新興国の高利回り債券に投資ができて、さらに8つの通貨コース
(円、米ドル、豪ドル、ブラジルレアル、メキシコペソ、トルコリラ等)を
選択して、為替益も狙えるということで、注目を浴びていた
三菱UFJ国際投資のグローイング・スター(ブラジルレアルコース)。

高利回り債券と聞くと、株式よりリスクが低くて、それなりのリターンが
期待できるようなイメージを持ちますが、実際に組入られている債券を
確認しなければ、思った以上にリスクを取ってしまっている可能性があります。

今日は、グローイング・スターの中でも、一番人気の高い
グローイング・スター(ブラジルレアルコース)を徹底分析していきます。

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の基本情報

投資対象は?

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の投資対象は、
米ドル建ての新興国の高利回り社債で、利子収益と値上がり益を目指します。

ここでいう新興国の高利回り社債はS&Pやムーディーズの格付でBB以下の
債券を投資対象としています。

目論見書等を見ると、信用力が低い反面、高い利回りが期待できると、
一番小さな字で記載がありますが、下図のように格付がBB以下というのは、
投機的格付=投資不適格と呼ばれ、プロの機関投資家が基本的には
手を出さない債券です。

運用会社が組成しているファンドだから大丈夫だろうと、気軽に思ってはいけません。

構成されている債券の比率を見てみると、ほぼBB格以下の格付となっており、
平均の格付がBということで、リスクまみれの社債で構成されています。

現在は、186銘柄で構成されており、国別の比率で見ると、
ブラジル、ロシア、中国の順に、多く組入られています。

米ドル建ての社債に投資をしており、為替の関係が少しわかりづらく
なっていますが、基本は円と選択した通貨の関係で決まると考えてください。

ブラジルレアルコースを選択した場合は、円に対して、
ブラジルレアルが高くなれば、為替益が発生するということです。

純資産総額は?

続いて、グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた
投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることが
できなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) は現在、420億円程度の
規模なので、規模が小さいことによるデメリットはないと言えますね。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の実質コストは1.8507%と
かなり高くなっています。

ここまで高くなってしまうのは、運用をピムコジャパンリミテッドに
委託しており、委託費用をごっそり抜かれているからです。

実質コストのうち、0.783%分は委託費用です。
ファンド・オブ・ファンズ方式の恐ろしさがここにありますね。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.8468%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.8507%(概算値)

グローイング・スター(ブラジルレアルコース)の評価分析

基準価額をどう見る?

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の基準価額は、
3年間で50%近く下落しています。

分配金再投資基準価額(青線)を見ると、2016年、2017年あたりは、
運用でプラスを出せていますが、それ以上に過剰な分配が行われているため、
基準価額も下がる一方となっています。

利回りはどれくらい?

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の直近1年間の利回りは
▲10.72%となっており、3年平均利回りが+5.76%、5年平均利回りが+3.80%と
なっています。

1年と5年のカテゴリーランキングで見ると、上位70%以下ということで、
散々なパフォーマンスであることがわかります。

将来リターンについては、標準偏差から計算できますので、ご自身で計算してみてください。
計算方法に自信がない方はこちらをご参考に。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

最大下落率は?

投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は
予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージがわきます。

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) は2014年10月~2015年9月の間に
最大▲36.89%も下落しています。

見てわかる通り、債券ファンドと言っても、リスクの高い債券に投資をすると、
株式と同程度の下落をします。債券ファンドを保有している人で、
ここまでのリスクを想定している人は少ないと思います。

他の債券ファンドを保有している人も一度、ご自身のファンドのリスクは
確認しておいたほうがよいと思いますよ。

分配金の推移は?

続いて、分配金の推移を見ていきましょう。
グローイング・スター(ブラジルレアルコース)は、2016年には120円あった
分配金が、2018年には半分の60円にまで下落しています。

もう下がることはないかと思いきや、分配金余力が23カ月程度しかありませんので、
1年たたず、再度減配される可能性はあります。

基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りを見ても、
27%程度と異常に高くなっているので、基準価額の下落も続きそうです。

評判はどう?

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) の評判はネットでの書き込みなどで
調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流出しているということは、それだけグローイング・スター(ブラジルレアルコース)
を解約している人が多いということなので、評判が悪くなっているということです。

グローイング・スター(ブラジルレアルコース) は、分配金目当ての投資家が、
一時的に流入している時期がプラスの資金流入を生み出していますが、
直近は運用がうまくいっていないため、解約が増えていますね。

グローイング・スター(ブラジルレアルコース)の今後の見通し

株式よりリスクは低くて、リターンが狙える投資対象として、新興国債券ファンドを
選ぶ人や、分散投資をするためにポートフォリオに新興国債券ファンドを組み入れる人が
グローイング・スター(ブラジルレアルコース)を保有していると思います。

しかし、新興国債券は株式と同程度の値動きをするため、あなたの期待したような
リスクで運用できていない可能性が高いというのと、近年は債券と株式の相関が
高くなってきており、単純に債券と株式を保有しておけば、リスク分散になる
というわけではありません。(株式が下がれば、債券も下がる傾向にある)

それに加えて、本ファンドはブラジルレアルの為替の値動きも考慮しなければならず、
パッと手を出してよいファンドではありません。

ですので、本ファンドを保有している方は、すぐに乗り換えることをお勧めします。
個人的には、債券ファンドに投資するくらいであれば、米国債に直接投資をすれば、
十分だと思っています。