ウェルスナビやTHEOといった投信運用のロボアドが
投資初心者から絶大な人気を誇るなか、日本の個別株を
自動売買できるロボアドバイザーが登場しました。
今までのロボアドはどちらかと言えば、世界の株式・
債券・不動産・金・その他コモディティなどに
分散投資をすることで、手堅く着実に資産を増やす
戦略が中心でした。
しかし、WEALTH WINGの場合は、市場平均以上の
パフォーマンスを狙っていく、かなり攻めの運用が
できるロボアドになります。
WEALTH WINGには果たして投資する価値があるのか、
独自目線で徹底分析していきます。
WEALTH WING(ウェルスウイング)の基本情報
WEALTH WINGはフィンテック・ベンチャーのスマート
プラスが提供する株式の自動運用サービスです。
ウェルスナビやTHEOとは少し異なりますが、口座を開設
し、入金すれば、あとは自動で運用してくれるという意味
では、ロボアドと言えます。
※引用:WEALTH WING WEBサイト
現在はWEB版とアプリ版の両方がリリースされています。
最低投資金額は15万円なので、他のロボアドと比べると、
少しハードルは上がりますね。
投資対象は?
WEALTH WINGの投資対象は東証一部に上場している日本株
約1600銘柄です。
この中から、自動的に銘柄を選択し、市場平均を上回る
運用を目指します。
近年、流行っているウェルスナビやTHEOは、世界の株式、
債券、不動産、金で構成されたETFを自動で運用する
サービスですので、
WEALTH WINGとは国内⇔グローバル、株式のみ⇔株式以外も
幅広くと大きく違います。
WEALTH WINGは運用に際して、個別株の時価総額や割安度
といった複数のファクターを分析したうえで、最適な個別株を
選択し、市場平均を上回るリターンを狙っていきます。
このあたりの手法はスマートベータ運用とも呼ばれ、
インデックス運用とアクティブ運用の中間のリスク・
リターンと言われることが多いです。
ポートフォリオは?
WEALTH WINGは現在2つの質問に答えると、8つの
ポートフォリオの中から、あなたにおすすめのポート
フォリオが提案されます。
質問は
- 日本経済の景気が現在どのような状況だと思うか
- その状況下で、どんな運用方針を取るか
という2点なのですが、とてもわかりづらいです。
このあたりは、もう少し投資家目線で回答しやすい質問に
してほしいところです。
たいていの人はよくわからないと思いますので、直観で
回答して進みましょう。
回答の結果、私のポートフォリオは
「高成長高キャッシュフローポートフォリオ」でした。
どうやらこのポートフォリオはEBITDAやキャッシュフローが
高い企業を中心に銘柄選定を行うようです。
そして、このポートフォリオで現在組み入れられているのが、
以下の18銘柄になります。
どの銘柄にいくら投資をしていて、プラスがどのくらい
出ているのかとても見やすく整理されています。
アクティブファンドで銘柄数が20以下というのは、
かなり銘柄を絞り込んでの運用ですので、運用が
うまくいけば、かなり高いリターンが期待できます。
私がよくおすすめするスパークスの厳選投資も10~15銘柄
程度に絞り込んで運用していますので、今後の運用が楽しみです。
ちなみにWEALTH WINGの評価できるポイントとして、自動で
売買した銘柄の取引履歴が後から確認できるようになっています。
自動で売買されているとはいえ、いついくらの金額で売買
されたのかわかりやすくまとまっているのはありがたいですね。
運用の特徴は?
WEALTH WINGの運用の特徴として、マルチファクター
モデルが挙げられます。
これは、例えば売上高成長率や売上高営業利益率といった
ファンダメンタルズ系の指標だったり、
PER、PBRといった投資指標だったり、時価総額や騰落率と
いったテクニカル系の指標を50以上、モニタリングしており、
これらのファクターを総合的に判断しながら、銘柄選定が
行われています。
手数料体系は?
