最近、徐々に知名度が上がってきている米国VIベアETFですが、
今日は、米国VIベアETFを取引始めようか悩んでいる方向けに、
「米国VIベアETFって何?」
「米国VIベアETFって稼げるの?」
「米国VIベアETFってリスクは高いの?」
「米国VIベアETFってどこでトレードできるの?」
といった悩みを解決したいと思います。
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米国VIベアETFとは?
まず大前提として、米国VIベアETFという仰々しい名前がついて
いますが、株取引やFX取引と同じように証券口座で売買できる
銘柄の1つです。
ちなみにこのような画面で取引できます。
※米国VIベアETFはGMOクリック証券でしか取引ができません。
そして、米国VIベアETFはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で取引されている
ETF、プロシェアーズ・ショートVIX短期先物ETF(SVXY)をCFDにした商品です。
ETF?CFD?ショートVIX短期先物?と「?」がたくさんついたと
思いますが、安心してください。
この説明でわかる人は相当VIX関連銘柄を勉強している人だけです。
また、米国VIベアETFトレードで勝つためには、米国VIベアETFの
細かな仕組みまで理解しなくても、トレードでは勝てますので、
大事な部分だけ覚えればOKです。
米国VIベアETFについて理解するには、チャートを見てもらうのが
一番イメージが湧くと思うので、早速チャートを見てみましょう。
これは2015~2018年1月までの米国VIベアETFのチャートです。
パッと見て、右肩上がりに上昇していることはわかりますね。
たいていの人はこのチャートを見ても、
「S&P500や他の株式のチャートでも同じような形を見るけど?」
と思うはずです。
ただし、この形状になっている理由がS&P500や株とは根本的に違います。
この仕組みを理解するために、米国VIブルETFという米国ベアETFの双子
の兄弟のチャートを紹介します。
これは取引開始時からの米国VIブルETFのチャートです。
2012年以降はほとんど、横一本にしか見えません。
これをもう少し拡大して2015年以降のチャートがこちらです。
これを見ても、2017年からはほぼ横一線に見えます。
もう少し、直近の2020年7月以降のチャートはこのようになっています。
いかがでしょうか?
たぶん、このように下落を続けているチャートを見たことがある人は
いないと思います。
なぜこのようなチャートの形状になっているかというと、
米国VIブルETFは仕組み上、下落していくように設計されているからです。
この下落の仕組みを知るためには、S&P500VIX短期先物指数について
理解ができると、なぜなのかがわかります。
かなりマニアックな内容ですが、興味のある方はこちらの記事を
読んでみてください。
S&P500 VIX短期先物指数とは?なぜ下落を続けるのか?
ここで米国VIベアETFの話に戻しますが、米国VIベアETFは
米国VIブルETFのインバース型の商品です。
※厳密には変動率が違うので100%インバースになっているわけ
ではありませんが、逆の値動きをすると意味では理解に役立ちます。
つまり、米国VIブルETFは仕組み上、下落していくので、
インバース型の米国VIベアETFは仕組み上、上昇するように
設計されているということです。
なので、チャートだけを見ると、ただ右肩上がりに上昇している
ように見えますが、経済が好調だから株価が上昇しているのとは、
まったく異なる理由で米国VIベアETFは上昇するということです。
株価が上昇していくのとは根本的に仕組みが違うので、まずは
そこを押さえておいてください。
ここまで聞くと、「そんな銘柄があっていいの?」と思うかもしれません。
まさにそのとおりでメリットがあればデメリットもあります。
では、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
米国VIベアETFをトレードする上での注意点とは?
