アクティブファンド分析

nextWINは果たして投資価値があるのか?評価はどう?

10年以上前から運用されており、とても高いパフォーマンスを出し続けているnetWIN GSテクノロジー株式ファンド。

何度もモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞し、10年平均利回りが10%を優に超えており、非常に優れたファンドの1本です。

netWIN GS テクノロジー株式ファンドは米国株式が中心のファンドでしたが、今回netWINシリーズの後継として登場したのがGSアセットのGS フューチャー・テクノロジー・リーダーズ『愛称:nextWIN』です。

nextWINには限定為替ヘッジと為替ヘッジなし、毎月決算型があり、今回は一番人気のnextWIN Bコース(為替ヘッジなし)について徹底分析していきます。

「nextWIN Bコースって投資対象としてどうなの?」

「nextWIN Bコースって持ってて大丈夫なの?」

「nextWIN Bコースより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

GS フューチャー・テクノロジー・リーダーズ『nextWIN』Bコース(為替ヘッジなし)の基本情報

投資対象は?

nextWIN Bコースの投資対象は日本を含む世界の株式です。

主にテクノロジーの活用または発展により恩恵を受け、将来のリーダーになると期待される企業の株式に投資をしていきます。

テクノロジー業界は北米企業がけん引してきましたが、アジア、欧州、新興国などでも将来のテクノロジー・リーダー企業が誕生しており、のちほど紹介しますが、北米以外の優れたテクノロジー企業に投資をしていきます。

nextWINの国別の構成比率を見てみると、北米が61.5%と半分を占めています。netWINはほぼ100%が米国株式でしたので、今回はアジア、欧州、日本の比率がかなり高まっています。

ただ、銘柄の選定方法はnetWINと変わりませんので、同じファンドチームが運用に携わるのでしょう。


※引用:マンスリーレポート

nextWINの業種別比率を見ると、テクノロジーファンドだけあり、情報技術の比率が高くなっています。


※引用:マンスリーレポート

では、具体的にどのような企業が組み入れられているのか見ていきます。

nextWIN Bコースと違い、米国以外の企業が上位に組み入れられており、とても興味深いですね。

1位のワークデイは企業向けに人事と財務関連のクラウドアプリケーションを提供する米国企業です。4位のモトローラ・ソリューションズは米国の通信事業会社です。官公庁や公共機関に防災用無線機器、音声・データ通信機器、セキュリティシステムを提供しています。

8位のメルカドリブレは中南米最大のEコマース企業で、2,7億人の会員数を有します。中南米はインターネットの普及率が先進国と比べるといまだに低いため、大きな成長機会があると考えられます。

※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、nextWIN Bコースの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

nextWIN Bコースは2350億円にまで大きくなっており、非常に人気の高いファンドです。規模のデメリットもありません。


※GS HP

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

nextWIN Bコースの実質コストは1.79%とかなり割高の手数料となっています。

購入時手数料もかかってきますので、本当に良いと思わない限りは投資しないようにしましょう。

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.7875%(税込)
信託財産留保額 0%
実質コスト 1.79%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

GS フューチャー・テクノロジー・リーダーズ『nextWIN』Bコース(為替ヘッジなし)の評価分析

基準価額をどう見る?

nextWIN Bコースの基準価額は2021年までは大きく上昇していましたが、2022年以降は大きく下落しており、もとの高値を更新できていません。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

続いて、nextWIN Bコースの利回りを見てみましょう。

直近1年間の利回りは+13.14%で、3年平均利回りは5.5%となっています。

悪くはなさそうですが、どの程度良いのかもこの時点ではわかりません。ですので、必ず他のファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断をするようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +13.14%
3年 +5.50%
5年 -
10年 -

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

nextWIN Bコースは、日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。

nextWIN Bコースは、1年、3年平均利回りともに下位30%となっています。この順位ではなかなか積極的に投資をしようという気になりません。

上位●%
1年 75%
3年 85%
5年 -
10年 -

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

nextWIN Bコースの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の大きさを知ることができます。

