2007年のアメリカのサブプライムローン問題で話題になった住宅ローン担保証券。
日本にも住宅金融支援機構が発行している機構債があります。

サブプライムローンでは内容の悪さで大問題になりましたが、日本で発行している
機構債は格付けは、ほぼ最高格付けのAAAで安心。しかも日本国債より利回りが
良いことで注目を集めています。

この機構債を投資対象にしたファンドがパインブリッジ 日本住宅金融支援機構債ファンド
『愛称:フラットさん』です。果たしてこの「安定していて利回りがよい」という恩恵を
受けているのでしょうか?

今日はフラットさんを徹底分析していきたいと思います。

パインブリッジ 日本住宅金融支援機構債ファンド『フラットさん』の基本情報

投資対象は?

フラットさんの投資対象は、先ほど述べた通り独立行政法人住宅金融支援機構が
発行している機構債(機構MBS)で、その中でも日本国債の格付けかそれ以上のものです。

MBSについて簡単に説明しておくと、、住宅金融支援機構が民間の金融機関から
住宅ローン債権を買い取り、その資産を担保に発行した債券になります。


※引用:交付目論見書

債券ファンドに投資する場合は、組み入れられている債券の格付が非常に重要となります。
現在組み入れられている機構債は全てAAAと最高格付けなので、デフォルトの心配は
ほとんどないと思ってよいでしょう。


※引用:マンスリーレポート10月号

純資産総額は?

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、コストが
嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

それでは、フラットさんの純資産総額はどうでしょうか?2015年の初めに一気に
純資産総額が増えているのが分かります。

設定来から分配金は50円と変わりませんでしたが、基準価額が順調に右上がりだったので
注目を浴びたのでしょう。その後も純資産総額は順調に伸び、現在180億円ほどになります。


※引用:マンスリーレポート10月号

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

フラットさんの実質コストは0.52%です。後述しますが、フラットさんの利回りを見ると
3年でやっと0.56%のリターンを得ている状況ですので、リターンのうち50%は運用会社が
もらっているということです。

このように考えると、パインブリッジは取り過ぎなのではないかと思ってしまいますね。

購入時手数料 1.62%(税込)※上限
信託報酬 0.72%(税込)
信託財産留保額 なし
実質コスト 0.52%(概算値)

※引用:第13期 運用報告書(決算日2018年9月18日)

パインブリッジ 日本住宅金融支援機構債ファンド『フラットさん』の評価分析

基準価額の推移は?

フラットさんの基準価額は、他の国内債券投資ファンドと同様2016年の半ば頂点に、
急下降しましたが、その後分配金再投資の基準価額(青線)は2年ほど横ばい、
基準価額はタコ足配当により下落しています。


※引用:モーニングスターWEBサイト

利回りはどれくらい?

フラットさんの直近1年の利回りは▲0.08%、3年平均利回りが0.56%、5年平均利回りが
0.72%となっています。安定感は抜群の機構債ではありますが、国内債券カテゴリーの
ランキングでは、下位2割に入っています。

将来リターンについては、標準偏差から計算できますので、ご自身で計算してみてください。
計算方法に自信がない方はこちらをご参考に。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法


※引用:モーニングスターWEBサイト

四半期別のパフォーマンスは?

フラットさんの四半期別のパフォーマンスを見てみると、2015年、2017年は
あってないようなリターンとなっています。

正直、この程度の利回りでよいのであれば、投資してもしなくても
あまり変わらないと思います。


※引用:モーニングスターWEBサイト

類似ファンドとのパフォーマンス比較

機構債を投資対象しているファンドは少ないのですが、同じく住宅金融支援機構債に
投資するダイワの住宅金融支援機構債ファンドとパフォーマンスを比較してみましょう。

直近3年間のパフォーマンスでは、明らかにダイワ 住宅金融支援機構ファンドのほうが
パフォーマンスが優れています。

これでは、フラットさんに投資をする理由が見当たりませんね。


※引用:モーニングスターWEBサイト

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、最大どの程度下落したことがあるのかは、
知っておきたいポイントのひとつです。

フラットさんの下落率は、最大でもマイナス1%台と、まだ設定から浅い
という理由もありますが、かなり低いです。

格付けがAAAということもあり、大幅に下落する可能性は少ないわけですね。
ただ、当然その分リターンも得にくくなっていることも忘れてはいけません。


※引用:モーニングスターWEBサイト

分配金は?

次にフラットさんの分配金の推移を見てみましょう。
設定からずっと50円を維持してきましたが今年に入って30円に減額しています。
パフォーマンスが振るわず、分配金を収益から出せてないことが原因でしょう。

分配金利回りは0.6%程度なので、健全な水準を保たれています。
パフォーマンスが戻ってこれば、50円に増配となる可能性もありますね。


※引用:モーニングスターWEBサイト

評判はどう?

資金の流出入を見るのはそのファンドの評判を得るために有効な手段です。
資金が多く入っていれば人気があるファンドですし、流出が続いているようであれば、
評判が悪いファンドと言えます。

それでは、フラットさんの資金の流出入を見てみましょう。

先ほどの純資産総額のグラフ通り2015年の前半から半ばごろに急激に資金が
流入しているのが分かりますが、その後はそこまで大きく流入も流出も
していない状況です。少なくとも評判がいいとは言えませんね。


※引用:モーニングスターWEBサイト

パインブリッジ 日本住宅金融支援機構債ファンド『フラットさん』の今後の見通し

フラットさんの今後の見通しについて考えてみましょう。

分配金の内訳を見てみると、分配金はほぼ当期の収益以外から出されている状況です。
また翌期繰越分配対象額もさほどありませんので、今後パフォーマンスが振るわなければ
また分配金が下がることも十分に考えられます。

運用の考え方は人それぞれですが、フラットさんはリターンに対して、手数料が高すぎますし、
ダイワ 住宅金融支援機構債にもパフォーマンスで負けているため、あえて、投資する理由が
ありません。