米国が継続的な利上げを発表して以来、米国の金利も着実に上昇して
おり、今まではあまり魅力がなかった米ドル建て社債も十分に投資価値
がある水準まで利回りが上昇してきました。

リスクを取りたくない投資家にとっては非常に魅力的な商品なのですが、
証券会社が儲からないため、認知度としては米国債以上に低いです。

一方で、前述したように債券としては魅力があがってきていますので、
これを機会に米ドル建て社債について学んでいただければと思います。

米ドル建て社債とは

まず、改めて米ドル建て社債とは何なのか簡単に説明しておきます。
「米ドル建て」というのは、わかりやすく言うと、金額が米ドルで
表示されている社債という意味です。

米ドル建て社債を購入する場合は、米ドルに両替して購入する必要が
あります。

円建てであれば日本円、豪ドル建てであればオーストラリアドルで
金額が表示されている社債であり、購入するにはその通貨に両替を
したうえで、購入する必要があります。

次に社債について説明します。社債というのは企業が資金調達をする
ために発行する債券のことです。

企業が資金調達する方法は色々とありますが、たとえば銀行から借入を
する場合、融資の条件として借入金を全額返済するまで、債務(借金)
を増やしたり、企業買収したりしないなど、制限を付けられる場合が
ほとんどです。

企業側からすれば臨機応変に資金をビジネスに投入できませんので、
ビジネスの足かせになりかねません。一方で、社債で資金調達すれば、
償還日まで自由に資金を使うことができますので、企業側としては
足かせなく調達した資金をビジネスに投入できるというわけです。

借入金の返済面でも、毎月返済しないといけない銀行借入と違い、
償還日までわずかな利子だけ支払えばよいので、メリットが大きいのです。

では、投資家側にとって、社債は魅力があるのか。

社債は、一般的な債券と同じ仕組みで投資家が社債を購入した場合、
毎年利子を受け取り、償還期限には額面金額で戻ってくることになります。

株式と違って、大きなキャピタルゲインを狙うことはできませんが、
リスクを抑えてコツコツ利益を増やしたい投資家に向いている金融商品
です。国債と比べると利回りが高いというのも魅力の一つですね。

米ドル建て社債の発行が増えている理由

企業側にとっても、投資家目線でもメリットのある社債ですが、近年
では「米ドル建て」の社債発行が増えています。

その大きな要因は、日本企業が買収などを通じて海外事業を拡大して
いることや、現地通貨で資金を調達することで為替リスクを減らそうと
していることが挙げられます。

そして、利上げの影響で米ドルの調達コストが今後上昇していくことが
予想されることから、今のうちに調達しておこうという動きが強まって
います。

米ドル建て社債の格付

債券に投資するときには、利子の支払いや元本の返済が滞らないように
信用リスクの確認は必須です。社債の場合、国債よりも格付が低い場合が
多いので、しっかりとそのリスクを把握しておく必要があります。

格付の低すぎる債券は投資家も購入しませんので、ある程度格付が高い
債券しか市場には出回りませんが、S&Pの評価で、最低でもBBB以上、
できればA以上の格付がついている債券を投資対象とするようにしてください。

心配性の人のために、S&Pが公表しているグローバル企業6900社の格付
データをもとに、どの程度デフォルトする可能性があるのかを調べてみました。

以下の表は、平均累計デフォルト率(1981年~2017年)といって、その
格付を取得してから15年間のうちにデフォルトした企業の確率を示しています。

AAAであれば、格付取得後に15年以内にデフォルトした企業は0.93%。
ほとんどないことがわかります。

私の感覚では、A程度までであれば、ほとんど発生しないと思ってよい
のではないかと思っています。

Rating 15年
AAA 0.93%
AA 1.07%
A 2.09%
BBB 5.11%
BB 15.80%
B 28.34%
CCC/C 52.82%

※引用:S&P社発行レポート(2018年4月5日)

米ドル建て社債の種類(購入単価や利回り等)

では、具体的にどのような社債が発行されているのか見ていきましょう。

現在、SBI証券で販売されている社債になります。オリックス、三菱UFJ、
三井住友FG、トヨタと国内でも超一流の企業が並んでいます。

すべて利付債となっており、利回りは2%後半~3%前半です。償還日
までの残存年数は3年~10年程度ですね。

発行体の格付もS&Pの格付でAもしくはAAですので、十分に投資対象
としては魅力的と言えるでしょう。購入のハードルを少し高めてしまう
ものがあるとすれば、購入単価でしょうか。

最低2000米ドル以上ですので、約20万円からの投資となります。

米ドル建て社債のリスク

さて、ここまでの話を聞くと、満期まで保有することが前提であれば、
ほとんどリスクがないように感じるのではないでしょうか?

