コロナショックで一時は大きく下落した米国株ですが、
予想以上の急回復を見せており、わずか数カ月で、直近の
最高値を更新してきました。
その中でも高いパフォーマンスを出しているのが、ティー・
ロウ・プライスのティー・ロウ・プライス米国成長株ファンド
『アメリカン・ロイヤルロード』です。
果たして、どのようなファンドなのか今日は徹底分析していきます。
「アメリカン・ロイヤルロードって投資対象としてどうなの?」
「アメリカン・ロイヤルロードって持ってて大丈夫なの?」
「アメリカン・ロイヤルロードより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド『アメリカン・ロイヤルロード』の基本情報
投資対象は?
アメリカン・ロイヤルロードの投資対象は米国株式の中でも
成長性が高いと判断させる企業に投資をしていきます。
ポートフォリオの構築段階では、銘柄を70~120銘柄に絞り
込みます。
以下のように、持続成長、循環成長、特殊な成長という切り
口で銘柄を選定し、全体として安定な運用を目指します。
※引用:交付目論見書
アメリカン・ロイヤルロードの国別の構成比をみると、米国以外にも
一部他の国の銘柄が含まれているようです。
※引用:マンスリーレポート
アメリカン・ロイヤルロードは現在約94銘柄に投資をして
おり、上位10銘柄を見ると、以下のようになっています。
超大手企業が上位を独占していますので、銘柄に新鮮味は
ないですね。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
アメリカン・ロイヤルロードのつみたてNISAとiDeCoの対応状況
を確認しておきましょう。
残念ながらどちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2021年9月時点
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄
を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく
減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、
予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認
すべきポイントの1つです。
アメリカン・ロイヤルロードの純資産はすでに4100億円を
突破しており、非常に規模の大きなファンドとなっています。
これは販売会社のみずほ銀行とみずほ証券が相当力をいれて
販売しているということです。
それにしてもすさまじい勢いです。
※引用:交付目論見書
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資
判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
アメリカン・ロイヤルロードの実質コストは1.52%となっています。
購入時手数料と併せると、初年度は5%近く取られてしまいますので、
パフォーマンスが悪ければ、絶対買わないファンドですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.463%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.52%※概算値 |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド『アメリカン・ロイヤルロード』の評価分析
基準価格の推移は?
アメリカン・ロイヤルロードはコロナショックで一時は
8000円を割り込みましたが、そのあと急回復をしており、
コロナショックが小さな下落に感じるくらいに大きく
上昇しています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
アメリカン・ロイヤルロードの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは29.32%とかなり高い数値となっています。
基準価額の推移を見てもわかる通り、かなり好調であることが
わかりますね。
ただ、この数値だけをみて判断するのは早計です。他の
ファンドとの比較を忘れずにするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +29.32% |
3年 | – |
5年 | – |
10年 | – |
※2021年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
アメリカン・ロイヤルロードは北米株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
アメリカン・ロイヤルロードは、一見すると優れたパフォーマンス
のファンドのように見えましたが、競合ひしめく米国株カテゴリー内
では、なんと下位20%に入ってしまっています。
このように、利回りだけで判断すると本当に優れているファンドを
見逃してしまいがちなので、比較することを癖付けするように
しましょう。
上位●% | |
1年 | 85% |
3年 | – |
5年 | – |
10年 | – |
※2021年9月時点
年別の運用パフォーマンスは?
アメリカン・ロイヤルロードの年別のパフォーマンスを
見てみると、2020年、2021年と堅調にプラスのリターンを
出しています。
2桁利回りであれば、十分すごいと感じてしまいますが、
年間利回り | |
2021年 | +18.27%(1-6月) |
2020年 | +27.61% |
2019年 | – |
※2021年9月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとの利回り比較
アメリカン・ロイヤルロードに投資をするのであれば、
より低コストのインデックスファンドとパフォーマンスを
比較しておきたいところです。
アメリカン・ロイヤルロードは米国株で構成されているため、
今回は、私がよくおすすめしているeMAXIS Slim米国株式
(S&P500)と比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
結果はアメリカン・ロイヤルロードの圧勝です。
直近1年間の利回りはあまり優れていませんが、少し
長い期間で見ると、eMAXIS Slim S&P500をしっかり
上回る水準で運用されていることがわかります。
どの期間で数値をみるかでも評価が変わりますので、
できるだけ長期のパフォーマンスを見て評価するように
してください。
ロイヤルロード | Slim 米国株式 | |
1年 | +29.32% | +36.37% |
3年 | – | +17.27% |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2021年9月時点
アクティブファンドとの利回り比較
アメリカン・ロイヤルロードに投資をするのであれば、
類似のアクティブファンドとパフォーマンスを比較して
からでも遅くはありません。
今回はS&P500の中から優れた銘柄を絞り込んで運用している
アライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと
パフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
かなり競ってはいますが、直近では、アメリカン・ロイヤルロード
が米国成長株投信にわずかに負けています。
どちらのファンドも優れた成果を出しているファンドなので、
十分検討する価値があると言えます。
ただ、アメリカン・ロイヤルロードはまだ運用期間が短いので、
長期運用で高い成果を出し続けている米国成長株投信と比べると、
少し信頼性が下がります。
ロイヤルロード | 米国成長株B | |
1年 | +29.32% | +35.47% |
3年 | – | +23.86 |
5年 | – | +24.89% |
10年 | – | +23.51% |
※2021年9月時点
最大下落率は?
アメリカン・ロイヤルロードへの投資を検討するのであれば、
どの程度下落する可能性があるのかは知っておきたいところです。
標準偏差からある程度の変動範囲は予測できますが、過去に実際に
どの程度下落したのかを確認しておいたほうがよいでしょう。
アメリカン・ロイヤルロードの最大下落率は、2020年1月~3月で
▲14.96%となっています。
まだ新規設定されてから時間が経っていないので、この程度の
下落しか経験していません。
ただ、株式ファンドであれば、一時的にとはいえ、最大30~40%は
下落することがあると覚悟して投資をしたほうがいいでしょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲10.80% |
3カ月 | ▲14.96% |
6カ月 | – |
12カ月 | – |
※2021年9月時点
評判はどう?
続いて、アメリカン・ロイヤルロードの評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を
知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということに
なります。
アメリカン・ロイヤルロードは初月に1500億円近い金額が
流入しており、2020年までは流入超過の月が続いていました。
しかし、2021年以降はパフォーマンスがそこまで奮っていない
こともあり、流出超過となっています。
総合的にみて、パフォーマンスは悪くないのですが、人気に
陰りが見え始めているようです。
※引用:モーニングスター
ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド『アメリカン・ロイヤルロード』
米国株に投資ができるファンドの中でも、アメリカン・
ロイヤルロードは高い運用実績を残しています。
インデックスファンドをアウトパフォームしているので、
高いコストを支払ってでも投資をする価値があると言えます。
ただ、米国株ファンドは本当に優秀なファンドが多く、必ず
比較してから投資をするようにしてください。
アメリカン・ロイヤルロードでも十分高いリターンは期待
できますが、運用期間がまだ数年というのが気になります。
10年以上高い成果を出し続けている米国株ファンドもありますので、
色々アクティブファンドを比較してみると面白いと思います。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点