投資信託の評価機関として世界で確固たる地位を築いて
いるモーニングスター。

このブログを見に来てくれる方のなかでモーニングスター
の名前を知らない人はほとんどいないと思いますが、
今年1年を振り返って優れたファンドが表彰されました。

モーニングスターのFund of the Yearの特徴は①定量評価
②定性評価の2点で優れたファンドを選定しています。

①の定量評価はいわゆる運用実績ですね。

②の定性評価は運用方針や運用プロセス、リスク管理など
を評価しています。

ですので、単にパフォーマンスがたまたま優れていたファ
ンドやリスクが高いファンドは評価されないという点が
特徴です。

今年は約5500本の投資信託の中から最優秀賞8ファンド、
優秀ファンド33ファンドが選出されました。

(投資家目線で言えば、最優秀も優秀も甲乙つけがたいので、
あまり最優秀だから良いという判断を安易にしないでくだ
さい。)

モーニングスターのFund of the Yearは投信ブロガーが選ぶ
ファンド・オブ・ザ・イヤーと異なり、運用会社に都合の
いいファンドが選定されているというのが運用業界の共通
認識ですが、投資家にとってメリットのあるファンドも
しっかり選定されています。

さっそく、どんなファンドが選定されているか見ていき
ましょう。


国内株式型部門

国内株式型部門では913本の候補ファンドの中から計3本
が選ばれています。

配当物語は日経225に連動するインデックスファンドにも
パフォーマンスで負けており、正直選考された理由がよく
わかりません。

それ以外のファンドは選出されても文句はないといった
ところです。

受賞 ファンド名
最優秀 情報エレクトロニクスファンド
優秀 配当物語
優秀 フィデリティ・セレクト・ファンド(テクノロジー)
優秀 ジャパン・オーナーズ株式オープン
優秀 グローイング・カバーズ

情報エレクトロニクスファンド

情報エレクトロニクスファンドは東証一部に上場する
電気機器や精密機器などのエレクトロニクス関連企業
の株式に投資を行うアクティブファンドです。

◆選定ポイント

・2019年のリターンは分類内で第1位、運用の効率性は第2位

・希少な30年運用ファンド、10年保有では60カ月の全てでプラス、かつ平均に全勝

・担当ファンドのレーティングは全て4ツ星、経験豊富なアナリストによる充実した調査体制が支援

引用:モーニングスター

1999年に続き、2度目の受賞です。30年前から長期で
運用されている優れたファンドが脚光を浴びるという
のは素晴らしいですね。

国内ファンドでありながら、+49.31%というのは秀逸です。
業種配分で、電気機器や精密機器の比率を高く保っていた
のが大きいです。

ファンドマネジャーは運用・調査経験年数が18年あり、
情報エレクトロニクスファンドを9年間担当しています。

彼が担当する他の国内株式ファンド3本はいずれもモー
ニングスターレーティングで★4なので、上位30程度に
入るパフォーマンスを残せています。

運用・調査経験年数が平均18年と経験豊富なアナリスト
で構成されているのも心強いですね。

国内大型株カテゴリー内では、10年間ほぼトップのパフォ
ーマンスを残しており、当然ですが、TOPIXや日経平均に
連動するインデックスファンドよりも高いパフォーマンス
を残しています。

大型株カテゴリーでインデックスファンドにパフォーマン
スで勝てているファンドはごく少数なので、貴重な1本です。

より、詳しくファンドの詳細を知りたい方はこちらを参考
にしてください。

情報エレクトロニクスファンドの評価や評判は?今後の見通しはどう?

受賞 ファンド名
優秀 配当物語
優秀 フィデリティ・セレクト・ファンド(テクノロジー)
優秀 ジャパン・オーナーズ株式オープン
優秀 グローイング・カバーズ

国際株式型(グローバル)部門

国際株式型(グローバル・含む日本)部門では546本の
候補ファンドの中から計6本が選ばれています。

インデックスファンドに負けじ劣らじの優れたパフォ
ーマンスを残しているファンドがほとんどです。

しかし、グローバル自動運転関連株式ファンドだけは
単年で見れば、確かに優秀ですが、それまでの成績を
考えるとほんとうに選んで大丈夫か?と思ってしまいます。

受賞 ファンド名
最優秀 モルガン・スタンレーグローバル・プレミアム株式オープン
優秀 THE 5G
優秀 グローバル・ロボティクス株式ファンド
優秀 未来の世界
優秀 グローバル自動運転関連株式ファンド
優秀 みらいメディカル

モルガン・スタンレーグローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジあり)

