日興アセットのグローバル3倍3分法ファンド、楽天投信の
USA360とならび、非常に多くの投資家から注目を集めて
いたのがアストマックスのウルトラバランス 世界株式です。

 

2019年はレバレッジ型ファンド元年と呼ばれるほど、
様々な投資戦略のファンドが登場しました。

 

そして、2020年にコロナショックを経験したことで、
レバレッジを効かせた投資戦略がはたして有効に
機能しているのかが検証できるフェーズとなっています。

 

レバレッジ型のバランスファンドと聞くと、リスクを
抑えて運用したいのかリスクを取って運用したいのか
何をしたいのかよくわからないと思ってしまうのですが、
どうも一般の投資家からは非常に人気があるようです。

 

個人的には一時的なブームですぐに終わるだろうと
思っていますが、今後の動向は非常に興味があります。

 

今日はそんなウルトラバランス 世界株式を
徹底分析していきます。

 

 

ウルトラバランス 世界株式の基本情報

投資対象は?

ウルトラバランス 世界株式の投資対象は株式と債券
です。

 

株式部分はiSares Edge MSCIミニマムボラティリティ
グローバル・ETFを通じて、世界各国の株式に分散投資を
していきます。

 

このETFは世界株式最小分散ETFとも呼ばれており、新興国
を含む世界各国の株式のうち、相対的に値動きが小さく、
異なる動きをする可能性が高い銘柄を選んで投資するETFです。

 

ですので、理論上は下図のようにリスクを抑えつつ、高い
リターンが期待できるETFとなっています。


※引用:商品説明資料

 

債券は債券先物を通じて米国債、フランス国債、日本国債に
分散投資を行い、金先物にも投資をしていきます。

 

ポートフォリオ全体としては2.9倍のレバレッジをかけますので、
投資金額100に対して、以下を基本比率として分散投資をして
いきます。


※引用:商品説明資

 

現在のウルトラバランス 世界株式の資産構成比は以下の
ようになっています。

 

ほとんど基本戦略の通りの比率になっていますね。

※引用:商品説明資

 

運用の特徴は?

ウルトラバランス 世界株式の一番の特徴は株式や債券と
異なる値動きをする金先物を組み入れることでリスクを
抑えているという点です。

 

バックテストの結果を見ると、リーマンショック時でも
金や債券の比率を高めたことで下落率を30%程度に抑え
られたようです。

 

リーマンショックの下落分を取り戻すのに1年5カ月しか
かかっていないのであるとすると、それは本当にすごい
ことなのですが、若干ひっかかる点があります。

 

それは以下の商品説明資料の違和感です。

 

この図を見ると、2006年以降、2011年まで騰落率がプラス
になっている場所がなく、なぜか0%の位置にとどまっている
ことが多いように見えます。

 

未だその謎を解明できてはいないのですが、このチャートの
形状には資料を作成した側の意図を感じてしまいます。


※引用:商品説明資料

 

純資産総額は?

続いて、ウルトラバランス 世界株式の純資産総額はどう
なっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができず、余計なコストが発生
することがあります。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

ウルトラバランス 世界株式は一時非常に注目を集めましたが、
パフォーマンスが思った以上に伸びなかったことにより、
純資産総額はまだ5億円程度しかありません。

 

この純資産総額はさすがに心許ないですね。


※マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

ウルトラバランス 世界株式の実質コストは1.45%と信託報酬の
2倍近くになっています。

 

1期目というのは、ファンドの規模が小さいためにコストが
相対的に高くなる傾向があるのですが、2倍近くになると、
さすがに高いと感じます。

 

今後、純資産総額が増えてこれば、実質コストも下がるはず
ですが、パフォーマンスがどこまで改善されるかでしょう。

購入時手数料 0
信託報酬 0.743%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.45%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

ウルトラバランス 世界株式の評価分析

基準価額の推移は?

