前回までの内容で様々な思惑をもった市場参加者がおり、その
ような状況のなかで、相場分析をするのは不可能に近いという
話をしました。

相場分析をするのは不可能だと言ってしまうと、トレードするな
ということですか?という質問が飛んできそうですが、決して
相場分析を否定しているわけではないのです。

マーク・ダグラスはファンダメンタルズ分析は論外だと言って
いますが、テクニカル分析については使える場面と使えない場面
があると言っています。

今日は、テクニカル分析はどのように活用するべきなのかを紹介
していきます。

売買注文の流れから理解するテクニカル分析

まずテクニカル分析で使われるチャートとは改めて何なのか
考えてみたいと思います。

市場では、数多くの買い注文と売り注文が取引所に入ってきて、
注文の数が等しくなければ、価格が上がったり、下がったりして
います。

そして、市場には数多くの投資家が様々な思惑をもって参加して
いますので、相場の方向はランダムに上下すると考える人もいる
でしょう。

しかし、この一見無秩序に思える買い注文と売り注文を付け合わ
せる過程で不思議な現象と思えることが時々起きます。

それは、まったく無秩序だったはずが、予測可能な特徴をもつ
対称的なパターンに変わるのです。

対称的ということは行動の根底に同質性があるということを
意味します。

そして行動が同質だということは、その行動が繰り返されて、
予測が可能になるかもしれないということを意味します。

それはなぜか。

毎日、毎週、毎月、数人数十人がやりとりしながら生み出す
集合的な行動パターンは個人が示す典型的な行動パターンと
同じくらい信頼できるからです。

絶えず繰り返されるパターンを見つけたら、同じパターンが
形成されたあとに過去のトレーダーが振舞ったのとおなじように、
現在のトレーダーも振舞うだろうと推測ができます。

テクニカル分析の限界

チャートパターンに基づく分析は驚くほど正確に予測できる時
があります。

仕掛けのシグナルが出たタイミングで買ったら、そこが上昇トレ
ンドのはじまりだったという経験をすることも珍しくありません。

しかし、同時にチャートパターンの性質には非常にやっかいな
特徴があり、利益を生む可能性を最大限に利用するためには、
その特徴に気づくことが必要です。

特徴①テクニカル分析を構成する価格のパターンや方程式に従っても、個々のトレードごとの予測の信頼度は高くならない

パターンが示す予測に従ってトレードをしたら勝てた。という
経験をすると、パターンや指標を使えば、ほかのトレーダー達
のその後の動きがわかるという思い込みに陥りがちです。

しかし、チャートパターンがどう見えようと、絶対にそのような
ことはありません。

テクニカル分析のチャートパターンが示しているのは、予測
方向に価格が動く可能性が高いということだけです。

パターンが示しているのは、何人かはわからないトレーダーが
十分な注文を出したら、価格が予測方向に動く可能性があると
いうことだけです。

価格が予測と一致する方向に動くほどの数のトレーダーが市場
に入ってこないかもしれませんし、彼らの注文数が不十分な
可能性もあります。

また別の思惑を持ったトレーダーが予測とは逆の方向に価格を
動かす注文をするかもしれません。

では、テクニカル分析で価格の予測はできないのではないかと
思ってしまうかもしれませんが、決してそうではありません。

あなたが過去チャートの分析によって導き出したパターンと
いうのは、予測のサンプルサイズが十分に大きいときに現れる
相関関係です。

つまり、個々のトレードごとの予測の信頼度は高くありませんが、
一連のトレード全体(何度も同じパターンが現われたときにトレ
ードを繰り返す)では、信頼度が高くなるということを意味して
いるのです。

もう少しわかりやすく説明すると、過去10年間のチャートを分析
し、値動きの方向を80%正しく、20%は誤って予測をするパターン
を見つけたとします。

では、このパターンに従ってあなたが1回のトレードをするとき、
勝つ確率は何%でしょうか?

価格はエントリーした水準から、上がるか下がるかしかないわけ
ですから、勝つ確率は50%でしかありません。

では、その次も同じパターンに従ってトレードをするとします。
勝つ確率は何%でしょうか?

そうです。50%でしかないのです。

多くの人が勘違いしているのは、1回1回のトレードの勝率を80%に
上げられると思っているということです。1回1回のトレードでの
勝率はどう頑張ろうと50%以上にあげることはできません。

だんだん、頭が混乱してきた人もいるかもしれませんが、これは
つまり、過去のチャートを分析して、1000回トレードすれば800回
は勝てるトレードパターンをあなたが見つけたとしても、1回1回の
トレードでみれば、勝率は50%でしかないということです。

つまりは、10回連続で負けることもあれば、10回連続で勝つことも
起こり得ます。

しかし、負け続けてもトレードを1000回繰り返せば、最終的には
800回程度は勝てるパターンであるということです。

特徴②トレードで勝っていても、勝っている理由は何もわからない

この発言には反論したくなる人もいると思います。

過去のチャートを分析した結果と同じようなチャートパターンが
現われたのは確かに正しいのです。そのパターンがあるという
明白な証拠もチャートをみればわかります。

また、価格がパターンの予測どおりの方向に動いたというのも
正しいです。チャートを見れば明白です。

しかし、それ以上の何が真実かはわかりません。パターンがなぜ
現れたのか、他のトレーダーたちがパターンの予測通りになぜ
動いたのかあなたは答えられますか?

理由がわからないのは、チャートパターン自体は、価格がなぜ
特定の方向に動いているかを説明していないからです。

理由を解明するには、その時点に参加していたすべての①注文者
②注文理由③注文数がわかる必要があります。

ですが、現実的に考えれば、これがいかに不可能かはすぐわかる
でしょう。いくら相場を分析しても、最終的に勝った本当の理由
は決してわからないのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ここまで読み進めると、結局どうすればよいのか?と立ち止まって
しまう人もいるかもしれません。

しかし安心してください。

トレード全体として着実な成果を上げられるかどうかは自分が
勝つ本当の理由がわかる必要はないのです。

むしろ、分からなくてもいいし、分からなくても気にしないし、
けっして理由を探せなくても気にしないと思えるかどうかに
かかっています。

次の記事で、着実な成果をあげるための考え方についてまとめて
いきます。