モルガン・スタンレーグローバル・プレミアム株式オープン
は各国で圧倒的なシェアの獲得や商品展開を行い、

有力な特許、強固な販売もを裏付けに持続的に高い収益率
や潤沢なキャッシュフローの増大が期待できる企業20~40
銘柄に投資をするアクティブファンドです。

◆選定ポイント

・2019年の運用の効率性はトップ、四半期のリターンは全てでプラス

・5年リスクは分類内でトップの低さ、レーティングは16カ月連続5ツ星

・海外でも上位の実績を持つベテランファンドマネジャーが担当、企業分析ではESGリサーチを強化

引用:モーニングスター

2018年には為替ヘッジなしが受賞し、2019年は為替ヘッジあり
が見事最優秀ファンドに選ばれました。

2019年は+26.69%と類似ファンドの分類の中でも上位に
ランクインしています。

運用の責任者はモルガン・スタンレーグループで27年の
運用・調査経験を有しており、ベテラン・ファンドマネ
ジャーが担当しています。

近年、新たに資金調達をするような場面ではESGをテーマ
にしているかどうかで調達できる額が1桁変わってくると
言われるくらいESGが意識され始めています。

そのような環境もあり、企業分析ではESGリサーチを強化
しているようです。

中長期で見ても、S&P500やMSCIコクサイを上回るパフォ
ーマンスとなっている優れたファンドの1本です。

受賞 ファンド名
優秀 THE 5G
優秀 グローバル・ロボティクス株式ファンド
優秀 未来の世界
優秀 グローバル自動運転関連株式ファンド
優秀 みらいメディカル

国際株式型(特定地域) 部門

国際株式型(特定地域) 部門で719本の候補ファンドの
中から計4本が選ばれています。

受賞 ファンド名
最優秀 未来の世界(新興国)
優秀 サイバーセキュリティ株式オープン
優秀 先見の明
優秀 アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース

新興国ハイクオリティ成長株式ファンド『愛称:未来の世界(新興国)』

新興国の中でも利益率・成長性・健全性の3つが高いハイ
クオリティ企業を主要投資対象とし、約25~50銘柄でポー
トフォリオを構築しているアクティブファンドです。

◆選定ポイント

・2019年のリターン、運用の効率性ともにトップ

・下落局面でも優位性を発揮、運用の効率性は直近4カ月連続上位1%

・運用チームによる積極的な議論が集中投資のカギ、米国籍アジア株ファンドは5ツ星を獲得

引用:モーニングスター

なぜ新興国株式と先進国株式を同じ土俵で順位付けしたのか
は確かに新興国株式ファンドでは圧倒的に優れたパフォーマ
ンスを残しています。

未来の世界はグローバル、先進国、新興国と3つファンドが
あるのですが、どれも非常に優秀なパフォーマンスとなって
います。

マザーファンドの運用は6名のファンドマネジャーが担当し、
運用責任者は運用・調査経験が18年のベテランです。

経験豊富なファンドマネジャー全員がチームで積極的な議論
を行うことから、各銘柄に対する理解が深く、銘柄の集中投資
が可能となっています。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動する
インデックスファンド等とパフォーマンスを比較すると明らか
に未来の世界(新興国)は優れており、新興国株式に投資をした
い投資家であれば、十分に検討する余地がある1本です。

より詳細が知りたい方はこちら。

『未来の世界(新興国)』新興国ハイクオリティ成長株式ファンドの評価や評判は?今後の見通しはいかに?

受賞 ファンド名
優秀 サイバーセキュリティ株式オープン
優秀 先見の明
優秀 アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース

債券型 部門

債券型 部門では1594本の候補ファンドの中から計3本が選ばれています。

受賞 ファンド名
最優秀 世界のいしずえ
優秀 フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド
優秀 DWSグローバル公益債券ファンドAコース

三菱UFJ/AMP グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)『愛称:世界のいしずえ』

世界のインフラ関連企業(公益、通信、エネルギー、運輸など)
の米ドル建て債券を主要投資対象とするアクティブファンドです。

◆選定ポイント

・2019年の運用の効率性は上位3%、リターンは上位6%の好成績

・5年保有は31カ月全てで上位11%以内、レーティングは20カ月連続5ツ星

・運用・調査チームは経験豊富なメンバーが中心、インフラ・公益株を網羅

引用:モーニングスター

2016年に続き、2度目の受賞となった世界のいしずえ。

債券自体かなり幅広い銘柄で構成されているので、ひとつ
の評価軸で優秀ファンドを決めるというのは至難の技だと
思います。

そんな中で見事に受賞した世界のいしずえは平均の運用・
調査経験が16年と経験豊富なチームメンバーで構成されて
おり、全体で約400社をカバーしています。

2019年は確かに15%以上のプラスのリターンとなっており、
優れた成果を残しているのですが、債券で15%のリターン
が出るというのは、うれしい反面、リスクが想定以上に
大きいファンドなのではと疑ってしまいます。