米国VIベアETFは仕組み上、上昇していくように設計はされて
いますが、数年に1度とてつもない急落を見せます。
こちらもチャートを実際にみてもらったほうが早いので、早速
見ていきます。
まずは2018年2月に起きたVIXショックのチャートがこちらです。
2012年頃から上昇し続けており、「米国VIベアETFは知る人ぞ知る
お宝銘柄だ。」などと言われていましたが、それまでの利益を
すべて吹き飛ばす勢いで、価格が急落しました。
そして、「そんなすぐにはまた大きな下落は起きないだろう。」と、
根拠のない自信をもとに長期保有をしていた人もいると思いますが、
2020年3月から始まったコロナショックで今度は米国VIベアETFが
60%以上、下落しました。
その結果、現在では、過去に類がないほど米国VIベアETFは安値圏を
推移しています。
この2つのチャートがすべてを物語っていますが、米国VIベアETFを
トレードする上では、株や投資信託のようにただただ長期保有を
していれば、利益が出るという類の投資商品ではないということです。
何も考えずに投資をしていると、100%大暴落の影響で大損することになります。
「積立投資が良い!」なんて言っていた人もいますが、このように
急落する可能性がある商品を積み立てるというのは狂気の沙汰です。
100%損しますので、そんな投資方法は絶対にやってはいけません。
ここまでの話を聞くと、
「上昇する仕組みになっていても急落するんじゃ勝てないじゃないか」と
思ったかもしれません。
ただ、よく考えてほしいのは、「米国VIベアETFほど値動きの方向が
わかる商品があるでしょうか?」ということ。
急落はするもののそれ以外のタイミングでは仕組み上、コツコツ上昇
していくわけです。
世の中に出回っているほとんどの投資商品は、将来の値動きを予測する
ことは不可能です。
株やFXでも、多くの投資家が将来の値動きを予測しようとしていますが、
実際は勘に頼っているだけで、予測はできていません。
人によって捉え方は自由ですが、少なくとも私は、この特徴的な仕組みを
トレードに活用しない手はないと考えています。
ちなみに過去に似たような商品がVIXショックで上場廃止になったことから、
上場廃止のリスクがあるなんて言っている人もいますが、その可能性はほぼ
ありません。
なぜならVIXショックの経験をもとに米国VIベアETFの値動きは50%に
抑えられているからです。
それでも50%以上下落したコロナショックは恐ろしい下落だったと
言えますが、あまり気にする必要はありません。
むしろ、そんな急落が来るのであれば、急落が来る前のタイミングで
売りぬけるのが正しい考え方です。
米国VIベアETFの年別のパフォーマンスはどれくらい?
続いて、米国ベアETFのパフォーマンスを見てみましょう。
パッと見るとトータルで大きなプラスになっているように見えます。
ただし、実際は2018年のVIXショックの▲92%で2012年以降、
長期で保有していた投資家の大半が大損することになりました。
そして、さらに2020年のコロナショックで▲43%近く下落しており、
VIXショック後、もう下落しないだろうと思い、長期保有を始めた
投資家たちがまた大損することになりました。
年利回り | |
2012年 | +88% |
2013年 | +88% |
2014年 | ▲8% |
2015年 | ▲20% |
2016年 | +95% |
2017年 | +170% |
2018年 | ▲92% |
2019年 | +57% |
2020年 | ▲43% |
※2020年10月12日時点
※あくまでも概算値です。
繰り返しになりますが、、米国VIベアETFのトレードは、長期保有を
前提に考えると100%うまくいきません。
むしろ、ある程度下落してきたら、損切りして、短期で利益を
積み上げていくのが正しい戦略です。
ここまで話を聞いても、いまいちどうやってトレードすればよいのか
イメージがつかないと言う人もいると思います。
そこで、ざっくりとですが、私がやっているトレードの一部を紹介します。
米国VIベアETFで勝つためのトレード方法とは?
