日興アセットのグローバル3倍3分法ファンド、楽天投信の
USA360とならび、非常に多くの投資家から注目を集めて
いたのがアストマックスのウルトラバランス 世界株式です。

レバレッジ型ファンドの場合、大きな暴落局面での運用が
肝となりますので、そのあたりのパフォーマンスをしっかりと
検証する必要があります。

2020年以降は、コロナショックでの運用戦略とその後の運用戦略
を検証する上でとても良い相場ですので、投資戦略がはたして有効に
機能しているのか検証していきたいと思います。

「ウルトラバランス 世界株式って投資対象としてどうなの?」

「ウルトラバランス 世界株式って持ってて大丈夫なの?」

「ウルトラバランス 世界株式より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。


PayPay投信ウルトラバランス 世界株式の基本情報

投資対象は?

ウルトラバランス 世界株式の投資対象は株式と債券
です。

株式部分はiSares Edge MSCIミニマムボラティリティ
グローバル・ETFを通じて、世界各国の株式に分散投資を
していきます。

このETFは世界株式最小分散ETFとも呼ばれており、新興国
を含む世界各国の株式のうち、相対的に値動きが小さく、
異なる動きをする可能性が高い銘柄を選んで投資するETFです。

ですので、理論上は下図のようにリスクを抑えつつ、高い
リターンが期待できるETFとなっています。


※引用:商品説明資料

債券は債券先物を通じて米国債、フランス国債、日本国債に
分散投資を行い、金先物にも投資をしていきます。

ポートフォリオ全体としては2.9倍のレバレッジをかけますので、
投資金額100に対して、以下を基本比率として分散投資をして
いきます。


※引用:商品説明資

現在のウルトラバランス 世界株式の資産構成比は以下の
ようになっています。

ほとんど基本戦略の通りの比率になっていますね。

※引用:商品説明資

運用の特徴は?

ウルトラバランス 世界株式の一番の特徴は株式や債券と
異なる値動きをする金先物を組み入れることでリスクを
抑えているという点です。

バックテストの結果を見ると、リーマンショック時でも
金や債券の比率を高めたことで下落率を30%程度に抑え
られたようです。

リーマンショックの下落分を取り戻すのに1年5カ月しか
かかっていないのであるとすると、それは本当にすごい
ことなのですが、若干ひっかかる点があります。

それは以下の商品説明資料の違和感です。

この図を見ると、2006年以降、2011年まで騰落率がプラス
になっている場所がなく、なぜか0%の位置にとどまっている
ことが多いように見えます。

未だその謎を解明できてはいないのですが、このチャートの
形状には資料を作成した側の意図を感じてしまいます。


※引用:商品説明資料

純資産総額は?

続いて、ウルトラバランス 世界株式の純資産総額はどう
なっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができず、余計なコストが発生
することがあります。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ウルトラバランス 世界株式は一時非常に注目を集めましたが、
パフォーマンスが思った以上に伸びなかったことにより、
純資産総額はまだ5億円程度しかありません。

この純資産総額はさすがに心許ないですね。


※マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ウルトラバランス 世界株式の実質コストは1.56%と信託報酬の
2倍近くになっています。

純資産が5億円にも届いていないため、相対的にコストが高く
ついてしまっているということでしょう。

購入時手数料 0
信託報酬 0.743%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.56%(概算値)

※引用:最新運用報告書

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

PayPay投信ウルトラバランス 世界株式の評価分析

基準価額をどう見る?

ウルトラバランス 世界株式の基準価額は、コロナショックで
大きく急落後、比較的早くコロナ前の基準価額を更新しました。

しかし、その後の運用が非常にいまいちで、まったくといって、
いいほど上昇せず、半年以上過ぎています。

リーマンショック時のバックテストでも急落後にすぐ回復した
ものの、そのあと全く上昇していませんでしたが、ほとんど
同じ状況に陥っていると言えます。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、ウルトラバランス 世界株式の運用実績を
見てみましょう。

直近1年間の利回りは13.58%と高めの数値となっています。

ただ、これはコロナショックで急落した後からの利回りですので、
あまり参考になりません。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 13.58%
3年
5年
10年

※2021年4月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ウルトラバランス 世界株式は、バランスファンドの成長
カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資すべきですので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。

ただ、ウルトラバランス 世界株式のようにレバレッジを効かせて
運用している場合、バランスファンドのカテゴリーで
ランキングを見ても、あまり参考にはなりません。

上位●%
1年 100%
3年
5年
10年

※2021年4月時点

年別の運用利回りは?

