直近の株式相場が好調であることを背景に圧倒的な
人気を見せているレバレッジ型ファンド。

各運用会社が競うように次々とファンドを設定して
います。

アストマックスからはウルトラバランス 世界株式が
非常に人気であることを背景に、ウルトラバランス
高利回り債券(年2回決算型/隔月決算型)が登場します。

債券ファンドにレバレッジをかけたファンドは三井
DSアセットのボンド・セロトリプル以来です。

今日は、ウルトラバランス 高利回り債券を徹底分析
していきます。

ウルトラバランス 高利回り債券(年2回決算型/隔月決算型)の基本情報

投資対象は?

ウルトラバランス 高利回り債券の投資対象は
ハイイールド債券と新興国債券および、国内外の
債券先物・商品先物に投資をしていきます。

ハイイールド債券及び新興国債券はiSharesのETFを
通じて、投資をしていきます。高利回り債券は、
信用度が低いぶん、利回りが高く設定されており、
国債よりもリスクは高くなりますが、株式以上に
リターンが出るように設計されているようです。


※引用:商品説明資料

ウルトラバランス 世界株式と比較をしてみると、
ほぼ同じようなリスク・リターンのポジションに
あることがわかります。

こうなってくると、一般投資家はどちらに投資を
すればよいか迷ってしまうと思います。

そもそも論として、同じようなファンドを2本新規
設定することに意味があるのか甚だ疑問です。


※引用:商品説明資料

それでは、具体的に各アセットの組入比率を見て
みましょう。

レバレッジは2.9倍なので、ウルトラバランス 世界
株式とまったく同じです。

ウルトラバランス 世界株式の場合は世界株式ETFが
80%でしたが、その80%部分がウルトラバランス
高利回り債券では米ドル建てハイイールド社債40%、
米ドル建て新興国債券40%に分散されています。


※引用:商品説明資料

運用の特徴は?

ウルトラバランス 高利回り債券の一番の特徴は株式や
債券と異なる値動きをする金先物を組み入れることで
リスクを抑えているという点です。

バックテストの結果を見ると、リーマンショック時でも
金先物の比率を高めたことで下落率を30%程度に抑えら
れたようです。

リーマンショックの下落分を取り戻すのにわずか9カ月
しかかかっていないのであるとすると、それは本当に
すごいことです。

ちなみにウルトラバランス 世界株式では1年5カ月かか
っています。

しかし、若干ひっかかる点があります。それは以下の
商品説明資料の違和感です。

この図を見ると、2006年以降、2011年まで騰落率が
プラスになっている場所がなく、なぜか0%の位置に
とどまっていることが多いように見えます。

未だその謎を解明できてはいないのですが、このチャート
の形状には資料を作成した側の意図を感じてしまいます。


※引用:商品説明資料

期待できる運用利回りは?

あくまでバックテストの結果なので、そのまま信じる
わけにはいきませんが、約20年間積立投資をした場合、
累積収益率が567%なので、約5.7倍になるとのこと。

こういった情報は過去の一番良い時期からのパフォー
マンスを載せていますので、まずこの水準まで高い
利回りには成りませんが、バックテストの結果は悪く
ないようです。

ただ、バックテストはパフォーマンスが良くなるように
アセットクラスの比率を調整していますので、良くなって
当然であることは肝に銘じておいてください。


※引用:商品説明資料

運用期間が4カ月ほど違うため、そのまま比較はでき
ませんが、ウルトラバランス 世界株式と比較をしても
遜色ないパフォーマンスをバックテストでは残せている
ようです。


※引用:商品説明資料

レバレッジ型ファンドの最大のデメリットとは?

