東京海上アセットマネジメントが運用する、東京海上・
円建て投資適格債券ファンド(毎月決算型)『円債くん』。

 

債券の低利回りを背景に人気は完全に下火ですが、「リッパー・
ファンド・アワード・ジャパン」や「ファンド・オブ・ザ・イヤー」
など数々の受賞歴があり、無難な投資対象でもあることから
投資初心者に人気があります。

 

円債くんは、毎月分配型と年2回決算型の2種類がありますが、
今日は純資産総額の多い毎月分配型について詳しく見ていきたい
と思います。

 

 

円債くん(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

マザーファンドを通じて、主にS&P社の発行体格付けで
BBB格以上の安全性の高い日本の公社債に投資しています。

 

投資する債券は、S&P社の格付でBBB以上の格付の債券のみに
投資をします。

 

一般的にBB以下の債券というのは、投資不適格債券と呼ばれ、
機関投資家は手を出しません。

 

円債くんの組入債券の平均格付はAA-なので、デフォルトリスクは
限りなく低いと言えます。

 


※引用:交付目論見書

 

債券の種別構成比を見てみると、事業債(社債)の比率が
50%超と高くなっていることがわかります。

 


※引用:マンスリーレポート

 

具体的に上位銘柄は下図のようになっています。

 

三菱UFJ銀行の劣後債の利率だけ1%を超えていますが、残りの
社債1%をきっており、非常に低リスクなファンドに投資をして
いることがわかります。

 


※引用:マンスリーレポート

 

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む
可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

直近の純資産総額は、約400億円となっており、規模としては問題
ありません。

 

2017年末から純資産額の低下傾向が鮮明になっています。

 

債券の運用環境や投資家のリスク選好度の変化に伴い、
今後この水準を維持できるかは難しいと考えられます。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

円債くん(毎月分配型)の実質コストは0.572%となっています。

 

他のアクティブファンドと比べると、コストは低いですが、
利回りに対するコストの比率はかなり高くなっています。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 1.1%(税込)※上限
信託報酬 0.572%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 0.572%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

円債くん(毎月分配型)の評価分析

基準価額をどう見る?

円債くんの直近の基準価額は、9,600円近辺です。

 

リスクの低い債券が中心ですので、下落幅も大したことの
ないレベルですが、値上がり益も非常に少ないので、
本当に円債くんに投資をして、あなたの目的が達成できる
のか再度、考える必要がありそうです。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

円債くん(毎月分配型)の直近1年間のトータルリターンは、
1.91%です。

 

リスクの小ささを考慮すれば、納得できる水準でしょう。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 1.91% 79%
3年 0.45% 53%
5年 1.13% 68%
10年

※2019年12月時点

 

標準偏差は?

標準偏差は年間の基準価額の変動幅を把握することに役立ちます。
円債くんの標準偏差は1~2程度なので、際立って低いです。

 

また同カテゴリー内で上位2割にランクインしており、リスクの
低いファンドの中でも、際立ってリスクが低いことと言えますね。

 

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 1.42 15%
3年 1.27 17%
5年 1.79 20%
10年

※2019年12月時点

 

年別のパフォーマンスは?

円債くんの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

 

リターン自体はかなり小さいですが、毎年プラスのリターンを
維持しているのは評価できます。

 

まさにリスクを取るのが嫌という方にはおすすめのファンド
と言えそうです。

年間利回り
2019年 1.99%(1-9月)
2018年 0.34%
2017年 0.01%
2016年 2.27%
2015年 0.44%
2014年 4.58%

※201年12月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

円債くんに投資をするのであれば、NOMURA-BPI総合を
ベンチマークとするインデックスファンドと比較をして
おいて損はありません。

 

今回は、eMAXIS Slim国内債券インデックスとパフォーマンスを
比較してみました。

 

円債くんのほうが高いリターンを出しているときもありますが、
ほぼ互角といったところでしょう。

 

それであれば、低コストのeMAXIS Slim国内債券インデックスに
投資をしておけば十分と言えます。

 


※引用:モーニングスター

 

最大下落率は?

投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲を
ある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみた
ほうがイメージがわきます。

 

円債くん(毎月分配型)は2016年7月~2017年6月の間に最大▲3.22%下落
しています。

 

リスクを全くとらない運用なので、下落幅も最小に抑えられているのは
唯一にして最大のメリットでしょう。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲1.70%
3カ月 ▲2.42%
6カ月 ▲3.69%
12カ月 ▲3.22%

※2019年12月時点

 

分配金の推移は?

円債くんは2018年から、毎月18円だった分配金を
半分近くの10円に引き下げています。

 

基準価額に対する分配金の割合を見る分配金利回りは
1%程度なので、かなり健全な水準と言えますが、それ以上に
円債くんのパフォーマンスが優れないので、タコ足配当
になっています。

 

現在の翌期繰越分配対象額は約30カ月分ですので、あと数年も
すれば分配金の額を減額するしかなくなると思われます。

 

このブログでは何度も言っていますが、特別な事情がない限りは
毎月分配型のファンドに投資すべきではありません。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金 当期収益以外 繰越対象額
107期 10円 8円 333円
108期 10円 5円 329円
109期 10円 5円 325円
110期 10円 10円 317円
111期 10円 5円 313円
112期 10円 8円 305円

評判はどう?

円債くん(毎月分配型)の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

 

資金が流出しているということは、それだけ円債くん(毎月分配型)を
解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

 

2018年以降は資金の流出が続いており、株式相場が好調であることもあり、
よりリスクを取ろうとする投資家が増えているのでしょう。

 


※引用:モーニングスター

 

円債くん(毎月分配型)の今後の見通しは?

日銀のマイナス金利政策により国内債券の魅力度は相対的に
低くなっています。

 

しかし、一般的に国内債券は株式と逆の動きをするため、
バランス運用を志向する投資家は引き続き円債くん(毎月
分配型)を保有すると見られます。

 

あとは金利引き上げ時にどれだけ円債くん(毎月分配型)の
ポートフォリオにダメージがあるかですが、先述のとおり
国債のウェイトが小さくバランスの取れたラダー運用を
行っているため、これは限定的と考えてよいと思います。

 

とは言えど円債くん(毎月分配型)はタコ足分配のため、
ファンドの縮小は避けられないでしょう。

 

リスクをとにかく好まない投資初心者にとっては、初めの
一歩目となりえるファンドではありますが、年利回り1%程度
で、あなたの資産形成プランは達成できますか?

 

今、リスクを取らないことが、将来の大きなリスクにつながる
こともあるということを忘れずに、資産運用をしてほしいと思います。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点