VXXB、米国VIブルETFなどを投資対象と考えている人の
多くは買いの戦略ではなく、売りの戦略を検討していると
思います。
私も投資をするのであれば、売りの戦略が正しいと思って
いますが、VXXB、米国VIブルETFが連動している
S&P500 VIX短期先物指数は仕組み上、注意しておかな
ければいけないことがあります。
2012年以降のチャートの推移をみていただくとよくわかり
ますが、右肩下がりにチャートが下落を続けているものの、
下落率が小さくなっているということです。
これはつまり、売りのポジションを保有しつづけている
と確かに利益は増えるのですが、利益が出づらくなると
いうことを意味します。
そして、どんなに下落をつづけても、あなたの資産が2倍
以上にはならないことを意味します。
では、実際にVXXの終値の推移を見てみましょう。
VXX終値(ドル) | 騰落率 | |
2012/01/03 | 8619.5 | - |
2013/01/02 | 1795.2 | ▲79.2% |
2014/01/02 | 695.2 | ▲61.3% |
2015/01/02 | 495.8 | ▲28.7% |
2016/01/014 | 341.4 | ▲31.2% |
2017/01/013 | 94.8 | ▲72.3% |
2018/01/02 | 27.0 | ▲71.5% |
2019/01/02 | 45.5 | +68.5% |
まずVXXの終値の推移を見てみます。そうすると、2012年
1月には8619.5ドルありましたが、2019年1月には45.5ドル
まで下落しています。
ですので、2012年1月VXXの売りポジションを保有した人は
2019年1月に決済した場合、8619.5-45.5=8574ドルの利益を
得たことになります。
ほぼ資産が2倍になりますね。
ただし、2013年以降、毎年得られる利益が減っていること
に気づいたでしょうか?
ここで注目してほしいのが、一番右の騰落率です。2019年
1月まで保有をすれば、ほぼ2倍にはなるのですが、2012年
1月に売りポジションを保有して、2013年1月までの1年間
保有をしただけでも、実は8619.5-1795.2=6824.3ドルの
利益を得ることができます。
つまり2012年1月から2019年1月までの7年間のうち、最初の
1年間で利益の8割近くをあげているということです。
少し数学的な話が多くなり、混乱してくる人もいるかも
しれませんが、VXXB、1552 国際のETF VIX短期先物指数に
売りポジションから入る場合、中長期で保有を続けると
いうのは賢い戦略とは言えないということです。
それよりもある程度下落したタイミングで精算して、
再度ポジションを保有しなおすほうが有効な戦略です。
実際に毎年ポジションを保有しなおした場合にどれだけ
利益が出るかを計算してみます。
仮にあなたが2012年1月時点で8619.5ドルのポジションを
1ポジションだけ保有できる資産を持っていたとします。
そうすると、2012年1月に8619.5ドルで1つ売りポジション
を保有し、2013年1月にポジションを決済します。そうす
ると、8619.5-1795.2=6824.3ドルの利益となります。
そして、2013年1月に再度、売りポジションを保有しなお
します。
8619.5ドルの売りポジションを1ポジション保有できていた
ので、1795.2ドルであれば、約5ポジション保有することが
できます。
では、5ポジション保有し、2014年1月に売却しましょう。
1795.2-695.2=1100×5ポジション=5500ドルの利益が出る
ことになります。
これを2019年まで毎年続ければ、2012年からポジションを
保有し続けるより圧倒的に高い利益が期待できることが
わかったのではないでしょうか?
このように、VIX短期先物指数に連動する商品の場合は、
だんだん利益率が悪化していきます。
ですので、長期保有を前提に投資をするのではなく、
適切なタイミングで売却し、再度ポジションを保有しなおす
ほうが運用効率が高まります。
案外、この点を理解できていない人が多いので、運用効率を
高めたいのであれば、細めにポジションを保有し直すことを
おすすめします。