2013年、2017年にモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤー
最優秀賞を受賞し、2014年、2015年にも優秀賞を受賞している
優良日本株ファンド『ちから株』。

 

このファンドの面白いところは毎月組入銘柄をすべて公開
している点です。

 

パフォーマンスが優れているのであれば、ミラーファンドを
組成して運用するのも面白いかもしれません。

 

さて、ちから株は連続受賞するほどの優秀なファンドなのか、
早速分析していきたいと思います。

 

 

優良日本株ファンド『ちから株』の基本情報

投資対象は?

優良日本株ファンド『ちから株』の投資対象は日本国内の株式で、
競争力があり、割安な銘柄(ちから株)を厳選して投資していきます。

 

競争力があるかは、財務の健全性、業界内でのシェア、株主還元の姿勢などの
観点で選定していきます。

 

割安かどうかは、PER、PBR、配当利回りなど、一般的な指標で選定します。

 


※引用:交付目論見書

 

組入銘柄を具体的に見ていくと、現在は51銘柄で構成されており、
上位銘柄は大手の企業が並んでいます。

 

優良日本株ファンド『ちから株』の面白いところは、チーフファンド
マネージャーの野崎さんが明言しているように、毎月組み入れている
銘柄をすべて公表していることです。

 

ファンドの中身をすべて公表するということは、運用方法を
すべて開示してしまうようなものなで、普通やらないのですが、
ちから株だけは、すべて開示しています。

 

ですので、やろうと思えば、ちから株と同じポートフォリオを
自分でも作れてしまうということですね。

 


※引用:マンスリーレポート

 

純資産総額は?

続いて、優良日本株ファンド『ちから株』の純資産総額はどうなっているか
見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額
だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する
運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを
悪化させる原因になります。

 

そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

2013年にファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞して以来、一時は
600億円規模にまで成長していましたが、直近はパフォーマンスが
優れないことにより資金流出しており、330億円程度となっています。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

優良日本株ファンド『ちから株』の実質コストは、1.312%となっており、
見た目の信託報酬の額と比べるとかなり高くなっています。

 

これは、銘柄を入れ替えるときの株式売買手数料が高くついている
ことが要因です。

 

実質コストは思ったより安くないので注意してください。

 

購入時手数料 3.3%(税込)
信託報酬 1.1%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.41%(概算値)

※引用:最新運用報告書
 

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

優良日本株ファンド『ちから株』の評価分析

基準価額をどう見る?

優良日本株ファンド『ちから株』の基準価額は、2018年の頭から
下落を続けており、2019年、2020年もパフォーマンスは奮いません。

 

2019年は多くのファンドが基準価額を伸ばしたタイミングだった
だけにそこを取りこぼしたのは大きな影響が出ていますね。

 


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、優良日本株ファンド『ちから株』の運用実績を
見てみましょう。

 

直近1年間の利回りは2.27%となっています。

 

3年、5年平均利回りもマイナスとなっており、唯一
10年平均利回りだけが2桁のプラスです。

 

こういった直近だけパフォーマンスが悪いファンドは
何かしら運用体制なのか何かが変わった可能性が高く
10年平均利回りだけを見て、投資すべきではありません。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年8月
1年 2.27%
3年 ▲0.92%
5年 ▲0.97%
10年 10.36%

※2020年8月時点

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

優良日本株ファンド『ちから株』は、国内の
大型株カテゴリーに属しています。

 

投資をするのであれば、大型株カテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。

 

優良日本株ファンド『ちから株』は、5年平均利回りまで
下位10%程度にランクインしており、これでは高いコストを
支払って投資をする気になれません。

 

平均利回り(上位●%) 2020年8月
1年 83%
3年 94%
5年 95%
10年 23%

※2020年8月時点

 

年別のパフォーマンスは?