つづいて、ウルトラバランス 世界株式の年別のパフォー
マンスを見てみましょう。

2020年はプラスで終わっていますが、2021年は今のところ
マイナスです。

まだ運用期間が短いというのもありますが、やはりあの
基準価額の異常な動きは気になります。

年間利回り
2021年 ▲1.67%(1-3月)
2020年 +9.95%

※2021年4月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとの利回り比較

ウルトラバランス 世界株式に投資をするのであれば、より
低コストで運用ができるインデックスファンドとパフォーマンス
を比較してからでも遅くはありません。

ウルトラバランス 世界株式は80%くらい株式が入っていますので、
低コストで人気の高いeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
比較をしました。


※引用:モーニングスター

コロナ前まではeMAXIS Slim全世界株式がかなり大きく利益を
伸ばしていましたが、コロナショック後はほとんど同水準の
パフォーマンスとなっていました。

しかし2020年後半からはウルトラバランス 世界株式の
パフォーマンスが全く伸びず、大きな差をつけられています。

暴落をうまく切り抜けた点は評価できますが、結局その後の
運用でインデックスファンドに負けてしまうようでは、高い
コストを支払ってまで投資をする価値があるとは思えません。

ウルトラ世界株式 Slim 全世界株式
1年 +13.58% +56.46%
3年
5年
10年

※2021年4月時点

最大下落率は?

ウルトラバランス 世界株式に投資をする前に、最大で
どの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは
非常に重要です。

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく
下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではここでウルトラバランス 世界株式の最大下落率を
見てみましょう。

ウルトラバランス 世界株式の最大下落率は2020年3月の1か月
で7.87%です。

株式が80%程度入っていたことをうまく下落相場を切り抜けた
と言える水準ではあります。

とはいえ、その後のパフォーマンスが奮わなければあまり
意味もありませんが。

以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲7.87%
3カ月 ▲5.28%
6カ月 ▲5.20%
12カ月 +0.43%

※2021年4月時点

評判はどう?

続いて、ウルトラバランス 世界株式を見てみましょう。

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということになります。

ウルトラバランス 世界株式は新規設定してからの2カ月間は
とても注目されていましたが、それ以降パフォーマンスが
優れなかったこともあり、資金流出が続いています。

このパフォーマンスでは仕方がないですね。

PayPay投信ウルトラバランス 世界株式の評価まとめと今後の見通し

ウルトラバランス 世界株式が販売された当初は、正直
運用会社であるアストマックスが昨今のレバレッジ型
ファンドの人気にあやかりたいと思い、追加で用意した
だけの商品だと思っていました。

しかし、コロナショック前後の運用をみて、私の意見
が少し変わりました。

今回、レバレッジを効かせて債券先物を組み入れることで
下落幅は株式100%のファンドと比較してかなり抑えられて
います。

そして、その後の値上がりフェーズでは、株式100%の
ファンドと同程度に値上がりしています。

ただ、良いところがあれば、悪いところがあるのが付き物で、
2020年後半からウルトラバランス世界株式ファンドは
まったくパフォーマンスが奮っていません。

このあたりは、急落を警戒してのことなのかもしれませんが、
インデックスファンドに大きく差をつけられることとなりました。

下落局面での下落幅を縮小するという意味では、意味のある
運用ができていると思うので、少なくともインデックスファンド
に負けないくらいのパフォーマンスをその後の運用で期待
したいところです。

現状は、下落を抑えられても、上昇局面で利益を上乗せできず、
大したパフォーマンスになっていないので、あえて投資をする
理由はないでしょう。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点