2020年の設定時期が良かったこともあり、驚異的なプラスのリターンを出しており、2021年、2023年も20%超のプラスです。

ただ、2022年に40%近いマイナスを出しており、かなり値動きの大きいファンドであることがわかります。

年間利回り
2023年 +23.99%(1-9月)
2022年 ▲37.55%
2021年 +25.32%
2020年 +70.76%(4-12月)

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとの利回り比較

nextWIN Bコースに投資を検討するのであれば、同じように全世界の株式に投資をしているインデックスファンドと運用実績を比較しておいて損はありません。

今回は、nextWIN Bコースと同じく全世界の株式で構成されているeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較してみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、2022年以降、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が大きく上回っています。

ここまで差がついてしまうと、あえて高いコストを支払ってまで、nextWIN Bコースに投資をする気になりません。

nextWIN Bコース Slim 全世界株式
1年 +13.14% +23.71%
3年 +5.50% +20.23%
5年 - -
10年 - -

※2023年10月時点

類似ファンドとの利回り比較

アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、全世界の株式に投資ができて非常に人気の高いアクティブファンドであるセゾン投信の資産形成の達人ファンドと比較をしてみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、2022年以降、資産形成の達人ファンドが大きく差を広げています。この結果を見ると、高いコストを払うにしても、資産形成の達人ファンドに投資をしたほうがいいですね。

nextWIN Bコース 資産形成の達人
1年 +13.14% +20.46%
3年 +5.50% +15.09%
5年 - +9.75%
10年 - +11.73%

※2023年10月時点

A、B、C、Dコースの利回り比較

nextWIN Bコースに投資をするにあたり、限定為替ヘッジのAコースや、毎月分配型のCコース、Dコースをパフォーマンスを比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

通常、毎月分配型のほうがパフォーマンスは悪いはずなのですが、なぜか毎月分配型で為替ヘッジなしのDコースのパフォーマンスが一番よくなっています。

netWIN B net WIN A
1年 +13.14% +3.83%
3年 +5.50% ▲7.81%
5年 - -
10年 - -

※2023年10月時点

今後、為替がどう動くかはわかりませんが、原則、為替ヘッジなしを選んでおいて間違いないと思います。

私個人のスタンスとしては、将来の為替の予測などしようと思ってもできませんので、為替のヘッジコストを無駄にしないためにヘッジ無しを基本的には選ぶようにしています。

最大下落率はどれくらい?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。

どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。

標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。

それではnextWIN Bコースの最大下落率を見ていきましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲20.55%
3カ月 ▲21.72%
6カ月 ▲27.64%
12カ月 ▲37.55%

※2023年10月時点

nextWIN Bコースは2022年1月~2022年12月までの1年間で▲37.55%と大きな下落をしました。

ファンドの運用においては、大きく下落することもありますが、長期保有をすることでしっかりプラスのリターンが出ていますので、くれぐれもパニック売りはしないようにしてください。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している人が多いということなので、評判が良いということです。

nextWIN Bコースは2022年以降、パフォーマンスの悪化に伴い、資金が流出超過となっています。たしかに現時点で、nextWIN Bコースに投資をするメリットはありませんので、妥当な結果と言えるでしょう。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。

nextWIN BコースはNISAの取り扱いがありますので、うまく活用していきましょう。

つみたてNISA iDeCo
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※2023年10月時点

GS フューチャー・テクノロジー・リーダーズ『nextWIN』Bコース(為替ヘッジなし)の評価分析

nextWIN Bコースのように2021年に大きく上昇したアクティブファンドは2022年、2023年のパフォーマンスが優れず、結果としてインデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまっているファンドが多いです。

一時的に大きな値上がりをすると、「このファンドに投資をすれば大きく儲かりそう!」と思ってしまいがちですが、実際そのタイミングで飛びつくと大抵は痛い目を見ます。

特にnextWIN Bコースのように値動きの大きなファンドは、2022年のように●●ショックとつかないような相場でも大きく下落することがあり、40%も下落すると、+60%以上のリターンを出さなければ、元の水準にまで戻せません。

ですので、平均的なリターンで十分と言う人は、無理にアクティブファンドに投資をせずに、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)のようなファンドに投資をしてください。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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