10年リターンが16%超の高いパフォーマンスを打ち出して
いる大和住銀 日本小型株ファンド。
「J-Stockアクティブ・オープン」「ニッポン中小型株
ファンド」も運用している敏腕ファンドマネージャーの
苦瓜氏が運用しています。
苦瓜氏ともう一人の2名で年間1900件という膨大な数
の企業の方に会っているそうです。
残念なことに現在新規買い付けができませんが、今後また
募集を再開する可能性もあるので、その時に備えて、今回
は大和住銀日本小型株ファンドを徹底分析してみましょう。
大和住銀 日本小型株ファンドの基本情報
投資対象は?
大和住銀 日本小型株ファンドの主な投資対象は、東証一部
銘柄を除く日本の株式(JASDAQ・東証二部・マザーズ等に
上場されている株式)です。
※引用:マンスリーレポート(2018年12月時点)
大和住銀 日本小型株ファンドの直近の組入銘柄は以下の
通りです。
銘柄数が115銘柄に投資し、業種や市場に偏りがありません。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
純資産総額は投資信託を見極める際にとても大切なポイント
となります。
純資産総額が多い方が、ファンドマネージャーが資金を
投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の
影響が小さくなりますので、良い投資信託と判断されます。
また純資産総額が減少しているファンドは、解約が増えて
いるということですので、何らかの理由で投資信託自体の
魅力が減っているという判断ができます。
大和住銀 日本小型株ファンドの純資産総額は設定当初は
400億円前後ありましたが、徐々に減り100億円以下の値で
推移してきました。
16年の後半頃から基準価額の高騰で純資産総額も少し増え
ましたが、2017年2月に150億円程度になった時点で新規
買い付けを停止しました。
1銘柄を5%以上保有すると株価に影響を与える可能性が
あるので、5%以下に抑えるとなるとファンドマネージャ
ーの投資したい銘柄だけに投資できなくなり、パフォー
マンスが悪くなることがあります。
そのため新規買い付けを停止したのでしょう。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託にかかる費用について、販売時の手数料・信託報酬
以外にも費用がかかっているのをご存知でしたでしょうか?
これを実質コストと言います。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
実質コストは売買時の手数料や取引の際の税金、保管費用
などが含まれ、運用報告書の「1万口当たりの費用明細」で
確認することができます。
大和住銀 日本小型株ファンドの実質コストは、1.74%と
カテゴリー内でも安い値になります。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.672%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.74%(概算値) |
※引用:最新 運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。
無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
大和住銀 日本小型株ファンドの評価分析
基準価額の推移は?
大和住銀 日本小型株ファンドの基準価額は2018年以降、
下落が続いています。
2018年の高値からここ2年ほどで40%ほど下落しており、
2018年以降はパフォーマンスが全く奮っていない状況
です。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
大和住銀 日本小型株ファンドの利回りはどのくらいで
しょうか。
直近1年では▲18.86%と優れず、3年平均利回りも、
▲4.40%となっています。
5年平均、10年平均は同カテゴリー内でも上位にランク
インしているのですが、とにかく直近のパフォーマンス
が優れませんね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解して
いますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいて
ください。
平均利回り | %ランク | |
1年 | ▲18.86% | 100% |
3年 | ▲4.40% | 89% |
5年 | +4.65% | 12% |
10年 | +16.17% | 13% |
※2020年4月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
標準偏差は?
大和住銀 日本小型株ファンドの平常時の標準偏差は18程度
なのですが、直近では24にまで上昇しています。
コロナショックの影響で基準価額が大きく下落したので、
その影響です。変動幅の大きいファンドほど、平常時と
暴落時の標準偏差の差が大きくなります。
標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じ
でしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいて
くださいね。
標準偏差 | %ランク | |
1年 | 24.53 | 89% |
3年 | 18.40 | 78% |
5年 | 17.23 | 45% |
10年 | 17.97 | 75% |
※2020年4月時点
年別のパフォーマンスは?
大和住銀 日本小型株ファンドの年別のパフォーマンスを
見てみましょう。
2017年までは毎年2桁成長というとても優秀な成果を残し
ていました。しかし、2018年と2020年は思ったような
成果を出せず苦戦しています。
今後復活してくることに期待したいですね。
年間利回り | |
2020年 | ▲28.10%(1-3月) |
2019年 | +20.50% |
2018年 | ▲24.11% |
2017年 | +46.86% |
2016年 | +24.05% |
2015年 | +16.01% |
2014年 | +23.28% |
※2020年4月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
日経225連動ファンドとのパフォーマンス比較
ここで、日経225に連動するインデックス型のファンドと
パフォーマンスを比較してみましょう。
黄色が大和住銀 日本小型株ファンド、赤がニッセイ日経225
インデックスファンドです。
2019年までは圧倒的に大和住銀 日本小型株ファンドが優位に
たっていたのですが、2019年以降はニッセイ 日経225インデ
ックスファンドがアウトパフォームしています。
中長期でみれば、日本小型株ファンドのほうが優れた成果を
残していますが、直近のパフォーマンスを考慮すると、日経
225に連動するインデックスファンドも悪くありませんね。
※引用:モーニングスター
最大下落率は?
大和住銀 日本小型株ファンドの最大下落率はどうでしょうか?
2007年11月から2008年10月で最大50.36%下落しましたが、
この時期国内株式全体が50%程度下落していますので、
飛び抜けて大暴落というわけではありません。
少なくとも今回のコロナショックはリーマンショックと
比べると株価の下落はかなりマシだったと言えます。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲18.86% |
3カ月 | ▲32.69% |
6カ月 | ▲39.28% |
12カ月 | ▲50.36% |
※2020年4月時点
分配金は?
ここで大和住銀 日本小型株ファンドの分配金を見てみましょう。
2013年以降、毎年1000円以上の分配金を出していましたが、
2019年はさすがにパフォーマンスが奮わなかったので、0円
でした。
分配金を出すことでファンドの純資産総額を調整したのかも
しれませんが、少し多すぎる額だと思います。
本来分配金を出すことを目的としたファンドではないので、
分配金は全て再投資して収益を追求してほしいですね。
また、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2020年 | – |
2019年 | 0円 |
2018年 | 1,300円 |
2017年 | 1,900円 |
2016年 | 1,400円 |
2015年 | 1,600円 |
※引用:モーニングスター
評判はどう?
資金の流出入を見るのはそのファンドの評判を得るために有効な
手段です。
資金が多く入っていれば人気があるファンドですし、流出が続いて
いるようであれば、評判が悪いファンドと言えます。
それでは、大和住銀 日本小型株ファンドはどうでしょうか。
2017年2月の買い付けが停止するまでは少しづつですが資金が入って
いる状況です。その後は解約のみしかできませんので資金が流出
していますが、基準価額の下落と比べて流出は少ないです。
※引用:モーニングスター
大和住銀 日本小型株ファンドの今後の見通し
苦瓜氏は膨大な数の企業の方と面談をし、その中で世間の注目を
浴びていない割安銘柄を選定し、その株価がなんらかの理由で
上昇するまで待ち売却というスタイルをとっています。
「割安であったらいつかは修正される、ブームを追いかけない」という
信念に基づいたものです。
現在下落局面ではありますが一時的なものと捉え、今後ますます期待
できるファンドです。動向をチェックし、募集再開を待ちたいですね。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点