ウルトラバランス 世界株式の基準価額は、コロナショック前まで
なかなか上昇しませんでした。

 

そして、コロナショックで15%近く下落したあと、そこから
大きく反発しており、すでにコロナショック前の高値近く
まで戻しています。

 

コロナ前の水準まで戻しているファンドは多くはありません
ので、パフォーマンスは悪くないですね。


※引用:モーニングスター

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

ウルトラバランス 世界株式に投資をするのであれば、より
低コストで運用ができるインデックスファンドとパフォーマンス
を比較してからでも遅くはありません。

 

ウルトラバランス 世界株式が世界の株式に分散投資をしますので
低コストで人気の高いeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
比較をしました。

 

コロナ前まではeMAXIS Slim全世界株式がかなり大きく利益を
伸ばしていましたが、コロナショック後はほとんど同水準の
パフォーマンスとなっています。

 

パフォーマンスだけを見ると、ほぼ同じであるという結論に
至りますが、注目すべきはコロナショックでの下落幅です。

 

ウルトラバランス 世界株式はレバレッジをかけて債券に
分散投資をしていたことにより、下落幅がeMAXIS Slim
全世界株式と比べてかなり小さくなっています。

 

一方で、最終的なパフォーマンスはeMAXIS Slim 全世界
と同程度ですので、株式よりもリスクを抑えながら、
株式ファンドと同程度のリターンが実現できています。


※引用:モーニングスター

 

正直、どこまでこの投資戦略がどこまでうまく機能するのか
コロナショックまでは疑っていましたが、コロナショックでの
パフォーマンスを見て、考えを改めました。

 

リスクを抑えつつ、リターンも狙いたい投資家にとっては、
インデックスファンドに投資をするよりも良い選択肢に
なってきそうです。

 

アクティブファンドとのパフォーマンス比較

ウルトラバランス 世界株式への投資を検討するのであれば、
アクティブファンドと比較をしておいても損はありません。

 

今回は、世界の株式に分散投資ができるアクティブファンドとして、
非常に人気の高いセゾン 資産形成の達人ファンドと比較をしました。

 

直近のパフォーマンスはウルトラバランス 世界株式とほぼ互角と
言えます。

 

こちらもeMAXIS Slim 全世界株式のときに言ったように、下落幅
を抑えつつ、リターンは資産形成の達人ファンドと同程度と
なっています。

 

これであれば、リスクを抑えたい投資家にとって1つの選択肢に
なりますね。


※引用:モーニングスター

 

評判はどう?

続いて、ウルトラバランス 世界株式を見てみましょう。

 

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

 

資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということになります。

 

ウルトラバランス 世界株式は新規設定してからの2カ月間は
とても注目されていましたが、それ以降パフォーマンスが
優れなかったこともあり、資金流出している月もあります。

 

直近でパフォーマンスも改善してきているので、今後、
資金が流入してきてもおかしくはありません。

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

ウルトラバランス 世界株式の積立NISAとiDeCoの対応状況を
確認しておきましょう。

 

レバレッジ型ファンドはリスクが高いと思われていますので、
残念ながらどちらも対応していません。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年7月時点

 

ウルトラバランス 世界株式の評価まとめと今後の見通し

ウルトラバランス 世界株式が販売された当初は、正直
運用会社であるアストマックスが昨今のレバレッジ型
ファンドの人気にあやかりたいと思い、追加で用意した
だけの商品だと思っていました。

 

しかし、コロナショック前後の運用をみて、私の意見
が少し変わりました。

 

今回、レバレッジを効かせて債券先物を組み入れることで
下落幅は株式100%のファンドと比較してかなり抑えられて
います。

 

そして、その後の値上がりフェーズでは、株式100%の
ファンドと同程度に値上がりしています。

 

バランスファンドとして投資をしようとすると、さすがに
リスクが高いと思いますが、株式100%のファンドに投資
を検討している人がリスクを抑えて運用するために、

 

ウルトラバランス 世界株式を選択するというのは、
悪くありません。

 

運用期間はまだ短いですが、eMAXIS Slim 全世界株式や
セゾン 資産形成の達人ファンドとパフォーマンスでほぼ
互角というのも、大きな評価ポイントです。

 

現状は純資産総額が小さく実質コストがかなり割高に
なっていますが、今後、純資産総額が下落してこれば、
実質コストも下がってくるので、より魅力が増すと
思います。

 

レバレッジ型ファンドの印象はよくなかったのですが、
コロナショックを経て、ポートフォリオに組み入れる
のも悪くないと思うようになりました。

 

 

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