外貨建てMMFは格付の高い公社債へ実質投資がされると
いうことで、多くの投資家があまりリスクをしっかり把握
せずに投資をしています。
外貨建てMMFについて言えば、一般的な投資信託と比べ
れば圧倒的に低いですが、やはり自分でしっかりリスク
について調べる癖はつけておきたいものです。
今日は、外貨建てMMFへ投資するうえで、注意しておき
たいリスクと、そのリスクへの対処方法を紹介していきます。
外貨建てMMFのリスクとリスク対処法
信用リスク
まず1つ目が信用リスクです。信用リスク=デフォルト
リスクともいいますが、債券の利払いや元本の返済が
滞るリスクのことです。
外貨建てMMFは公社債投資信託といって、組み入れら
れている資産は公社債もしくは短期金融商品ですので、
限りなくリスクは低いですが、デフォルトリスクは
注意すべき点です。
組入られている資産がすべて同時にデフォルトになる
可能性はありませんが、1つの資産でもデフォルトすると、
それなりに影響が出てしまいます。
では、デフォルトリスクを調べるうえで役に立つのが、
S&Pやムーディズといった格付会社が提供している格付
です。
以下の格付表はS&P社が発表している格付の一覧で、
上位のものほど格付が高いことになります。
通常、よく目にするのは左側の格付ですが、外貨建て
MMFの場合、組み入れられている資産のほとんどは
償還日が数カ月の短期金融商品に該当しますので、
右側の短期発行体格付を確認する必要があります。
短期発行体格付ではA-1+⇒A-1⇒A-2⇒A-3⇒B⇒Cの順
になっています。
短期発行体格付けがA-1+の場合、長期で見るとAAA~
AA-の範囲の格付に該当します。
外貨建てMMFの場合、投資対象の制限がありますので、
A-2以下の格付の債券にはほぼ投資ができません。
ですので、実質、A-1以上の格付の債券に分散投資して
いくことになります。
長期格付 | 短期格付 |
AAA | A-1+ |
AA+ | A-1+ |
AA | A-1+ |
AA- | A-1+ or A-1 |
A+ | A-1 |
A | A-1 or A-2 |
A- | A-1 or A-2 |
BBB+ | A-2 |
BBB | A-2 or A-3 |
BBB- | A-3 |
BB+ | B |
BB | B |
BB- | B |
・・・・ | ・・・・ |
では、上記の格付の債券はどの程度デフォルトする確率
があるのか。
S&P社がグローバル企業約6900社をもとに集計したデータ
がありますので見ていきます。以下の数値は1981年~2017年
における平均デフォルト率を示しています。
表の見方は1年前に「AA」の格付を取得していた企業が1年
以内にデフォルトする確率が0.02%ということを意味して
います。
もちろん経済環境等の影響も考慮する必要はありますが、
これは現時点でAAの格付を取得している企業の債券を
購入した場合に、1年以内の償還期限の債券であれば、
99.98%は利息も元本も回収できるという見方ができます。
外貨建てMMFに組み入れられる債券は短期発行体格付で
A-1以上なので、長期発行体格付けで言うA以上に該当し
ます。
Aは0.06%ですので、1年以内の短期証券であれば、ほとんど
返済が滞る心配はないということですね。
このように「安全性は高い」と言われているからと言って、
すぐに安全だと思うのではなく、実際に自分で確認する癖を
つけると投資で成功する確率を上げることができます。
Rating | 1年 |
AAA | 0.00% |
AA | 0.02% |
A | 0.06% |
BBB | 0.17% |
BB | 0.68% |
B | 3.59% |
CCC/C | 26.82% |
※引用:S&P社発行レポート
元本割れリスク
つづいて、元本割れリスクです。外貨建てMMFは公社債
投資信託ですので、通常の投資信託と同じように価格が
変動します。
外貨建てMMFの場合は、公社債や短期金融商品で構成
されているので、金利の影響により価格が変動します。
金利が上昇すれば、価格は下落し、金利が下落すれば、
価格は上昇します。
とはいえ、外貨建てMMFの場合、投資方針として、通常
は償還期限まで保有することを前提に運用を行いますので
(債券等は償還日まで保有をすれば、額面の金額で戻って
くるということ)
一般に販売されているダメな債券ファンドのように途中
売却での売却損はあまり考えなくても大丈夫です。
万万が一元本割れを起こしたとしても、過去の元本割れの
状況を調べてみると、額面100に対して96~97%は返金
されていますので、大きな損失にはなりません。
様々な短期証券に分散しているからこそ、一部の債券で
デフォルト等が起きたとしても、大きく影響は受けない
と言うことです。
為替リスク
外貨建てMMFで一番気を付けておきたいのが為替リスク
でしょう。
いくら安定した利回りで運用を続けていたとしても、円高
になってしまえば(例:1ドル100円⇒1ドル80円等)、円に
両替するタイミングで損失が出てしまうかもしれません。
ですので、日本円に戻すときは、為替レートがどうなって
いるか必ず確認するようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回、紹介した外貨建てMMFは変動金利の外貨預金の
ようなものです。
米国債や米国株などに投資を行っていると、どうしても
購入のタイミングを見計らう必要が出てくると時があります。
そのようなときに、単純に外貨のまま保有していてもよい
ですが、利回りを考えれば、外貨建てMMFで運用したほう
が間違いなく効率よく運用ができます。
本日、外貨建てMMFのリスクについてまとめましたが、
とにかく外貨建てMMFで気を付けなければいけないのは、
運用していた外貨を円に両替するタイミングです。
ここさえ、間違えなければ、外貨運用で失敗する確率は
かなり下げることができますので、くれぐれもその点だけ
は注意して運用を行ってください。