投資詐欺を見抜く極意をお伝えする前に、必ず覚えて
おいてほしいことがあります。
株や投資信託、債券と違って、ハイリスク・ハイリターン
投資における損失というのは投資資金がゼロになるという
ことです。
仮想通貨のような自分で取引をコントロールできる案件は
別として、投資資金の60%だけ戻ってきたなどということ
は基本的には起こりません。
詐欺にあった場合、投資資金を回収する方法がないわけ
ではありませんが、相当難易度は高くなります。
ですので、今日は、いかに資金を回収するのが難しいか
を実感していただきたいと思います。
今まで、大きな損をしたことがない人ほど、この点の認識
が相当甘いので、必ず良く読み込んでください。
典型的な投資詐欺事例
例えば、あなたがFXファンドに100万円投資していたと
しましょう。※ファンドというのは、多くの人から投資
資金をあつめて、運用する会社のことです。
あなたは毎月配当を3万円受け取って、順調そのものです。
1年間配当がずっと続いたので、2年目はもっと資産を増
やそうとボーナス全額を追加し、200万円で運用しはじ
めました。
1カ月目は6万円の配当がありました。しかし2カ月目。
配当が指定した期日に振り込まれていません。
あなたは不安になりエージェント(あなたにファンド
を紹介してきた営業マンのこと)に連絡をします。
すると「システムのトラブルで配当が遅れている。
1週間以内には振り込まれるから、安心してくれ」と
言われます。あなたはその言葉を信用し、1週間待っ
てみることにしました。
1週間後、6万円が入金されており、安心します。
そして3カ月目、また配当が期日までに振り込まれません
でした。あなたはまたエージェントに連絡をします。
エージェントは「まだシステムのトラブルが解消せず、
1週間程度で支払えるはずだ」と言います。
あなたは前回ちゃんと支払われていたので、少し不安
ではあるものの配当が入金されるのを待ちます。
1週間経ちました。まだ配当がありません。
2週間たちました。配当がありません。
あなたは不安になり、エージェントに連絡します。「もう
少ししたら入金できるから、もう少しだけ待ってほしい」と。
さらに、1カ月、2カ月が過ぎ、結局配当が払われません。
あなたはようやくここで投資詐欺にあったのではないかと
気づきます。
ブログの読者さんの中には、まさに自分も同じ目にあった
という方もいるのではないでしょうか。
被害金を回収するための選択肢
さて、ここからが本題ですが、あなたはこのタイミングで
初めて、投資した資金を回収するために行動をし始める
ことになるわけですが、さて、このタイミングであなたは
投資資金を回収するためにどのような行動をとりますか?
①友達に助けを求める
友達は話を聞いてくれるかもしれませんが、過去にこの
ような経験をしたことがなければ、ほとんどアドバイス
らしいアドバイスはできません。
せいぜい弁護士に相談してみたら?くらいでしょうか。
そもそも投資で失敗したことを友人知人に知られたくない
方がほとんどなので、相談する人も少ないと思いますが。
②エージェント(営業マン)を問い詰める
エージェントを呼び出し、実際何がどうなっているのか
詳しく聞きたいとあなたは思うかもしれません。
投資詐欺にあったことがある人であれば、これくらいの
ことはやったことがある人は多いのではないでしょうか。
ただ、エージェントがその投資案件についてかなり根幹に
携わっており、事態の全容を把握していればよいのですが、
たいていの場合、全容を把握しているようなことはなく、
問い詰めたとしても満足のいく回答が得られず、悶々と
したまま終わることがほとんどです。
③資金を集めていた会社の代表を問い詰める
配当が止まってしまうと、代表と連絡を取ることも難しく
なることが多いのですが、例えば、代表の自宅を把握して
いる場合、直接出向いてどうなっているのか話を聞くという
方法もあります。
しかし、今、何が起こっているのかはよくわかったとして、
お金が戻ってくるわけではありません。
99%の確率で、「お金がないんです。お金ができるまで
お待ちください。もう少しすれば資金ができそうなんです」
と言われて終わりになります。
もしここであなたが逆上し、自宅のものを盗んだり、暴力
をふるったり、脅したりしてしまうと、逆にあなたが窃盗罪、
暴行罪、脅迫罪などで逮捕されかねませんので、注意して
ください。
④弁護士に相談する
これもよくある事例です。投資で失敗し、弁護士に相談
したことがある人であれば、ある程度わかると思いますが、
弁護士は投資詐欺において、ほとんど役に立ちません。
というより、弁護士費用だけとられて、あなたはさらに
出費がかさむことになると思ってください。
では、なぜそうなってしまうのか。
弁護士は弁護士法に則った手続きしか踏むことができません。
もし違反するようなことをすれば、今まで時間をかけて取得
した弁護士の資格がはく奪されますのでそんなバカなことは
しません。
そうすると、資金回収のために弁護士ができることは以下
のように限られてしまいます。
(1) 相手側の口座を差し押さえる (2)詐欺だと訴える。
(1)を行うには、まずあなたは裁判で勝訴判決を得るか
もしくは、支払督促などを送付し、あなたが支払いを
受けることができる権利を確定させなければいけません。
当然、この作業をするために弁護士費用が発生します。
契約書があるからといって、いきなり口座を差し押さえ
られるわけではないのです。
