SBIアセットマネジメントに続き、三井住友アセットマネジメントから定率受取型の
人生100年時代・世界分散ファンド(6%目標受取型)が登場します。
私からすると毎月分配型の投資信託がこれだけ叩かれている中で、投資家に
誤解を与えるような商品設計になっており、なぜこのタイミングでと思ってしまいます。
人生100年時代・世界分散ファンドは資産成長型、3%目標受取型、6%目標受取型の
3コースがありますが、一番多くの人が興味を持ちそうな6%目標受取型について
分析していきたいと思います。
資産成長型、3%目標受取型の購入を検討している方にも参考になるように
分析していきますので、ぜひ参考にしてください。
人生100年時代・世界分散ファンド(6%目標受取型)の基本情報
投資対象は?
人生100年時代・世界分散ファンド(6%目標受取型)は、ETFへの投資を通じて、
世界各国の債券、株式、リートに分散投資します。
中長期的な目標リターンとして、短期金利相当分+年3%程度を目指して資産配分を
していきます。資産配分にあたって、ビッグデータやテキスト分析などの
先端テクノロジーも活用していくようですね。
2018年5月時点のポートフォリオは以下のようになっており、
各アセットクラスに分散している様子がわかります。
留意点
人生100年時代・世界分散ファンド(6%目標受取型)は勘違いをしてしまうポイントが
あるので、ここで取り上げておきたいと思います。
まず6%目標受取型というのは、運用パフォーマンスが年間6%を超えれば、すべて
利益から支払われ、6%に満たなければ、元本を取り崩すということになります。
普通であれば、分配金が減ったタイミングで、運用がうまくいっていないのでは?
と気づきますが、運用がうまくいこうがいくまいがふた月に1回一定額がもらえるので、
運用がうまくいっておらず元本をただ取り崩しているだけの場合でも気づかない
可能性が高いです。
運用会社側からすれば、定率で分配金を支払っているうちは、多くの投資家が
継続保有してくれる可能性が高いため、高いコストを毎年受け取ることができる
というわけですね。
2つ目は、基準価額が2000円を下回った場合、短期金融商品等による安定運用に移行し、
基準価額が2000円を下回った日の翌営業日から3カ月以内に繰上償還されます。
このような文言があるのは、基準価額がどんどん下がっていく運用になることが
前提の設計になっているからです。運用益で賄っていく自信のなさの表れといっても
いいでしょう。
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
人生100年時代・世界分散ファンド(6%目標受取型) の実質コストは、
まだ最新の運用報告書が出ていないので、正確にはわかりませんが、
1.6%~1.7%程度になると思われます。
ですので、毎年6%の分配金をすべてファンドの収益で賄おうとすると、
実際は年8%程度の運用益が出ないとダメということになりますね。
購入時手数料 | 2.16%(税込) |
信託報酬 | 1.5924%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.6~1.7%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。
人生100年時代・世界分散ファンド(6%目標受取型) の評価分析
2カ月に1度、年金変わりに一定額の分配金がもらえるというのは、ある一部の人には
ニーズがあるのかもしれませんが、そもそも運用がうまく行かなければ、話になりません。
ある程度、運用の実績を見てから投資しても遅くはありませんので、くれぐれも
すぐ飛びつくような真似はしないでください。
また、将来設計をする上で、自分の資産がどの程度あるのかを把握することが非常に重要です。
ただ、このようなファンドに投資をしてしまうと、分配金がもらえているうちは、
自分の投資した元本が増えているのか減っているのか、熱心に把握しなくなります。
その結果、何年も経ってから、元本が大きく減ってしまっていることに気づき、
その後の将来設計に影響が出てしまうというのが、毎月分配型に投資をしている
投資家の典型的なパターンです。
私であれば、過去に優れたパフォーマンスを出しているファンドに投資をし、
2カ月に1度、必要な分を取り崩すほうが、よぼどあなたのためになると思います。