一時期は純資産が5000億円を越える巨大なファンドだったダイワ
高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)。

 

高格付けの債券への投資であれば、安定した分配金を受け取れる
であろうと思い、投資した投資家が多かったようです。

 

ただし、タコ足配当を長らく続けていたせいで、直近ではかなり
厳しい状況に追い込まれています。

 

今日は、そんなダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)を
徹底分析していきます。

 

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の投資対象は
カナダ・ドル建ての公社債です。注意してほしいのは、カナダ国債
だけでなく、カナダ・ドル建の他の債券にも投資をしていく点です。

 

債券ファンドの場合は組入られている債券の信用度をまず確認して
おきましょう。

 

信用度というのは、元本の返済や利払いが滞らないかを測る指標です。
信用度の確認をするにはムーディーズやS&Pといった格付会社の評価が
参考になります。

 

一般的にBaaもしくはBBB以上の債券が投資適格債券と言われており、
投資適格債であればデフォルトの心配はほぼありません。

 

今回、組入られている債券の信用度はAAAもしくはAAの債券に限られ
ていますので、少なくともデフォルトの心配はしなくてもよいでしょう。

 


※引用:交付目論見書

 

つづいて、組み入れられている債券の種類を確認していきます。

 

目論見書などを読むだけですと、カナダ国債がメインのファンドだと
勘違いをしてしまうかもしれませんが、実際は州政府債や事業債の
ほうが比率は高くなっています。

 

ただ、格付は十分高いので心配する必要はなさそうですね。


※引用:マンスリーレポート

 

為替の推移は?

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)に投資をする場合、
為替の影響を受けます。

 

ドル・円の動きは把握できている人も多いかもしれませんが、他の
通貨ペアの為替の動きについては把握できていない人が多いと思い
ます。

 

直近5年の推移を見ると、98円から78円程度まで円高がが進行
しています。円高が進行するとその分パフォーマンスが悪くなる
ので、注意するようにしてください。

 


※引用:マンスリーレポート

 

純資産総額は?

投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認しておきたいポイントです。

 

純資産総額が大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に
効率よく運用できますし、ファンドの運用で必ず発生する保管費用や
監査費用が相対的に低くなりますので、コストが相対的に低く抑えられます。

 

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に
力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので
注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)は2014年ごろ
までは5000億円を越える規模の巨大なファンドでした。

しかし、近年はパフォーマンスも優れず、純資産は減り続けています。
また過剰な分配を続けてきたことによる影響が出始めており、毎年
分配額を切り下げています。

 

それでも未だ1000億円を超える規模のファンドですので、一定の
人気はあると言えます。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかって
いることをご存知ですか?

 

これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や
有価証券取引税、監査費用などが含まれています。

 

特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり
割高になっている場合もあるので、注意が必要です。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の実質コストは
1.41%と債券ファンドの割にはかなり割高となっています。

 

年間の利回りが1%程度しかないので、運用会社の取り分のほうが多い
という何とも理不尽な報酬設定です。

 

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 2.2%(税込)※上限
信託報酬 1.375%(税込)
信託財産留保額 なし
実質コスト 1.41%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の評価分析

基準価額の推移は?

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の基準価額は
直近3年間で25%ほど下落をしています。

 

一方で、分配金を受け取らずに運用を続けた場合の基準価額(青線)
を見てみると、こちらも3年間でわずかに下落しています。

 

つまりファンドの運用自体がうまくいっていないことに加え、
過剰な分配を続けているがゆえにここまで基準価額が下落
しているというわけです。

 

たいてい、基準価額が2000円~3000円台のファンドはまともな
分配をしているファンドはほぼありません。

 

※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の直近1年間の
利回りは▲0.25%です。

 

3年、5年平均利回りもマイナスで、10年平均利回りだけかろうじて
プラスとなっています。

 

この程度のパフォーマンスにもかかわらず、1%台の信託報酬を
取られてしまっては、当然投資家にリターンはほとんどありません。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年1月 2020年7月
1年 +5.73% ▲0.25%
3年 ▲0.24% ▲0.81%
5年 ▲3.51% ▲3.18%
10年 +0.96% 1.05%

※2020年7月時点

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)は国際債券の
北米カテゴリーに属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)は、もともと
最下位に近いところにいましたが、半年前とランキングを比較
しても、ほとんど大差なく、最下位争いをしています。

 

このパフォーマンスで未だ1000億円の純資産があるというのは
驚きです。

2020年1月 2020年7月
1年 62% 57%
3年 87% 67%
5年 96% 89%
10年 100% 100%

※2020年7月時点

 

年別のパフォーマンスは?

