これは投資に限らずよくある話ではありますが、商品を
紹介する側としては、お客様に買っていただきたいと
いうのが本音なので、商品を良く見せようと誇張した
表現をよく使ってきます。
「私はインドネシアまで直接赴き、代表者と会って話を
聞いてきた。現地をみれば本当はもっと実感できるけれど、
正直数年で五倍になってもおかしくないと思います。」
「一年あれば、間違いなく二倍に資産がなりますよ。」
1000人しか会員がいないにもかかわらず、「世界で三万人
すでに会員がいます。日本ではまさに今から組織が大きく
なっていくタイミングなので、入っておいて損はないです」
など、挙げだしたらきりがありません。
あなたも営業の仕事を経験したことがあれば、誇張表現を
使ったことがあるかもしれませんし、彼女の前でかっこ
よく見せるために、そういった話をしたこともあるかも
しれません。
人間少なからず、「他人に良く思われたい」「すごく見せ
たい」という思いがありますので、誇張表現を使ったこと
がない人は世の中にはいないでしょう。
ただし、彼女の前や友達との話の中で誇張表現を使うのとは、
わけが違います。
前述のようなときは、特に「それほんとなの?」とか「それ
証明できる?」など疑わずとも、素直にほめてあげればいい
のですが、投資においては、その誇張表現を疑いもせず真に
受けて投資の判断をすると、とんでもない目にあいます。
ですので、わたしたちはは相手の話している内容が事実なのか
誇張表現なのかをしっかり吟味しなくてはいけません。
過去に、ロサンゼルスで大流行しているジーンズを日本で
販売する投資案件に出資をしたことがあります。
正直、ファッションについては疎いため、海外で流行った
ものが日本に入ってくることがよくあることは知っていま
したが、どの程度日本でニーズがあるのか判断できずにい
ました。
そんなときに私にこの商品を紹介してくれていたエージェ
ントが、まだ日本国内で販売が始まっていないにもかかわ
らず、すでに2万本の新規受注が入ったと教えてくれました。
普通のジーンズであれば10本買えるような単価の高いジー
ンズだったので、自分では買いたいと思いませんでしたが、
それだけ国内で需要があるのであれば、うまく行きそうだ
と思い、特に裏付けのデータを見せられたわけでもないうち
に契約をしてしまいました。
その結果、想像がつくと思いますが、結局その二万本の受注
の話自体がなくなり、案件もまったくうまく行きませんでした。
普通に暮らしている人ですと、基本、性善説で物事を考える
癖がついていると思いますので、平気で嘘をついたり、誇張
表現をしたりする人はいないと思います。
仮に嘘をつかれたりしても、そこまで自分の生活に大きな
影響を受けたことがある人はほとんどいないでしょう。
しかし、投資の話を聞くときは注意が必要です。私は口酸っ
ぱくいつも言うのですが、投資は性悪説で考えないと必ず
失敗します。
要は、エージェントの言ったことを鵜呑みにしてはいけない
ということです。
相手の言っていることが、何かしらの根拠に基づいている
のかをしっかり確認したうえで、判断する必要があります。
私の例でいえば、2万本の新規受注がはいったのであれば、
どこの会社からの受注なのか、申込書など実物はないかなど、
相手の言っていることが正しいかを判断する方法は後から
考えると色々ありました。
そして、それ以降私が取り入れているのは、エージェント
の話を録音するという方法です。
事前に相手側に「しっかり内容を勉強したいので、録音して
もいいですか?」と事前に確認して承諾をもらっておきます。
「あなたの言うことが本当かどうか疑っているので、録音
してもいいですか?」なんて言ったら当然向こうも嫌がり
ますが、そうでなければ、断られることはまずないでしょう。
万が一、断られたらその時点で投資をしないほうが無難ですね。
どちらにしてもこの「録音してもいいですか?」という言葉
は非常に効果を発揮します。
エージェント側からすれば、変なことを言ってしまうと証拠
として残ってしまいますから、誇張表現が限りなく少なくなり、
より事実に近い内容が収集できるはずです。
「絶対儲かります」といった言葉はまず言ってこなくなる
でしょう。
ただ、人によっては初めから了承もとらずに録音しようと
する人がいますが、この方法はあまりお勧めしません。
この録音の一番の目的は、エージェントの誇張表現をでき
るだけ排除し、事実に近い情報を得ることにあります。
ですので、こっそり録音していては、確かに記録を残せ
ますが、エージェントはそのことを知らないので、誇張
表現を使ってくる可能性が高いです。
投資がうまくいかなくなったときには、「あの時にこう
言ってましたよね。」と証拠能力はありますが、うまく
いかなくなったときのために録音するのは本末転倒です。
私たちは、相手から正しい情報を収集して、その情報を
もとに投資判断をするわけですので、誇張された話を録音
したとしても投資判断する上では全く役に立たないのです。
この方法は非常におすすめなので、ぜひ活用していただき
たいと思います。