正直、年別のパフォーマンスを見ると、2019年以外は特筆
すべき成果を出しているわけでもなく、もっと別の方法で
運用したほうが成果は出そうだという印象です。

受賞 ファンド名
優秀 フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド
優秀 DWSグローバル公益債券ファンドAコース

REIT型 部門

REIT型 部門では406本の候補ファンドの中から計5本が
選ばれています。

受賞 ファンド名
最優秀 Jリート・アジアミックス・オープン(資産成長型)
優秀 J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)
優秀 ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)B
優秀 フィデリティ・USリート・ファンドB
優秀 アジア好利回りリート・ファンド

Jリート・アジアミックス・オープン(資産成長型)

日本を含むアジア・オセアニアの上場REITを主要投資対象
とし、配当利回りや収益性に着目した個別銘柄の選定を考慮
した上でポートフォリオの構築を行うアクティブファンドです。

◆選定ポイント

・2019年の運用の効率性は上位5%、リターンは上位25%

・5年保有では全勝、かつ上位10%内、運用の効率性でも実質4年連続で上位25%以内

・REITの調査力を更に強化、主担当ファンドマネジャーの運用ファンドは全て4ツ星以上

引用:モーニングスター

2018年に続き、2019年も好調を維持したREIT市場。

その中で、2018年のファンドオブザイヤーに続き、連続で
最優秀賞を受賞したのが、Jリート・アジアミックス・オー
プン(資産成長型)です。

2年連続で受賞しているにもかかわらず、純資産総額は
未だ100億円に届かず、人気が出ていないファンドです。

REITが好調であるということもあり、毎月分配型に再び
資金が集まってしまっている影響もあるのでしょう。

パフォーマンスについては、東証REIT指数やS&Pグロー
バルリート指数をはるかにアウトパフォームしており、
文句のつけようがありません。

Jリート・アジアミックス・オープンは28年の運用・調査
経験をもつ秋山氏がファンド設定来担当しています。

シンガポールに籍を置くアナリスト2名、香港に籍を置く
アナリスト1名と連携し、グローバルな拠点で調査を行っ
ている点が強みです。

秋山氏が運用しているREIT型の公募ファンドはどれも
非常に優秀なパフォーマンスを残している点も評価でき
ます。

受賞 ファンド名
優秀 J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)
優秀 ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)B
優秀 フィデリティ・USリート・ファンドB
優秀 アジア好利回りリート・ファンド

バランス(安定)部門

バランス(安定)部門では265本の候補ファンドの中から
計5本が選ばれています。

受賞 ファンド名
最優秀 真分散革命
優秀 マイロングライフ
優秀 スマート・ファイブ(毎月決算型)
優秀 ライフポイント(安定型)
優秀 シュローダーYENターゲット(1年決算型)

インベスコ プレミア・プラス・ファンド『愛称:真分散革命』

日本を含む世界の株式、コモディティに分散投資を行う
バランス型のアクティブファンドです。

3資産のリスク寄与度を同程度に配分するリスク・パリティ
運用を行うのが特徴です。

◆選定ポイント

・2019年のリターンは上位5%、レーティングは4ツ星を獲得

・価格変動は目標値以下にコントロール、3年保有では全ての月でプラス

・実績十分のベテランチームが担当、海外では10年リターンが上位15%で4ツ星も獲得

引用:モーニングスター

2016年、2017年に続き、2019年も受賞となった真分散革命。

これだけ受賞しているにもかかわらず、純資産は10億円程度
しかなく、人気にまったく火が付きません。

それもそのはず、真分散革命はパフォーマンスの割に信託
報酬が異常に高く、投資家が得る収益よりも運用会社が
得る収益のほうが大きくなっています。

要はファンドの収益の半分以上をインベスコが取っている
というわけです。

バランスファンドの場合はパフォーマンスだけを見れば
よいわけではないので、一概に悪いとは言えませんが、
少なくとも最優秀賞を取るようなファンドではないと思います。