仮に弁護士に依頼をして、確定判決をとり、口座を差し
押さえられるようになったとしても、あなたは安心でき
ません。
なぜなら口座を差し押さえるにも費用がかかるのです。
さらに現行法では、かなり不都合な仕組みになっており、
あなたが相手側の口座(銀行名と支店名)がわからない
と差し押さえることができないのです。
相手も教える義務があるわけではありませんから、
事前にあなたが相手の銀行口座と支店名を把握して
いない限り、知ることは不可能です。
そうすると、相手の銀行口座がありそうな支店に差し
押さえの依頼をすることになるのですが、1支店の差し
押さえを依頼すると、数千円の費用がかかります。
これは依頼するだけでかかる費用なので、仮に相手の
口座がなかったとしても発生してしまいます。
空振りでもいいからということで絨毯爆撃のように
手あたり次第、銀行口座の差し押さえの申請をする
こともできますが、この効率の悪さは計算するまでも
なくあなたにもわかるでしょう。
さらに差し押さえというのは、銀行が差し押さえた瞬間
に口座に残っている残高が対象です。つまり、差し押さえ
の三日前に相手側が資金を引き出してしまっていれば、
当然あなたは何も回収できないということです。
さらに悪いことに口座の差し押さえは、空振り(ほと
んど口座にお金が残っていないような口座を差し押さ
えてしまった場合)でも相手側に通知がいってしまいます。
つまりあなたが差し押さえのために動いていることが伝わ
ってしまうのです。当然、相手側は差し押さえから逃れる
ために資金を引き出してしまうでしょう。
そのために口座を差し押さえようとする場合は、ある程度
目途が立ったタイミングで一気に複数の銀行口座を差し押
さえなければならないのです。(費用もその分かかる。)
とにかく不都合だらけの口座差し押さえ制度です。
最近になって、ようやくメガバンクが債務名義(勝訴
判決に該当するもの)があれば、支店名まで特定できて
いなくても、差し押さえに応じるようになってきたので、
少しはマシになるかと思います。
ただ、口座に資金が残っていなければ、差し押さえても
全く意味がないということには変わりありません。
(直前で引き出されてしまえば、対処のしようがないと
いうこと)
そして、このような知識は当然、詐欺する側も知ること
になり、大きく回収実績がよくなることはないでしょう。
なかには(2)の刑事告訴を検討される方もいると思います。
どうせ資金が返ってこないならば、詐欺師を牢屋に入れて
やろうというものです。
しかし、あなたが望む結果から一番遠ざかるのがこのパタ
ーンです。詐欺した人間がどうなろうが関係ないが、とに
かくあなたは投資した資金を少しでも回収したいと思って
いるはずです。
そもそも詐欺を立証するのはかなり難易度が高いのですが、
もし本当に詐欺で相手側が捕まってしまえば、その時点で
資金が返ってくる確率はゼロになります。
また刑事告訴するのであれば、弁護士費用がかかります。
資金を回収することが目的であるはずなのに、さらに出費
がかさんでしまっては、本末転倒です。
あなたの感情的な満足は得られるかもしれませんが、本来
のゴールからは遠ざかってしまうのです。
弁護士に費用を払って刑事告訴しようとするのであれば、
以下に記載しますが、資金回収を専門にしている業者に
費用を払ったほうがあなたの目的を達成できる可能性は
高いでしょう。
とにかく弁護士に相談してもほとんど解決しないという
ことは覚えておいてください。
⑤資金回収のプロに相談する
資金回収のプロと言うと、、弁護士等をイメージされる
かもしれませんが、投資の世界では、そうともいえません。
餅は餅屋とはよくいったもので、弁護士の先生たちが正攻法
で攻め立てても埒があかないような案件で活躍されている方
たちがいます。
彼らは相手側がとにかく嫌がる法律的にはギリギリのところ
を攻め立てて、返済計画表を作らせたりします。
このあたりの話はあまり詳しく書けないので、より詳しい
話が聞きたい方は個別にご連絡ください。
とにかく彼らは、独自のルートで、住所を調べ上げ、自宅
にも訪問しますし、張り込みもしますし、メディアとの太
いパイプをもっているので、メディアで大大的に取り上げ
るように仕向けるようなこともできます。
当然、家族や親族、仕事先・取引先などにもアプローチ
しますので、ある意味、敵にすると一番厄介なのはこの
方々です。
逆に、だからこそ、資金回収という意味では、もっとも
心強い味方となってくれます。
彼らは騙された人には紳士的なので、相談するときも特に
怖がる必要はありません。気さくに話を聞いてくれます。
ただ、そんな彼らでも資金回収できる確率はそう高くない
のが正直なところです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このように、ハイリスク・ハイリターン投資に手を出して、
資金が戻ってこなくなった場合、被害金を回収することが
いかに難しいかわかっていただけたのではないかと思います。
よく、ニュースで投資詐欺の代表が捕まった等のニュース
を見ると、そのあとに投資した資金が戻ってくると思って
いる人もいるようですが、決してそのようなことはありま
せん。
隠し口座に資金が残っていれば、一部戻ってくる可能性も
ありますが、そのような事例はほとんどありません。
ですので、繰り返しになりますが、ハイリスク・ハイリタ
ーンの投資案件は事前にしっかりと見極める必要があるのです。