つづいて、WEALTH WINGの手数料を見ていきましょう。
WEBサイト上では、「手数料は安い」と謳っていますが、
安いとは言いづらいのが正直なところです。
以下に手数料の一覧をまとめていますが、運用手数料と
いうのは、運用をWEALTH WINGに委託するにあたって発生
するコストです。(WEALTH WINGの収益になる部分)
運用手数料が約1%/年かかりますが、これは他のロボアド
でもかかりますので、大きな差はありません。
(そもそも1%/年が高いという議論がありますが、アクテ
ィブ運用するファンドであれば、これくらいのコストは
妥協すべき範囲だと思います。)
運用 | 情報利用料 | 330円/月(税込) |
運用手数料 | 0.99%/年(税込) | |
売却手数料 | 1.0% | |
入金 | リアルタイム入金 | 0円 |
銀行振込 | 自己負担 | |
つみたて | 0円 | |
出金 | 出金手数料 | 0円 |
口座開設 | 0円 |
これだけの手数料であれば、まだ許容範囲できますが、
WEALTH WINGの場合、情報利用料と売却手数料という
手数料かかります。
情報利用料というのは、スマートベータ運用を行うに
あたり、企業業績や株価のデータをリアルタイムに取得し、
分析する必要があり、そのための費用のようです。
アクティブ運用の場合、このあたりの費用も運用手数料に
含めてしまうことが多いのですが、あえて定額で徴収する
理由は、毎月着実に入ってくる収益を確保するための
ものだと思われます。
情報利用料は月330円ですが、年間に換算すると、3960円
になります。
これが毎年定額でかかってきますので、以下の表のように
運用金額が小さいほど、投資金額に占める情報利用証の
割合が重くのしかかってきます。
運用金額 | 運用金額に占める情報利用料の割合 |
15万円 | 2.64% |
50万円 | 0.792% |
100万円 | 0.396% |
300万円 | 0.132% |
500万円 | 0.0792% |
運用金額が15万円だど、年2.64%もの情報利用料を
とられていることになります。
これに加え、運用手数料約1%かかるので、かなり利益を
圧迫されることになります。
改めて、いったいどの程度の運用コストがかかるのか、
まとめると、以下の表のようになります。
運用金額 | 運用金額に占める情報利用料の割合 |
15万円 | 3.63% |
50万円 | 1.78% |
100万円 | 1.39% |
300万円 | 1.12% |
500万円 | 1.07% |
これに加えて、出金時、もしくはポートフォリオの戦略を
変更する際に、投資金額の1%の手数料を取られます。
そのため、気軽にポートフォリオの戦略を変更しないように
注意してください。
アクティブファンドにも多数投資している私からすると、
少なくとも300万円以上の金額で投資をしないと手数料が
安いとは言えない水準だと思います。
100万円以下で投資をする場合は、かなり割高な手数料を
支払うことになるので、ご注意ください。
WEALTH WING(ウェルスウイング)の過去のパフォーマンス検証
WEALTH WINGはスマートベータ運用でアクティブファンドを
上回る安定的なリターンを実現できていると記載がありますが、
アクティブファンドもピンからキリまでありますので、
果たしてどの程度パフォーマンスが優れているのかを
比較しておいて損はありません。
また、超低コストのインデックスファンドと比較をして
おきたいところです。
WEALTH WINGのWEBサイトでは、2017/4/3~2020/4/3まで
のポートフォリオ別のパフォーマンスが掲載されていますので、
そのパフォーマンスと比較をしてみたいとおもいます。
パフォーマンス | |
ポートフォリオH | 27% |
ポートフォリオG | 25% |
ポートフォリオF | 23% |
ポートフォリオE | 22% |
ポートフォリオD | 20% |
ポートフォリオC | 19% |
ポートフォリオB | 14% |
ポートフォリオA | 10% |
たわらノーロード日経225 | ▲1.00% |
たわらノーロードTOPIX | ▲6.78% |
厳選投資 | 6.20% |
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン | 47.08% |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 1.00% |
※期間:2017/4/3~2020/4/3
まず、たわらノーロード日経225やたわらノーロードTOPIX
といったインデックスファンドと比較をすると、明らかに
WEALTH WINGのポートフォリオのパフォーマンスは
アウトパフォームしていることがわかります。
続いて、厳選投資や東京海上・ジャパン・オーナーズ株式
オープンといった国内のアクティブファンドの中でも長期で
高いパフォーマンスで運用されているファンドと比較をして
みると、
ジャパン・オーナーズ株式オープンに比べると劣るものの、
かなり優秀であることがわかります。
私たちはあえて国内株のファンドだけに投資をする必要
もないので、先進国株式に投資ができるインデックス
ファンドと比較をしてみても、十分高い成果を残しています。
手数料がどこまで加味されているのかわかりませんが、
仮に2%程度の手数料がWEALTH WINGにはかかったとしても、
それでもパフォーマンスは悪くありません。
あとは実際に運用をしながら、他のファンドとのパフォー
マンスは比較していこうと思います。
WEALTH WING(ウェルスウイング)の評判はどう?
続いて、WEALTH WINGの評判をTwitterで見てみましょう。
WEALTH WINGはANAのマイルが貯まるということで、
マイルを普段から貯めているようなユーザーから非常に
評判がいいようです。
またANAと提携しているということで、それだけでも信頼
の獲得につながっているようですね。
ただし、マイルは運用開始6か月間だけ年換算1%分を獲得
できますが、7か月目以降は年換算で0.1%分しかポイント
付与されません.
残念ながら、手数料の高さを加味すると、この程度のポ
イントキャンペーンでは、あってもなくても変わらない
でしょう。
WEALTH WING(ウェルスウイング)の評価まとめ
WEALTH WINGのような日本株に特化したロボアドというのは、
今までにありませんでしたので、今後も期待したいサービスの
1つです。
ただ、イチ投資家からみたときに、WEALTH WINGという
日本株のアクティブファンドで運用するのと、ネット証券で
アクティブファンドを購入するのとでは、そこまで大きな
差がありません。
毎日の基準価額の変動はどちらの場合も確認できますし、
個別銘柄の運用状況まで細かくわかるという点では
WEALTH WINGに軍配があがりますが、
組み入れ状況などは月報を見れば、ネット証券経由で
購入してもわかりますし、そこまで毎日銘柄を追いかけたい
人もいないでしょう。
手数料面を見ても、ネット証券で購入できるアクティブ
ファンドと比較して、優位性があるとは言えませんので、
やはり最後はパフォーマンス次第ということになります。
インデックスファンドよりもパフォーマンスが上回るこ
とは最低条件として、優秀な日本株のアクティブファンドも
いくつかある中で、いかにして頭一つ飛び抜ける存在になれるか
今後の運用に期待していきたいと思います。