まず大前提として、米国VIベアETFの大暴落は今後必ずどこかで
また来ます。しかし、その大暴落を事前に予測することは不可能です。
そのため、大暴落をうまく回避することを考えるよりも、大暴落が
来た時に損失をいかに最小限に抑えることを前提にトレード戦略を
考えるのが有効です。
そして、米国VIベアETFの仕組み上、暴落後はまたコツコツ上昇
していきます。
ですので、コツコツ利益を積み上げて、大暴落前に売り抜けるのが
有効な投資戦略になります。
では、私が行っている投資方法の一例を紹介しましょう。
100万円の原資がある前提で話をしますが、米国VIベアETFは
数千円からでも投資ができます。
値動きに慣れるという意味でも最初は数千円、数万円で始める
のがよいと思います。
まずは米国VIベアETFが大きく下落するタイミングが来るまで、
待ちます。
たいていの人はこれができないのですが、米国VIベアETFは
大きく下落したタイミングでエントリーすることで圧倒的に
有利なポジションで取引できます。
ですので、まずはじっくりと待ってください。
米国VIベアETFが大きく下落したと判断する基準の1つとしては、
ニュースで株式市場の下落が大きく取り上げられたときです。
ここで言うニュースというのは、NYダウが大きく下落したという
ニュースです。
たいてい、米株市場のニュースではNYダウの現在値が報道されますので、
NYダウのニュースを意識してキャッチアップしてください。
そして、NYダウが下落すると、間接的にですが、米国VIベアETFも
大きく下落します。
ですので、ここが絶好の買い時となります。(厳密には、S&P500が
大きく下落することで米国VIベアETFが下落します。)
大きく下落したタイミングで、100万円分米国VIベアETFを購入
していきます。できれば、数回に分けて分散投資をするのがよいでしょう。
そして、GMOクリック証券で取引する場合は自動でロスカットが設定
されるのですが、そのままの設定では、すぐにロスカットにあいますので、
ロスカットレートはもう少し下げるようにしてください。
大きく下落した場合、時間の大小はあるものの、必ず上昇していきますので、
あとは上昇に転じるのをじっと待ちましょう。
そして、ある程度の利益が出たタイミングで逆指値を利用して、疑似的な
トレーリングストップを使っていきます。
なぜ逆指値を使うのかと言えば、初めの位置にロスカットレートが設定
されていると、大きく下落したときに、せっかく時間をかけて増やして
いた資産がマイナスになってしまいます。
ですので、米国VIベアETFが上昇すると同時にロスカットレートを
あげていくトレーリングストップはかかせません。
あとは、放っておけば、トレーリング・ストップにかかって決済されます。
決済されたら、また大きく下落するまでじっくり待つようにしましょう。
多くの人は常にポジションを保有することが正解だと考えるようですが、
勝てる投資家は無理にポジションを持ちません。
自分が勝てる確率の高いときだけ勝負をすればよいのです。
この方法で正しいポジションでエントリーできれば、毎年20%近い利益を
安定的に出すことも可能です。
米国VIベアETFを何年も実際にトレードしているからわかること
さて、最後に私が実際に米国VIベアETFをトレードしていて
思うことを書いておきます。
たぶん、この記事や他のブロガーさんの記事を読んで、
「米国VIベアETFをトレードしたい!」と思う方もいると思います。
ただ、実際にやってみると、思ったよりも勝てないので、
「なんだこんなものか」と思う人が多数出てくると思います。
当然、誰もが勝てるような銘柄というのはありませんが、
何が問題かと言えば、トレードで勝つために重要なのは
銘柄選びだけではないことに気づいていないからです。
もちろん、銘柄も重要な要素の1つであることは間違いありません。
ただし、あくまでも要素の1つでしかなく、根本的にトレードで
勝つために必要な要素がわかっていないと勝てるものも勝てません。
ここでいくつか質問してみます。
もし次の質問に明確に答えられるのであれば、米国VIベアETFを
トレードし始めても勝てる可能性が高いでしょう。
・投資金額はどのように決めますか?
・資金管理の方法は?
・レバレッジは何倍でトレードしますか?またその根拠は?
・エントリーのタイミングはどう決めますか?
・ロスカットレートはどの位置に設定しますか?
・売却タイミングはどう判断しますか?
少なくとも、トレードするのであれば、これくらいの項目に
ついては、自分の中でルールを決めてトレードしなければ、
根拠のない勘に頼ったトレードにしかなりません。
結局、勘に頼ったトレードでは一時的には勝てたとしても、
中長期で勝ち続けることはできず、どこから大負けするのは
目に見えています。
お遊び程度にトレードできればいいという人はそのままで良いですが、
米国VIベアETFのトレードで本気で成果を出したいと思うのであれば、
こういった点もしっかり考えるようにしなければいけません。
米国VIベアETFはそれだけじゃない。
また、米国VIベアETFの仕組みがしっかりとわかってくると、
米国VIベアETF以外のトレードでも勝てるようになります。
米国VIベアETFは、間接的にS&P500のアウト・オブ・ザ・マネーの
コール・オプションやプット・オプションの増減の影響を受けています。
少し難しい表現になってしまいましたが、簡単に言えば、S&P500の
値動きと大きく関係があるということです。
この意味をしっかりと理解できるようになると米国VIベアETFと、
S&P500の値動きを見て、S&P500の相場転換のサインを察知できる
ようにもなります。
一見、胡散臭そうな商品に見えるかもしれませんが、トレードを
習得すると、その後の広がりはかなり大きいので、ぜひあなたも
米国VIベアETFトレードを始めて欲しいと思います。