インデックスファンドというと、最近では三菱UFJ国際のeMAXIS Slimシリーズが圧倒的な認知度を誇っており、それ以外の運用会社のインデックスファンドが霞んでしまっています。
ですが、国内最大規模の運用会社である野村アセットも世界の株式に分散投資ができるインデックスファンドの運用を行っています。
今日は、野村 つみたて外国株投信について徹底分析していきます。
「野村 つみたて外国株投信って投資対象としてどうなの?」
「野村 つみたて外国株投信って持ってて大丈夫なの?」
「野村 つみたて外国株投信より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
野村 つみたて外国株投信の基本情報
投資対象は?
野村 つみたて外国株投信の投資対象は、先進国および新興国の大型株、中型株に投資をしていきます。MSCI ACWI(除く日本、配当込み、円換算ベース)に中長期的に連動する成果を目指します。
MSCI ACWIは非常に有名な指数で、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)やたわらノーロード全世界株式(含む日本)でも利用されています。
以下のように先進国株が約89%、新興国株が約11%の比率となっています。現在は約2200銘柄で構成されており、国別の比率で見ると、アメリカが約64.5%、次いでイギリス、カナダが続きます。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
野村 つみたて外国株投信はつみたて専用ファンドということもあり、着実に純資産を伸ばしており、現在は約1040億円にまで成長しました。
この規模であれば、問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
野村 つみたて外国株投信の実質コストは0.238%で最安値争いを繰り広げています。この手数料で全世界の株式に分散投資ができるのは魅力的ですね。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.209%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.238%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
野村 つみたて外国株投信の評価分析
基準価額をどう見る?
野村 つみたて外国株投信の基準価額はコロナショックで大きく下落しましたが、それ以降は堅調に推移しています。
2022年は多くのアクティブファンドが下落する中で、プラスの運用ができているのは評価ポイントです。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
野村 つみたて外国株投信の直近1年間の利回りは23.25%となっています。
3年平均、5年平均も2桁利回りとなっていて、かなり高い利回りで運用できているようです。
ただし、この時点で投資判断をしてはいけません。他のファンドと比較をしてから投資するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +23.25% |
3年 | +20.47% |
5年 | +12.77% |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
野村 つみたて外国株投信は、日本を含む国際株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
野村 つみたて外国株投信は平均以下ですので、他にも優れたファンドが多数あることがわかります。とはいえ、インデックスファンドですので、この順位であれば十分ですね。
上位●% | |
1年 | 58% |
3年 | 59% |
5年 | 53% |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
野村 つみたて外国株投信の年別のパフォーマンスも見てみましょう。
年別のパフォーマンスを見ることで、平均利回りだけではわからない、基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2018年、2022年はマイナスですが、10%程度の下落で済んでいるのは安心できますね。
年間利回り | |
2023年 | +22.30%(1-9月) |
2022年 | ▲5.71% |
2021年 | +34.01% |
2020年 | +9.00% |
2019年 | +27.46% |
2018年 | ▲11.91% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは類似ファンドとの利回り比較
野村 つみたて外国株投信へ投資をするのであれば、他のインデックスファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くはありません。
今回は、野村 つみたて外国株投信と同じベンチマークを採用しているeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)と、先進国株式に投資ができるeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、野村 つみたて外国株投信とeMAXIS Slim 全世界株式は同じベンチマークを採用しているので、実質コストの差の分だけ野村 つみたて外国株投信が上回っていることがわかります。
一方、新興国が含まれていないeMAXIS Slim 先進国株式インデックスはわずかですが、野村つみたて外国株投信を上回りました。
ただ、総じて、どのファンドに投資をしても大きな差はないと言えます。
つみたて外国株投信 | slim 全世界株式 | |
1年 | 23.25% | 23.71% |
3年 | 20.47% | 20.23% |
5年 | 12.77% | - |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
野村 つみたて外国株投信のようなインデックスファンドに投資をするのであれば、コストは高くなるものの高い利回りが期待できるアクティブファンドと利回りを比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は、全世界の株式に分散投資ができるアクティブファンドとして、非常に人気のセゾン投信の資産形成の達人ファンドと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間においては、ほぼ全期間で、野村 つみたて外国株投信のほうが上回っています。
これであれば、高いコストを支払わずとも、野村 つみたて外国株投信に投資をしておけばいいですね。
つみたて外国株投信 | 資産形成の達人 | |
1年 | +23.25% | +20.46% |
3年 | +20.47% | +15.09% |
5年 | +12.77% | +9.75% |
10年 | - | +11.73% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
野村 つみたて外国株投信に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではここで野村 つみたて外国株投信の最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.61% |
3カ月 | ▲22.19% |
6カ月 | ▲13.30% |
12カ月 | ▲12.33% |
※2023年10月時点
最大下落率は運用期間がまだ短いので20%程度しかありませんが、リーマンショックのときは株式ファンドは50%程度下落したこともありますので、今後、まだまだ大きな下落をすることはあると思っておいたほうがいいですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
それでは、野村 つみたて外国株投信の評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
野村 つみたて外国株投信は設定来、安定的に流入が続いており、安定して人気を維持していることがわかります。
つみたてという特性上、毎月つみたてるのが基本なので、毎月流入があるのは当然なのですが、やはりグローバル株式に投資をしたいというニーズは強いということですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
野村 つみたて外国株投信のNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
NISAだけ対応しているので、積立投資を検討している場合はNISA制度を積極的に活用いましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
野村 つみたて外国株投信の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか。
グローバル株式自体は長期間で見ても、一桁後半の利回りは出ているので、途中で解約せずに長期で積み立てるのがベストです。
つみたてNISAでの積立もできますので、20年間しっかりと運用をすれば、売却益に税金もかからず、投資家のメリットはかなり大きくなります。
コスト面からみても、全世界株式に投資ができるインデックスファンドとしてはほぼ最安値ですので、つみたて投資をするのであれば、野村 つみたて外国株投信はおすすめです。
また、よく全世界株式に投資すべきか先進国株式だけでいいかと聞かれることがあります。さきほど比較をしたように新興国株のありなしで大きく利回りに差はつきませんので、どちらに投資をしても大丈夫です。
感覚的に、全世界株式に分散しておいたほうが安心だと思えば、野村 つみたて外国株投信を選べばよいと思います。
またインデックスファンドへの投資だけでなく、全世界の株式に分散投資ができるファンドとして、非常に優秀なアクティブファンドも数は少ないですが、存在します。
ですので、ポートフォリオの一部としてアクティブファンドを取り入れるのも検討する価値があると思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点