実際、購入する時点で、毎年の利息と売却価格は決まりますので、
ほぼ確定利回りの商品ということができます。

とは言っても、リスクがゼロというわけではありません。以下の3点の
リスクは知っておいて損はないでしょう。

①信用リスク

これは格付のところでも説明しましたが、企業側が利息の支払いや
元本の返済ができなくなるリスクです。

さきほどの表をみればわかるとおり、AAやAの格付であれば、保有
期間中にデフォルトする可能性はほぼありませんので、あまり心配
する必要はありません。

ただ、ゼロではないという点はおさえておいてください。

②価格変動リスク

続いて、価格変動リスクです。債券というのは、常に価格が変動します。

価格変動のメカニズムまでお話しするとかなり長くなってしまいますので、
100万円で購入したとして、90万円や120万円に価格が変動すると覚えて
おいてください。

償還日まで保有を続ける場合は、いくら価格が下落していたとしても、
額面の100万円で売却できるので問題ありませんが、万が一、債券を
途中で売却する必要がでてきたとき、債券価格が大きく下落していると、
売却損が発生する可能性があります。

債券価格が90万円のときに売ってしまうと、90万-100万=10万円の損失
となります。ですので、基本的には満期まで保有できる程度の金額で債券
を購入するようにしてください。

③為替リスク

最後が為替リスクです。3つのリスクのなかで一番気を付けなければ
いけないのが、このリスクでしょう。

1ドル100円のときに債券を2000ドル分購入すると、20万円かかります。
そして、毎年利息を受け取って、10年後の償還日のタイミングで2000ドル
が戻ってきます。

このときに為替が1ドル80円になっていた場合、2000ドルを円に両替
すると16万円にしかなりません。利息を毎年もらっていたとしても
マイナスになってしまいます。

一方で、1ドル=120円になっていた場合は、2000ドルを円に両替すれば
24万円となり、追加の売却益を得ることができます。

このように10年後の為替レートによって、あなたの収益がどの程度
増えるかが変わってくるわけです。

一番注意しなければいけないのが、1ドル80円などの円高になった場合
ですが、為替は円に戻してしまうと、損失が確定します。

ですので、2000ドルを受け取った時点で為替レートが良くなければ、
①再度、米ドル建て社債を購入②米ドルのまま保有を続けることで、
為替レートが良くなるまで、待てばよいのです。

ドルで保有しておいて、旅行の時に使うというのも良いかもしれません。

米ドル建て社債の購入方法

ここまで、読んで、米ドル建て社債を買ってみたいと思った人もいる
のではないでしょうか。

基本的に多くの証券会社で販売していますので、メインで利用している
証券会社のホームページで確認してみてください。

私はSBI証券の口座をメインで利用しているため、SBI証券での米ドル建て
社債の購入方法を以下にまとめました。

※以下の記事は米国債を購入していますが、米国債を選択するか米ドル建て
社債を選択するかの違いだけですので、簡単にわかると思います。

SBI証券で米国債(アメリカ国債)を購入する方法を具体的に解説

まとめ

このブログの読者の多くが投資信託を中心に、投資を検討している方が
多いと思いますので、なかなか債券を直接購入するというところまで、
自分の意識が向かなかったかもしれません。

しかし、債券ファンドのような粗悪な投資信託に投資をするよりも、
自分で債券を購入すれば、毎日の基準価額の変動で一喜一憂する必要も
なく、ほぼ確定した利回りで運用することが可能です。

為替リスクを気にする方もいますが、為替リスクはさきほど説明した
方法で円に戻すタイミングをコントロールすれば、問題ありません。

ぜひこれを機会に他人任せにする運用ではなく、自分でコントロール
する運用に切り替えていっていただければと思います。