VIXインバース型の商品で一番人気がある商品といえば
SVXYと答える人がほとんどだと思います。
しかし、SVXYは2018年のVIXショックで90%近く下落
してしまい、多くの投資家が大損することになりました。
VIXショック以降は、VIXインバース型の商品はリスクが
大きすぎて危険だという認識が広がっているのですが、
VIXショック以降再び注目が集まっている商品があります。
それが、ベロシティシェアーズ・デイリー・インバース
VIX中期先物ETN『ZIV』です。
今日は、『ZIV』について徹底分析していきます。
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ベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX中期先物ETN『ZIV』 とは?
ZIVとは、S&P500 VIX中期先物指数の日次の変動の▲1倍に
連動するETNです。
あなたが良く聞くのはVIX「短期」先物指数だと思いますが、
ZIVの場合はVIX「中期」先物指数に連動するETNです。
短期先物指数の場合は、満期が1カ月になるようにVIX指数
先物をロールオーバーしていくのですが、中期先物指数の
場合は満期が5カ月になるように先物をロールオーバーして
いきます。
ロールオーバーがわからないという人はこちらをご覧ください。
2019年6月時点では、以下のように9月限、10月限、11月限、
12月限のVIX指数先物で構成されており、9月限と12月限の
先物を入れ替えていくことになります。
先物 | 比率 |
CBOE VIX Future SEP 19 | 15.83% |
CBOE VIX Future OCT 19 | 33.51% |
CBOE VIX Future NOV 19 | 33.41% |
CBOE VIX Future DEC 19 | 17.26% |
VIX指数先物というのは、仕組み上、下落圧力がかかっています。
それは、VIX[短期]先物指数でもVIX[中期]先物指数でも変わりません。
ですので、インバース型であるZIVは仕組み上、上昇していく
習性があります。
ベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX中期先物ETN『ZIV』の値動きは?
では、ZIVの値動きを見てみましょう。2010年の設定来の
着実に価格が上昇しており、設定来のパフォーマンスでは
約7倍程度にまで増えています。
ここで注目してみていただきたいのは、2018年2月のVIX
ショック時の価格推移です。
たしかに90USD前半から60USD程度まで約30%下落をして
いますが、SVXYのように90%近くも下落をしていません。
これは、VIX指数は急騰してもすぐに戻ってくる特性があり
ますので、VIX短期先物は大きく反応したのですが、VIX中期
先物はそれほど反応しないということです。
ZIVであれば、中長期で保有する価値がありそうですね。
では、直近1年の推移はどのようになっているでしょうか。
直近1年で見ると、チャートがかなり上下に変動している
ことがわかります。
本来は上昇圧力がかかっているので、相場が平常であれば、
上昇していくのですが、2018年~2019年にかけては、市場
が不安定になっています。
そのため、VIX指数が時々急騰する場面があり、その影響で
ZIVもなかなか上昇できていないというわけです。
ZIVとSVXYの価格推移と騰落率の違いは?
ZIVとSVXYはVIX中期先物指数とVIX短期先物指数の
インバース型の商品なので、そもそも値動きは少し
異なるのですが、ZIVは▲1倍、SVXYは▲0.5倍なので、
結局どちらがどのような値動きをするのか比較してみました。
まず、価格変動を見てみましょう。
ZIVがグレー、SVXYが青線です。ぱっと見ると、ほとんど
同じような値動きをしているように見えます。そこで次は
日々の騰落率で比較をしてみました。
その結果が、こちらの図です。
これは、2018年3月1日時点を100とした場合の価格の推移を
表しています。ご覧のようにほとんど同じ騰落率となって
います。
まさかここまで、騰落率が重なると思っていませんでした
ので、面白い発見ができたと思っています。
ベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX中期先物ETN『ZIV』 のパフォーマンスは?
ZIVが中長期で上昇をしていることはわかったと思いますが、
さてどの程度上昇しているのか見てみましょう。
2018年には30%超の下落となってしまっていますが、それ
以外の年では目立った下落は見られず、大きく上昇している年
が複数年あることがわかります。
約10年で3倍程度には増えていますので、普通の投資商品に
投資をするよりははるかに高い利回りが期待できますね。
ベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX中期先物ETN『ZIV』 で利益を出す投資戦略は?
では、ZIVに投資をするのであれば、どのような投資戦略が
考えられるでしょうか?
ぱっと見て、多くの人が思いつくのはZIVの買いです。
さきほど見たように、ZIVは仕組み上、上昇圧力がかかって
いますので、相場が平常であれば、ZIVの価格は上昇して
いきます。
そして、VIXショックのように相場が下落すると、一時的に
ZIVも下落しますが、それでも、仕組み上、上昇していきます
ので、長期的に見れば期待が持てます。
気を付けなければいけないのが、VIXショック以上のVIX急騰
が起きると、ZIVと言えど、90%以上下落する可能性があると
いうことです。
ですので、ロスカットの逆指値を入れておくことは必須でしょう。
ただし、ロスカットの逆指値は値が飛ぶことがあるので、どの
位置でロスカットするかは非常に重要となります。
オプション取引がつかえるのであれば、プットオプションを
買うことで、下落に対してはフルヘッジできるのですが、
残念ながらオプション取引はできませんので、ロスカット
注文で対応するしかありません。
まとめ
S&P500 VIX短期先物指数のインバース指数に連動する商品
だとボラティリティが大きすぎてなかなか手が出しづらいと
いう人もいるかもしれません。
しかし、VIX中期先物指数のインバース指数に連動するZIVで
あれば、ボラティリティもかなり抑えられていますので、
投資対象の1つになるのではないでしょうか?
重要なのは、株式でも過去のチャートで見ると、右肩上がり
に上昇している株式は存在します。
しかしそれらの株式は必ず上昇することが約束されていて、
上昇したわけではなく、企業が着実に成長できたからこそ、
上昇したわけです。
場合によっては、企業が成長できずに株価も横ばい、もしくは
下落を続けたかもしれません。
このように、株式の場合は、過去のチャートを見ると上昇して
いたとしても、購入時点では株価が上昇するかは企業次第と
いうことになります。
一方で、ZIVは上昇が仕組み上、約束されている銘柄です。
この違いをしっかりできれば、ZIVへの投資が株式よりも
手堅い理由がわかっていただけるのではないでしょうか。