スマートファイブもそうですが、どうもバランスファンドは
運用会社側の意見が大きく反映されたような一覧になって
いる気がしてなりません。

こういう点が投信ブロガーのファンド・オブ・ザ・イヤーと
比べるとどうして劣るなという印象を与えてしまいますね。

受賞 ファンド名
優秀 マイロングライフ
優秀 スマート・ファイブ(毎月決算型)
優秀 ライフポイント(安定型)
優秀 シュローダーYENターゲット(1年決算型)

バランス(成長)部門

バランス(成長)部門では814本の候補ファンドの中から
計5本が選ばれています。

受賞 ファンド名
最優秀 円奏会 ワールド
優秀 ゆめラップ成長
優秀 クアトロ
優秀 投資のソムリエ
優秀 GCIエンダウメントファンド(成長型)

東京海上・世界資産バランスファンド(毎月決算型)『愛称:円奏会ワールド』

海外の株式、債券、REITに分散投資を行うバランス型の
アクティブファンドです。

◆選定ポイント

・2019年の運用の効率性は上位11%、リターンは2四半期で上位10%内

・リスクの低さは概ね上位20%以内、2年保有では全ての月でプラス、かつ上位25%以内

・バランス型アクティブの運用の効率性では東京海上がトップ、ウエスタン・アセットのグローバルネットワークも活用

引用:モーニングスター

円奏会の人気にあやかろうとして命名したとしか思えない
円奏会ワールド。

円奏会はとにかくリスクを抑えた運用が投資家の人気を
集めて、1兆円近くの規模にまで成長していますが、
円奏会ワールドの立ち位置はいまいちわかりません。

そこまでパフォーマンスが優れているわけでもなく、
運用の効率がいいわけでもなく、純資産も10億円程度
しかありません。

円奏会ワールドもどちらかと言うと、運用会社の都合が
反映されたような印象を受けます。

受賞 ファンド名
優秀 ゆめラップ成長
優秀 クアトロ
優秀 投資のソムリエ
優秀 GCIエンダウメントファンド(成長型)

オルタナティブ部門

オルタナティブ部門では121本の候補ファンドの中から
計3本が選ばれています。

受賞 ファンド名
最優秀 ベスト・アルファ
優秀 ダブル・ブレイン
優秀 ピクテ・ゴールド

スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド『愛称:ベスト・アルファ』

ベスト・アルファは将来の成長が見込まれる株式をロング
する一方で、過大評価されている株式を信用取引により
ショートする戦略をとるヘッジファンドです。

◆選定ポイント

・2019年は日本株のロング・ショートファンドでは運用の効率性が第1位、リターンも第2位

・設定来の累積リターンはTOPIXを約4割超過、リターンがプラスの8年間の全てで効率性も平均以上

・日本株の個別銘柄調査に強み、大型株ファンドの全てで5ツ星を獲得

引用:モーニングスター

2017年のファンド・オブ・ザ・イヤーに続き、最優秀賞
を受賞しています。

正直、オルタナティブ部門は混ぜ合わせなので、とりあえず
賞を取りたい運用会社を寄せ集めたような印象を受けて
しまいます。

スパークスは国内株式の運用・調査に強みを持っており、
厳選投資を筆頭に、とても優れたパフォーマンスのファンド
がいくつもあります。

国内株式の調査力があるからこそ、国内株式で過大に評価
されているファンドについてもよくわかるはずということで、
ヘッジファンド型の運用をするファンドを設定したのですが、

パフォーマンスは正直たいした成果をおさめられていないの
が実態です。

下落局面でかなり強みを発揮するということであれば、
投資価値があると思いますが、現状、通常の株式ファンド
と似たような上昇下落をしており、相関も低くなっていません。

ポートフォリオのコアになるようなファンドではないので、
興味半分で少し投資をしてみるようなファンドですね。

受賞 ファンド名
最優秀 ベスト・アルファ
優秀 ダブル・ブレイン
優秀 ピクテ・ゴールド

まとめ

毎年そうなのですが、債券ファンドやバランスファンドは
一括りで良い悪いをつけられないので、どうしても受賞
ファンドに納得感がありません。

今回も運用会社の意向が強く反映されているラインナップ
だと思っています。

一方で、株式ファンドのほうは比較的まともに選定がされ
ている印象を受けました。

何より、投資を始めたばかりの人はまず投信ブロガーが
選ぶファンド・オブ・ザ・イヤー
からファンドを選んだ
ほうがよいでしょう。

コアになるファンドはインデックスファンドでも十分です。

もう少し超過収益を狙っていきたいという人はサテライトに、
モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞した
ようなファンドを組み入れていくとよいでしょう。