PCやスマホで簡単にトレードができるようになったことで
より多くの投資家が気軽にマーケットにアクセスできるよう
になりました。

しかし、一方で、トレードをコンピューターゲームのように
考えている投資家も増えてきており、非常に危機感を感じて
います。

前回は相場分析の結果をもとに確信をもってトレードすること
の危険性について紹介しましたが、今回はその相場分析がいかに
あてにならないのかを市場参加者の観点から紐解いてみていきたい
と思います。

案外わかっていないトレードの基本の仕組み

まずは案外ちゃんと理解していない人が多いトレードの基本の
仕組みを説明しておきます。

トレードが成立するにはどの売り手にも買い手が必要で、どの
買い手にも売り手が必要です。

相手側がいなければ取引は成立しません。

そして、PCやスマホで簡単にトレードができるようになった
せいか、どのトレードも、あなたと同じく生きて呼吸をして
いる生身の人間が相対していることを忘れてしまっています。

そのため、買い注文に応じられるだけの売り注文がないときや、
逆のパターンが起きたときに相場がどのように動くのか理解でき
ていない人が増えているように感じます。

例えば、1株100円で取引されているとします。では、1株101円で
取引されるようになるには、どのような条件が必要でしょう?

これには2つの条件が必要です。1つ目は買い注文数が売り注文数
を超えていること。2つ目は1株100円で売りにでていた注文が
すべて約定していること。

この2つです。こうなると、1株101円で買い注文と売り注文を
つけ合わせることになるのです。

それでは、次のような場合は、どのような条件が必要でしょうか?

上昇している価格が上げ止まるためにはどんな条件が必要?

上昇していた価格が上げ止まるためには、次の3つのうちの
どれかが必要となります。

①買い注文の流れは比較的一定のまま、売り注文の数が大きく
なり、取引所の買い注文数と売り注文数のバランスが取れる。

②価格が上がり続けることで、割高になってしまい魅力が低下し、
買い注文数が売り注文数を下回るか、買いが全くなくなる。

価格が上がると、安く買っていた人の多くが利食い売りをしよう
とするので、売り注文数が増えて、上げ止まるということ。

③買い注文数は増えているが、買い注文数をはるかに上回る売り
注文が突然取引所に押し寄せることで、価格は急に上げ止まる
だけでなく反落し始める。

このように、市場の参加者の様々な思惑が重なり、買い注文、
売り注文となって相場を形成しています。

このことをしっかりと頭に入れておいてください。

では、つづいて、実際にはどのような市場参加者がいるのか見て
みましょう。

売買注文の偏りを生む様々な市場参加者

ここでは、イメージしやすいように株式市場の参加者を見て
いきます。

① 個人投資家

まず株式の初心者からセミプロまで、人数で見れば一番多いのが
個人投資家です。原則、現物買いで市場に参加します。

一部、証券会社から資金や株式を借りて行う信用取引を活用する
人もいます。

個人投資家に限らずですが、近年では高度な自動売買プログラムを
作って、売買注文を出す投資家も増えてきています。

② 国内・海外機関投資家

一般的にはプロと呼ばれているのが機関投資家です。

個人投資家と比べると取引額がかなり大きく、証券会社、銀行、
生命保険会社、損害保険会社、投資信託、事業法人など様々な
参加者がいます。

トレードの手法はそれぞれ異なり、短期売買で積極的に利益を
追求していく機関投資家もいれば、長期投資を前提に運用する
機関投資家もいます。

③ 仕手筋

いわゆる株式のプロ集団です。大きな資金を元手に、特定の銘柄
の株価を意図的に吊り上げ、利益を獲得していきます。

④ 公的年金等

日本で言えば、GPIFですが、投入する金額もかなり大きいこと
から市場参加者が動向を注目しています。投資額に上限がある
ため、1年の特定の時期に売買が集中する傾向があります。

ここで知っておいてほしいのは、市場にこれだけの参加者がいて、
それぞれ独自の思惑をもってトレードに参加しているということ
です。

そして、次に紹介するように、これだけ多くの市場参加者が様々な
ポジションを保有しながら市場に参加しているということを理解
しなければいけません。

無限にある売買注文数の組み合わせ

以下に挙げる例は、多くの参加者の一例であり、細かくみれば、
もっと多くの思惑を持った投資家が存在します。

●何らかの理由で、価格が上がるから買おう、と考えている投資家

●何らかの理由で、価格が下がるから売りポジションを取ろう、
と考えている投資家

●すでに安値で買っていて、何らかの理由で利食いをしようと
考えている投資家

●すでに高値で売りポジションを取っていて、何らかの理由で
利食いしようと考えている投資家

●すでに高値で買っていて、何らかの理由で損切りしようと考え
ている投資家

●すでに安値で売りポジションを取っていて、何らかの理由で
損切りしようと考えている投資家

様々な市場参加者が様々なポジションを保有しており、様々な
思惑を持っていることがわかっていただけたのではないでしょうか?

ここで改めて相場分析について考えてみると、疑問がでてきます。

例えば、テクニカル分析をした結果、サポートライン(支持線)に
タッチしてから反転上昇を繰り返すチャートパターンがあったとき、
今回もサポートラインにタッチしそうな状況だったとします。

自分の相場分析に自信を持っている人ほど、「ここは反転上昇する
から買いだ」とすぐに判断してしまいますが、それは早計です。

ちょうど今学んだ市場参加者の動向を考えればわかりますが、
同じチャートパターンを繰り返しているからといって、同じ
市場参加者が同じタイミングで同じ注文をしているわけでは
ないということです。

たまたま市場参加者全体の買い注文と売り注文を付け合わせて
みると、似たようなチャートパターンになっただけのことなの
です。

なので、前回、反転上昇したときと、前々回、反転上昇したとき
の市場参加者は当然違いますし、今回の市場参加者も当然前回と
は変わってきます。

市場参加者が違ってこれば、当然それぞれの思惑も違ってきます
ので、このタイミングで売りたいと思っている参加者が多いかも
しれません。

そうすれば、当然反転上昇することはありません。このように、
相場分析をしただけでは、今回反転上昇するかは決してわからない
ということなのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

普段、PCやスマホでトレードしていると、トレードの根本の
仕組みについて考える機会はないと思います。

しかし、改めてトレードの根本の仕組みに立ち戻り、理解して
みると、さまざまなテクニカル分析やファンダメンタルズ分析を
しても、これだけ多くの市場参加者の動向を予測し、価格がどう
動くかを予測することがいかに難しいのかわかっていただけたの
ではないでしょうか。

ただし、勘違いしてほしくないのは、相場分析がまったく使えない
というわけではないということです。

テクニカル分析やファンダメンタルズ分析でもできることできない
ことについて次回まとめていきます。