ウルトラバランス 高利回り債券への投資を検討する
のであれば、レバレッジ型ファンドのデメリットも
しっかりと理解しておかなければいけません。

レバレッジ型ファンドの最大のデメリットはレバレッジが
大きいほど運用の仕組み上、下落圧力がかかるということです。

もう少し具体的に説明をしていきます。

ウルトラバランス 高利回り債券が目標とする
レバレッジ2.9倍は、前日に対する1日の値動き
についてのものです。

言い換えると、比較する日から2日間以上期間が
空くと、必ずしも2.9倍の値動きにはならなく
なります。

日経平均株価に連動するファンドだった場合を
例にして詳しく説明します。

当初時点での価格を100円として、1日後、日経
平均株価が5%下落して95円になると、レバレッジ
ファンドはその2.9倍である14.5%下落します。

そして、2日目。日経平均株価が100円に戻った
とすると、+5.26%上昇したことになります。

すると、レバレッジファンドは15.254%上昇する
ことになります。

対象 当初 1日目 2日目
日経平均株価 100円 95.0円(▲5%) 100円(+5.26%)
2.9倍レバレッジF 100円 85.5円(▲14.5%) 98.54円(+15.254%)

さて、ここからが問題なのですが、実際に数値を
確認してみると、日経平均株価は100円に戻って
いますが、レバレッジファンドはどうでしょうか。

98.54円になっています。

実際に計算してみるとよりイメージが沸きますが、
複利計算の構造上、レバレッジが利けば効くほど、
一度下落してしまうと元の水準に戻すのが難しく
なります。

つまり、下落したときは、より高い利回りで運用が
できないと元の水準まで戻せません。このことを
理解しないまま投資をしている人が多すぎます。

そして、今がまさにそうですが、たいていレバレッジ
型ファンドの人気が出てくるのは、株式相場が好調な
ときです。

高利回り債券も、債券ではありますが、社債が中心の
場合は株式相場が好調だと基準価額が上昇します。

そこでこぞってレバレッジ型ファンドに投資をする
わけですが、一般投資家がマーケットに入ってくる
ときにはすでに相場の方向が変わりかけていることも
多く、その後大きく下落することも多いです。

そして大きく下落したときはレバレッジがきいています
ので、通常の2.9倍の損失となります。

さらにさきほどの例にも示したように、レバレッジが
利いている分、余計に元の水準まで戻すことが難しくなり、
結局損失を出して退場するのがよくあるパターンと言えます。

最近の目論見書はこのようなリスクについてしっかりと
説明していないので、とりあえず自己資金の2.9倍で
投資ができると気軽に投資をしている人が多いと思い
ますが、非常に危険な考えだと思います。

信託期間が短く設定してあることからもわかるとおり、
長期で利益が出るファンドではないということです。

ウルトラバランス 高利回り債券(年2回決算型/隔月決算型)の評価分析

ウルトラバランス 高利回り債券ファンドはアストマックスが
今のレバレッジ型ファンドの人気にあやかりたいと思い、
追加で用意した商品です。

販売資料を見ると、利益がすごく出るように見えてしまう
ので、あまりよくわからず投資をしてしまう人も多いでしょう。

しかし、あくまでバックテストの結果ですので、将来も
同じ運用が続くことは保証されていません。

また、ウルトラバランス 世界株式ファンドとかなり
類似した値動きをしていますので、両方を合わせて
購入するという選択肢はありません。

そして何度も言っていますが、普段バランス型ファンド
を好き好んで投資しているような人が仮に自己資金を
約3倍にして同じ運用ができると思っているとすると、
基準価額の変動幅の大きさに耐えられなくなることは
間違いありません。

レバレッジが利いた運用というのは魅力的に感じますが、
本来リスクを抑える目的でバランス型ファンドに投資を
しているにもかかわらず、レバレッジをかけてリスクを
高めるというのは、そもそも自分の投資スタンスを見失
っているように感じます。

もしリスクをもう少しとりたいというのであれば、別に
バランス型ファンドでなくとも、株式ファンドにする
だけでリスクをあげることもできます。

よくわからないものによくわからないまま投資すると
いうのが一番もったいないですので、くれぐれも本当に
必要なのか判断するようにしてください。

そして、少なくともどのような値動きをするのか、1年
ほど様子を見てから投資をするのでも全然遅くはあり
ませんので、慎重に銘柄を選定しましょう。