優良日本株ファンド『ちから株』の年別のパフォーマンスは
どうでしょうか。

 

こうしてみると、2018年の大きなマイナス以外は悪くない
要にも見えます。

 

しかし、他のファンドとパフォーマンスを比較すると、
あえてこのファンドを選択する理由がなくなってきます。

 

年間利回り
2020年 ▲0.48%(1-6月)
2019年 +17.14%
2018年 ▲25.89%
2017年 +35.63%
2016年 ▲6.78%
2015年 +15.01%
2014年 +11.95%

※2020年8月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

優良日本株ファンド『ちから株』に投資するにあたって、
より低コストで運用できるインデックスファンドとの
パフォーマンスを比較しておいて損はありません。

 

今回は、日経225をベンチマークとするニッセイ 日経225
インデックスファンド
とパフォーマンスを比較してみました。

 

※引用:モーニングスター

 

一目でわかる通り、終始、ニッセイ 日経225インデックス
ファンドに大きな差を付けられています。

 

低コストのインデックスファンドにここまで差を付けられと
投資家としては、ちから株を選びづらいです。

 

もう少し長期のパフォーマンスも比較しておきましょう。

 

ちから株 ニッセイ日経 225
1年 2.27% 2.84%
3年 ▲0.92% 4.79%
5年 ▲0.97% 2.81%
10年 10.36% 10.34%

※2020年8月時点

 

10年平均利回りだけかろうじてトントンの勝負ができて
いますが、ほとんどの期間でちから株が負けています。

 

これでは、高いコストを支払ってまで投資をしたいとは
思えません。

 

アクティブファンドとのパフォーマンス比較

せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、
同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたい
と思うもの。

 

今回は、同じく国内大型株カテゴリーで中長期で高い
パフォーマンスの残しているスパークスの厳選投資
とパフォーマンスを比較しました。

 


※引用:モーニングスター

 

こちらも見るまでもなく、厳選投資に大きな差を
つけられています。

 

5年平均、10年平均を見ると、さらに差が広がって
おり、この2つのファンドをどちらを選んで投資を
するかで天と地ほどパフォーマンスに差が出ます。

 

ちから株 厳選投資
1年 2.27% 9.86%
3年 ▲0.92% 9.23%
5年 ▲0.97% 8.07%
10年 10.36% 16.23%

※2020年8月時点

 

最大下落率は?

投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は
予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージが
わきます。

 

優良日本株ファンド『ちから株』は2018年1月~2018年12月で▲25.89%
の下落を記録しています。

 

まだ運用期間が短いのでもっと大きく下落することもあるかもしれませんが、
2018年が最大下落となっているファンドはそんなに多くありませんので、
優良日本株ファンド『ちから株』の運用の失敗は痛いですね。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲12.11%
3カ月 ▲22.39%
6カ月 ▲22.71%
12カ月 ▲25.89%

※2020年8月

 

分配金の推移は?

つづいて優良日本株ファンド『ちから株』の分配金の
推移を見ていきましょう。

 

分配金は毎年6月と12月に支払われています。

 

正直、分配金を出さないほうがパフォーマンスは高まる
のですが、ファンドの方針なので仕方がありません。

 

あと、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金
2020年 0円(残1回)
2019年 900円
2018年 200円
2017年 2,400円
2016年 200円
2015年 1,350円
2014年

評判はどう?

優良日本株ファンド『ちから株』の評判はネットでの
書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知る
うえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

 

資金が流出しているということは、それだけちから株を
解約している人が多いということなので、評判が悪い
ということです。

 

ちから株は不思議なことに、パフォーマンスが悪い
2018年に限って資金が流入超過となっています。

 

これは、ファンドオブザイヤー2017を受賞した影響で、
詳しく調べないうちに購入した投資家が増えたのでは
ないかと思います。

 

少なくとも、直近は資金が流出超過となっており、
評判は少しずつ下がっているということがわかります。

 


※引用:モーニングスター

 

優良日本株ファンド『ちから株』の評価まとめと今後の見通し

ファンド・オブ・ザ・イヤーを毎年受賞していただけに、近年の
運用実績は残念としか言いようがありません。

 

実際、日経225に連動するインデックスファンドに負けてしまっている
ので、高いコストを支払ってまで投資をしようとは思えませんね。

 

国内の大型株に投資をするのであれば、スパークスの厳選投資くらいでしょうか。

 

それ以外のファンドに投資するくらいであれば、超低コストのインデックス
ファンドに投資をすれば十分でしょう。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点