだ高く、あえて買い替える
までには至っていないと言う点もあげられるでしょう。

実質コストがもっと安ければ、長期保有を前提にして、
ポートフォリオに組み込むというのも面白いかもしれ
ませんが、このコストの高さを考えると、あえて、今から
EV革命に投資をするメリットはないように思います。