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の年別の
パフォーマンスを見てみましょう。

 

直近5年間ではマイナスで終わってしまっている年のほうが多く、
このようなパフォーマンスでは解約する投資家が増加してしまう
のも納得です。

 

株式と債券を保有することでリスクを下げるという一般論がありますが、
近年では債券ファンドをポートフォリオに組み入れても、株式ファンドと
同じタイミングで下落してしまうのであまりおすすめできません。

 

債券ファンドを保有するくらいであれば、キャッシュポジションを
増やしたほうが賢明です。

年間利回り
2020年 ▲1.42%(1-6月)
2019年 5.73%
2018年 ▲8.96%
2017年 +3.13%
2016年 ▲1.72%
2015年 ▲14.29%
2014年 +9.66%

※2020年7月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)への投資を
検討しているのであれば、他の毎月分配型のファンドと比較を
しておいて損はありません。

 

今回は、世界の公社債に分散投資ができるグローバル・ソブリン・
オープン(毎月決算型)
とパフォーマンスを比較してみました。

 

結果はグローバル・ソブリン・オープンの圧勝です。

 

ここまで差がつくと、あえて、ダイワ高格付カナダドル債
オープン(毎月分配型)に投資をする理由が見当たりません。


※引用:モーニングスター

 

ちなみに、もう少し長期のパフォーマンスで2つのファンドを
比較しています。

 

5年平均、10年平均利回りで見ても、明らかにグローバル・
ソブリン・オープンのほうがパフォーマンスで上回っています。

 

ここまで差が明確になっていると、すぐにでもダイワ高格付
カナダドル債オープン(毎月分配型)を乗り換えるべきだと
わかります。

ダイワ 高格付カナダ グロソブ
1年 ▲0.25% 3.61%
3年 ▲0.81% 1.51%
5年 ▲3.18% ▲0.02%
10年 1.05% 3.86%

※2020年7月時点

 

最大下落率は?

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)に投資をする前に、
最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に
重要です。

 

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した
相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

 

それではダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の
最大下落率を見てみましょう。

 

最大下落率は2008年1月~2008年12月の1年間で▲29.34%です。
この程度のパフォーマンスしかない中で、30%近く下落してしまうと、
元の水準まで戻すのはかなり難しいと言わざるをえません。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲18.56%
3カ月 ▲24.28%
6カ月 ▲27.29%
12カ月 ▲29.34%

※2020年7月時点

 

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲130円 130円 0%

※2019/7/30~2020/7/29

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の直近1年間の
分配健全度は0%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)はちょうど
0%ですので、あなたが今年1年で受け取った分配金の中に、
今年ファンドであげた収益は一切含まれていないということです。

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の
分配金利回りは3.8%とかなり健全な水準ではあります。

 

ただ、ファンドの運用利回りがマイナスなので、あなたが
受け取っている分配金のすべてがあなたが投資した資金
が戻ってきているに過ぎないということです。

 

これでは分配金利回りが高くても全く意味がありません。

 

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲0.25% 3.8%
3年 ▲0.81%
5年 ▲3.18%
10年 1.05%

※2020年7月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の
分配金余力は、すでに10カ月しかありません。

 

ここから1年以内に再度減配されたとしてもおかしくない
水準まで来てしまっています。

 

ファンドのパフォーマンスが回復してこない限りは、
減配、減配、減配のサイクルは止まらないでしょう。

分配金 繰越対象額 分配金余力
192期 15円 121円 9.0カ月
193期 15円 117円 8.8カ月
194期 15円 111円 8.4カ月
195期 15円 105円 8カ月
196期 10円 103円 11.3カ月
197期 10円 104円 11.4カ月
198期 10円 100円 11.0カ月
199期 10円 101円 11.1カ月
200期 10円 98円 10.8カ月
201期 10円 94円 10.4カ月
202期 10円 93円 10.3カ月
203期 10円 98円 10.8カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年7月時点

 

評判はどう?

それでは、ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型) の
評判はどうでしょうか?

 

ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見る
ことで、評判がわかります。

 

評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなって
いれば、資金が流出超過になります。

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型) は2015年後半から、
毎月資金が流出し続けています。

 

2015年以降は、ほぼ毎年分配金が減額されており、それに嫌気が
さした投資家が続々と解約しているものと思われます。

 

評判はすこぶる悪いと言えますね。


※引用:モーニングスター

 

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)の評価まとめと今後の見通し

ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)は
運用利回りも低く、分配金も多くは出せない状況に
陥っており、私からするとなぜこのファンドに未だに
投資をしているのか理解に苦しみます。

 

少なくともファンドの運用利回りがプラスでなければ、
あなたの資産は増えません。

 

プラスが出ている中で、その一部を分配金として受け取る
というのが一番健全な投資信託の運用ですが、ほとんどの
毎月分配型ファンドはそうはなっていません。

 

その結果、高い分配金を支払う競争となっており、投資家
にとっては何のメリットもない分配利回りの高さを競う
争いが目につきます。

 

残念なことに何もわかっていない投資家は分配金利回りの
高さに騙されて投資をし、痛い目をみます。

 

繰り返しになりますが、いくら高い分配金を受け取ったと
しても、ファンドの運用がプラスになっていなければ、
全く意味がありません。

 

そのことだけはくれぐれも心に刻んでおいてほしいと思います。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点