株式と株価指数先物を組み合わせることによって、絶対収益
(Absolute Return)の獲得を目指すAR国内バリュー株式ファンド
『愛称:サムライバリュー』。

 

絶対収益というのは、市場全体の変動とは無関係に、上昇相場でも
下降相場でも利益が出るように運用するというものです。

 

「そんなことができるの?」と思う方も当然いると思いますが、
理論上は可能です。

 

ただ、あくまでも理論上であり、実際にうまくいくかどうかは
ファンドマネージャー次第であり、私の知る限り、そこまで
うまく運用ができているファンドを知りません。

 

今日は、サムライバリューについて徹底分析していきます。

 

 

AR国内バリュー株式ファンド『サムライバリュー』の基本情報

投資対象は?

サムライバリューは、株式時価総額が中小規模で、バリュエーション
(株価指標)が相対的に割安な銘柄に投資をしていきます。

 

また株式指数先物取引を積極的に活用し、株式の実質組入比率を
機動的にコントロールしていきます。

 

実質組入比率は0%~20%になるようですね。

 

先物と聞くと、皆さん凍り付いてしまうのではないかと思いますが、
簡単に言ってしまえば、株式は価格が上がると儲かり、価格が下がる
と損をします。

 

一方で、先物は株価が上がると損をして、株価が下がると得をします。
では、株式と先物を両方買った場合どうなるか。50%ずつ保有すれば
当然、株価がどちらに動いてもプラスもマイナスも出ません。

 

しかし、株価が上昇局面では、先物の比率を50%から下げることで、
株価上昇による利益を確保できます。

 

そして、株価が下落局面では、先物の比率を50%以上に高めることで、
利益を確保できるというわけです。イメージとしては、下図ような感じです。

 

 

続いて、サムライバリューの組入銘柄を見てみましょう。

 

中小型銘柄が中心となっているので、ほとんど名前を
聞いたことがない銘柄が多くなっていますね。

 


※引用:マンスリーレポート

 

純資産総額は?

続いて、サムライバリューの純資産総額はどうなっているか見て
みましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から
集めた資金の総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できな
かったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

サムライバリューの純資産総額は、現在、60億円程度です。

 

2018年までは順調に資産を増やしていたのですが、パフォーマンス
が優れなかったこともあり、2019年中に純資産が半分程度にまで
下落してしまいました。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

サムライバリューの実質コストは1.41%となっており、購入時手数料も
しっかり3%取られますし、手軽に投資できるファンドではありませんね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)
信託報酬 1.353%(税込)
信託財産留保額 0.05%
実質コスト 1.41%(概算値)

※引用:最新の運用報告書

 

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

AR国内バリュー株式ファンド『サムライバリュー』の評価分析

基準価額の推移は?

サムライバリューの基準価額は2018年の後半から急落しており、
未だ復活する兆しはありません。

 

国内株式ファンドとは、まったく異なる値動きになってはいますが、
パフォーマンスが伴わなければ意味がありません。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

サムライバリューの利回りを見てみましょう。直近1年間の利回りは
▲14.18%となっています。

 

3年平均利回りもマイナスで、5年平均利回りはかろうじてプラスの
リターンを維持できています。

 

これでは、運用会社だけが利益を得ているような状況ですね。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲14.18% 98%
3年 ▲0.25% 82%
5年 +1.99% 33%
10年

※2019年10月時点

 

標準偏差は?

標準偏差は基準価額の変動幅の大きさを比較するときに
役立ちます。

 

日経平均に連動するインデックスファンドと比較をすると
半分以下となっているので、変動は一般的な株式ファンド
よりは小さいことがわかります。

 

サムライバリューの標準偏差を見てみると、かなり基準価額の
変動幅は小さいことがわかります。

 

ただ、パフォーマンスが伴わなければ意味がありませんね。

 

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 5.91 51%
3年 5.88 47%
5年 6.01 36%
10年

※2019年10月時点

 

年別のパフォーマンスは?

サムライバリューの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

 

2018年、2019年は大きくマイナスとなっています。多くの
ファンドが2019年は反発して戻してきているのに対し、
このマイナスは大きいです。

 

これでは、絶対収益追求型とは到底呼べません。

年間利回り
2019年 ▲7.93%(1-9月)
2018年 ▲7.55%
2017年 +13.58%
2016年 +9.96%
2015年 +5.10%
2014年 +7.78%

※2019年10時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

アクティブファンドに投資をするのであれば、事前にインデックス
ファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

 

今回は、日経平均に連動するインデックスファンドと
AR国内バリュー株式ファンド『サムライバリュー』を比較してみました。

 

3年間のパフォーマンスを比較してみると、どの期間においても、
ニッセイ 日経225インデックスファンドのほうが上回っている
ことがわかります。

 

これでは投資する価値が見出せません。

 


※引用:モーニングスター

 

最大下落率は?

投資をする上で、最大どの程度下落する可能性があるかというのは、
知っておいて損はありません。

 

サムライバリューは1年間で最大14.18%の下落をしたことがあります。

 

株式ファンドの割りに下落幅が小さくなっているのは、買いと売りを
両建てているからでしょう。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲3.79%
3カ月 ▲6.94%
6カ月 ▲10.05%
12カ月 ▲14.18%

※2019年10月時点

 

評判はどう?

サムライバリューの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

 

資金が流入しているということは、それだけサムライバリューを
購入している人が多いということなので、評判がよくなっている
ということです。

 

サムライバリューは、2018年の中頃まではパフォーマンスも悪く
なかったので、評判は良かったのですが、2018年10月以降は、
パフォーマンスが悪化していることもあり、資金が流出しつづけて
います。

 

絶対収益追求型とははずかしくて呼べないですね。

 


※引用:モーニングスター

 

AR国内バリュー株式ファンド『サムライバリュー』の今後の見通し

2018年の初めごろまでは、絶対収益追求型のファンドで
着実に収益をあげているファンドというのは、あまりお目に
かかったことがなかったので、注目していたのですが、
2018年末からは悲惨な結果となっています。

 

これでは、一桁中盤のリターンを期待するのも難しいでしょう。

 

中長期で見ると、日経平均のほうがパフォーマンスが上回っている
ため、個人的には、日経平均に連動するようなインデックスファンド
に投資をすれば十分でしょう。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点