日興アセットのグローバル3倍3分法ファンド
楽天投信のUSA360とならび、直近で非常に多くの
投資家から注目を集めているのがアストマックスの
ウルトラバランス 世界株式です。

私がレバレッジ型のバランスファンドとリスクを
抑えて運用したいのかリスクを取って運用したい
のか何をしたいのかよくわからないと思ってしまう
のですが、どうも一般の投資家からは非常に人気が
あるようです。

個人的には一時的なブームですぐに終わるだろうと
思っていますが、今後の動向は非常に興味があります。

今日はそんなウルトラバランス 世界株式を
徹底分析していきます。

ウルトラバランス 世界株式の基本情報

投資対象は?

ウルトラバランス 世界株式の投資対象は
株式と債券です。

株式部分はiSares Edge MSCIミニマムボラティ
リティグローバル・ETFを通じて、世界各国の
株式に分散投資をしていきます。

このETFは世界株式最小分散ETFとも呼ばれて
おり、新興国を含む世界各国の株式のうち、
相対的に値動きが小さく、異なる動きをする
可能性が高い銘柄を選んで投資するETFです。

ですので下図のようにリスクを抑えつつ、高い
リターンが期待できるETFとなっています。


※引用:商品説明資料

債券は債券先物を通じて米国債、フランス国債、
日本国債に分散投資を行い、金先物にも投資を
していくようです。

ポートフォリオ全体としては2.9倍のレバレッジ
をかけますので、投資金額100に対して、以下を
基本比率として分散投資をしていきます。


※引用:商品説明資料

運用の特徴は?

ウルトラバランス 世界株式の一番の特徴は株式や
債券と異なる値動きをする金先物を組み入れること
でリスクを抑えているという点です。

バックテストの結果を見ると、リーマンショック時
でも金や債券の比率を高めたことで下落率を30%程度
に抑えられたようです。

リーマンショックの下落分を取り戻すのに1年5カ月
しかかかっていないのであるとすると、それは本当に
すごいことなのですが、若干ひっかかる点があります。

それは以下の商品説明資料の違和感です。

この図を見ると、2006年以降、2011年まで騰落率が
プラスになっている場所がなく、なぜか0%の位置に
とどまっていることが多いように見えます。

未だその謎を解明できてはいないのですが、この
チャートの形状には資料を作成した側の意図を
感じてしまいます。


※引用:商品説明資料

期待できる運用利回りは?

あくまでバックテストの結果なので、そのまま
信じるわけにはいきませんが、約20年間積立を
続けた場合、累積収益率が611%なので、約6倍
になるとのこと。

こういった情報は過去の一番良い時期からの
パフォーマンスを載せていますので、まずこの
水準まで高い利回りには成り得ませんが、参考
にはなりますね。

そして、バックテストはパフォーマンスが良く
なるようにアセットクラスの比率を調整して
いますので、良くなって当然であることは
肝に銘じておいてください。


※引用:交付目論見書

レバレッジ型ファンドの最大のデメリットとは?

ウルトラバランス 世界株式への投資を検討する
のであれば、レバレッジ型ファンドのデメリット
もしっかりと理解しておかなければいけません。

レバレッジ型ファンドの最大のデメリットは
レバレッジが大きいほど運用の仕組み上、下落
圧力がかかるということです。

もう少し具体的に説明をしていきます。

ウルトラバランス 世界株式が目標とするレバレッジ
2.9倍は、前日に対する1日の値動きについてのものです。

言い換えると、比較する日から2日間以上期間が
空くと、必ずしも2.9倍の値動きにはならなくなります。

バランス型ファンドだと複雑なので、レバレッジ2.9倍の
日経平均に連動するレバレッジファンドだったとして説明して
いきます。

当初時点での価格を100円として、1日後、日経平均
株価が5%下落して95円になると、レバレッジファンドは
その2.9倍である14.5%下落します。

そして、2日目。日経平均株価が100円に戻ったとすると、
+5.26%上昇したことになります。

すると、レバレッジファンドは15.254%上昇すること
になります。

対象 当初 1日目 2日目
日経平均株価 100円 95.0円(▲5%) 100円(+5.26%)
2.9倍レバレッジF 100円 85.5円(▲14.5%) 98.54円(+15.254%)

さて、ここからが問題なのですが、実際に数値を
確認してみると、日経平均株価は100円に戻って
いますが、レバレッジファンドはどうでしょうか。

98.54円になっています。

実際に計算してみるとよりイメージが沸きますが、
複利計算の構造上、レバレッジが利けば効くほど、
一度下落してしまうと元の水準に戻すのが難しく
なります。

つまり、下落したときは、より高い利回りで運用が
できないと元の水準まで戻せません。このことを
理解しないまま投資をしている人が多すぎます。

そして、たいていレバレッジ型ファンドの人気が
出てくるのは、株式相場が好調なときです。

そこでこぞってレバレッジ型ファンドに投資をする
わけですが、一般投資家がマーケットに入ってくる
ときにはすでに相場の方向が変わりかけていること
も多く、その後大きく下落することも多いです。

そして大きく下落したときはレバレッジがきいて
いますので、ダメージは2.9倍の損失となります。

さらにさきほどの例にも示したように、レバレッジが
きいている分、余計に元の水準まで戻すことが難しく
なり、結局損失を出して退場するのがよくあるパターン
でしょう。

最近の目論見書はこのようなリスクについてしっかりと
説明していないので、とりあえず自己資金の2.9倍で
投資ができると気軽に投資をしている人が多いと思い
ますが、非常に危険な考えだと思います。

信託期間が短く設定してあることからもわかるとおり、
長期で利益が出るファンドではないということです。

ウルトラバランス 世界株式の評価分析

ウルトラバランス 世界株式ファンドはアストマックスが
今のレバレッジ型ファンドの人気にあやかりたいと思い、
追加で用意した商品です。

販売資料を見ると、利益がすごく出るように見えて
しまうので、あまりよくわからず投資をしてしまう
人も多いでしょう。

しかし、あくまでバックテストの結果ですので、将来も
同じ運用が続くことは補償されていません。

また、普段バランス型ファンドを好き好んで投資して
いたような人が仮に自己資金を約3倍にして同じ運用が
できると思っているとすると、基準価額の変動幅の
大きさに耐えられなくなることは間違いありません。

レバレッジが利いた運用というのは魅力的に感じますが、
本来リスクを抑える目的でバランス型ファンドに投資を
しているにもかかわらず、レバレッジをかけてリスクを
高めるというのは、そもそも自分の投資スタンスを見失
っているように感じます。

もしリスクをもう少しとりたいというのであれば、別に
バランス型ファンドでなくとも、株式ファンドにするだけ
でリスクをあげることもできます。

よくわからないものによくわからないまま投資する
というのが一番もったいないですので、くれぐれも
本当に必要なのか判断するようにしてください。