健康・医療・バイオなどのテーマ型ファンドで10年以上の運用実績のあるグローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンB『愛称:健太』。
実は、兄弟分のファンドであるグローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』は1000億円以上の純資産がある大きなファンドですが、健太のほうは85億円程度しかありません。
今日はこの健太について独自目線で徹底分析していきます。
「健太って投資対象としてどうなの?」
「健太って持ってて大丈夫なの?」
「健太より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンB『健太』の基本情報
投資対象は?
健太は世界主要先進国の中から、製薬、バイオテクノロジー、医療製品、健康サービス等の株式に分散投資していきます。
※引用:交付目論見書
カテゴリー別の組入比率を見てみると、医薬品が約40%、ヘルスケア・サービスが約20%、次いでヘルスケア機器・用品、バイオテクノロジーと続きます。
医薬品の比率が高いというのは、人によって捉え方が分かれるところですが、新薬開発の難しさを知っている私からすると、あまり比率を高めてほしくはないカテゴリーです。
医療機器などとは違い、人体での作用というのは、予期せぬリスクが多数あり、最後の最後で大きな副作用が見つかって販売できないとなると、株価は大きく下がります。
国別の比率を見てみると、アメリカが約70%となっており、先進国株中心の構成となっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを悪化させる原因になります。
そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。
健太は2000年に設定されて以来、10年以上ほぼ純資産は増加しなかったのですが、2012年ごろから基準価額が大きく伸びたタイミングで、純資産規模も大きくなりました。
とは言っても、最大で200億円規模までしか増加しませんでしたので、健次のほうにほとんど資金が流れてしまったというところでしょう。現在は約85億円ほどで、規模としては少し物足りなさを感じます。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
健太の実質コストは、2.494%とかなり割高です。このコストの高さはさすがに投資をしづらいです。ここまで実質コストが高いと、相当パフォーマンスが優れていない限りは、まず検討段階ではじかれてしまいますね。
購入時手数料 | 3.3%※上限 |
信託報酬 | 2.420%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 2.494%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンB『健太』の評価分析
基準価額をどう見る?
健太の基準価額を見てみましょう。コロナショック以降、堅調に推移しており、2022年も多くの株式ファンドが下落する中で上昇を続けています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、健太の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは8.05%となっています。どの期間で見ても、安定して、年8%以上の運用ができているので、パフォーマンスは悪くないように思えます。
ただ、ここで投資判断してしまうのは時期尚早です。他のファンドとパフォーマンスを比較してから投資をするか決めても遅くはありません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +8.05% |
3年 | +15.84% |
5年 | +9.15% |
10年 | +15.70% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している先進国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
健太は、日本を含む国際株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
健太は5年平均利回りだけ上位40%程度ですが、それ以外の期間で見ると、上位20%以内に入っていますが、かなり優秀なパフォーマンスとなっています。
上位●% | |
1年 | 20% |
3年 | 22% |
5年 | 40% |
10年 | 6% |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
健太の年別のパフォーマンスを見てみると、2016年、2018年はマイナスリターンとなっています。
多くの株式ファンドが2016年はプラスだったこともあり、ここの影響が5年平均利回りを悪化させている原因ですね。ただ、その分、2022年は他の株式ファンドと比べてプラス運用ができていますので、ディフェンシブ銘柄で構成されている健太ならではの利回りとなっています。
年間利回り | |
2022年 | +2.12%(1-9月) |
2021年 | +22.18% |
2020年 | +5.30% |
2019年 | +24.92% |
2018年 | ▲5.60% |
2017年 | +9.93% |
2016年 | ▲13.81% |
2015年 | +11.28% |
2014年 | +41.42% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
健太に投資するにあたって、より低コストで運用できるインデックスファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、先進国株式の代表的な指数であるMSCIコクサイ・インデックスに連動し、超低コストで人気の高い、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較しました。
※引用:モーニングスター
直近の3年間で見ると、2020年まではかなり競っていますが、2021年以降はeMAXIS Slim 先進国株式インデックスに抜かれました。
より長期のパフォーマンスで見てもeMAXIS Slim 先進国株式インデックスには勝てていないのが現状です。
健太 | Slim 先進国 | |
1年 | +8.05% | +5.43% |
3年 | +15.84% | +16.65% |
5年 | +9.15% | +11.72% |
10年 | +15.70% | - |
※2022年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたいと思うもの。
今回は、先進国株式に投資をしているアクティブファンドでパフォーマンスが優れている大和住銀DC海外株式アクティブファンドと比較をしました。
※引用:モーニングスター
コロナショック前までは拮抗していましたが、コロナショック以降は、大和住銀DC海外株式アクティブファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。
もう少し長期のパフォーマンスはどうでしょうか?
健太 | DC海外株式 | |
1年 | +8.05% | ▲14.29% |
3年 | +15.84% | +17.00% |
5年 | +9.15% | +12.98% |
10年 | +15.70% | +17.63% |
※2022年10月時点
3年平均、5年平均、10年平均利回りで見ても、健太は負けてしまっています。こう比較をしてしまうと、あえて健太を選ぶという人はほとんどいないですね。
最大下落率は?
健太への投資を検討するのであれば、どの程度下落する可能性があるのかは知っておきたいところです。標準偏差からある程度の変動範囲は予測できますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認しておいたほうがよいでしょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲18.98% |
3カ月 | ▲36.63% |
6カ月 | ▲35.74% |
12カ月 | ▲40.54% |
※2022年10月時点
健太の最大下落率は、2007年12月〜2008年11月の▲40.54%です。株式ファンドのわりには、下落率を40%程度で抑えられているので、まだマシと言えそうです。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
※2022年10月時点
評判はどう?
資金の流出入を見るのはそのファンドの評判を確認するために有効な手段です。資金が多く入っていれば人気があるファンドですし、流出が続いているようであれば、評判が悪いファンドと言えます。
それでは健太はどうでしょうか。2016年以降、ほぼどの期間でも、流出超過となっています。パフォーマンスはどちらかと言えば、良いほうですので、やはりコストの割高感が投資家から敬遠されているのが1つの理由だと思います。
あとは兄弟ファンドである健次のほうが純資産総額も大きいので、あえて健太を選ぶ理由がないといったところでしょうか。
※引用:モーニングスター
グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンB『健太』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
パフォーマンスのところでも解説しましたが、いわゆる先進国株式ファンドとは値動きが違うというのが健太の特徴でもあります。
その理由はディフェンシブ銘柄と呼ばれる医療・医薬関連の銘柄が多いため、下落相場では比較的、下落幅が抑えられることに起因しています。
日本を含む国際株式の場合、ほとんどのファンドはMSCIコクサイにパフォーマンスで勝てていません。その点、健太はまだ頑張っているほうだと言えます。
ですので、例えば、eMAXIS Slim先進国株式インデックスと健太を2本保有することで、下落相場での下落幅を抑えることは可能だと思います。
大和住銀DC海外株式アクティブファンドのようなファンドもあるので、あえて選ぶ1本にはなりづらいですが、それでも使いどころはあるファンドだと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点