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米国VIベアETF、米国VIブルETF、米国VIで投資効率が良いのはどれ?

米国VIベアETFや米国VIブルETFはリーマンショック
以降に新規設定された商品なので、大暴落が来た時に
米国VIベアETFや米国VIブルETFがどのような値動きを
するのかというデータが今までありませんでした。

しかし、コロナショックが起きたことで、かなり貴重な
データを取ることができ、改めて運用戦略を考える
きっかけとなりました。

特に、投資効率という観点を考えると、なかなか興味
深い結果となったので、今日は米国VIベアETFと米国
VIブルETFと米国VIでどれが一番投資効率がよいのか
分析結果を紹介します。

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コロナショックで米国VIブルETFはどの程度上昇したのか

まず、米国VIブルETFがコロナショックでどの程度急騰
したのか、実際のチャートを見てみましょう。

2020年1月21日に最安値10.36を基準にすると、2020年
3月18日には最高値134.38を記録しました。

なんと約13倍も米国VIブルETFは上昇したことになります。

正直、VIXショック時の上昇率は約3倍程度でしたので、
リーマンショック級のVIXの急騰が起きても最安値から
4~5倍程度だと思っていました。

しかし、今回のコロナショックの経験から、少なくとも
投資金額の15倍の必要証拠金を用意しておかないとロス
カットにあうことがわかります。

さらに、計算上は投資金額の15倍の資金を用意しておけば、
良いことになりますが、実際に投資をしてみると、このよ
うなギリギリの金額設定では、精神的にまず間違いなく
耐えられません。

最低でも投資金額の20倍くらいの資金の余裕をもって
おかないと精神的に耐えられないでしょう。

実際に体感していない人にはわかりませんが、この損失額
の膨れ上がり方は想像以上にメンタルに影響を与えます。

安易な気持ちで50万円分売りから入ったとすると、500万円
近く含み損を抱えることになるわけです。

後から振り返れば、ロスカットに遭わずに済んだという
シンプルな結論ですが、米国VIブルETFが最高値を恐ろ
しい勢いで更新していくときは気が気ではありません。

実際にトレードする際は、ロスカットされないように投資を
するというよりもロスカットされることもある前提で投資を
していくほうが資金効率はよさそうです。

コロナショックで米国VIはどの程度上昇したのか

続いて、米国VIがコロナショックでどの程度上昇したのか
を見てみます。

2020年1月15日に12.80の最安値を付け、そこから2020年
3月18日に80.02という最高値をつけました。

約6倍の急騰です。

米国VIはリーマンショック時の最高値を更新しており、
コロナショックがいかに恐ろしい急落だったかがわかり
ます。

一部の投資家がtwitter等で米国VIの売りを推奨していた
こともあり、知識もない初心者がいきなり手を出しいま
したが、いかにハイリスクな投資に手を出してしまった
か身をもって体感したと思います。

米国VI/米国VIブルETF/米国VIベアETFの投資効率を考える

さて、いよいよ本題ですが、結局どの商品が一番投資効率
がいいのでしょうか。

投資効率というのは、自己資金を一番効率よく運用できる
かという意味だとお考え下さい。

コロナショックでわかったことは、米国VIや米国VIブルETFの
売り戦略は損失無限大の投資方法なので、ロスカットに
遭わないように必要証拠金をかなり多めに用意しておかな
ければいけません。

その資金は実質、運用ができない資金ですので、当然ですが、
投資効率は下がります。

その投資効率も考慮したときに、果たして、米国VIと米国
VIブルETF、米国VIベアETFのどれが一番、効率よくリタ―
ンを得ることができるのかを検証していきます。

まず、大前提として、リーマンショックやコロナショック
のような大暴落相場が来た時でも、ロスカットに遭わない
ように投資をしていきます。

つまり、前述しましたが、米国VIブルETFの売り戦略で
あれば、保有ポジションの20倍の資金を必要証拠金と
して用意し、米国VIの売り戦略であれば、保有ポジション
の10倍の資金を必要証拠金として用意します。

※これくらい資金に余裕をもっていないと大暴落相場
でロスカットにあってしまうため。

具体的な数値で見ていきましょう。

自己資金が200万円あるという前提にすると、まず米国VI
ベアETFは買いの戦略なので、自己資金(必要証拠金+任意証
拠金)200万円で200万円分のポジションを保有できます。

一方、米国VIブルETFは自己資金(必要証拠金+任意証拠金)
200万円でどれくらいのポジションが保有できるのか。

さきほど説明したとおり、大暴落相場でもロスカットに遭わ
ないような設定を考えると、保有ポジションの20倍くらいの
資金は用意しておきたいので、10万円分しか売りポジション
を保有できません。

※必要証拠金+任意証拠金として、自己資金の200万円を差
し入れておく。

もしかするとまだ、イメージが湧かない人がいるかもしれま
せんので、別の説明もしておきます。

米国VIブルETFが10のときに10万円分の売りポジションを
保有したとしたら、大暴騰して米国VIブルETFが200になっ
ても耐えられるようにロスカットレートをあげて、必要証
拠金+任意証拠金200万円分を差し入れているということで
すね。

米国VIの場合は、ロスカットに遭わないようにするため
には10倍くらいの資金は用意しておきたいので、20万円
分の売りポジションを保有して、必要証拠金+任意証拠金
200万円分を差し入れるということですね。

別の言い方をすれば、米国VIが10のときに20万円分の売り
ポジションを保有し、米国VIが100まで上昇しても耐えら
れるようにロスカット―レートをあげて、必要証拠金+
任意証拠金200万円分を差し入れるということです。

そして、下表がその投資効率の結果です。自己資金はどの
パターンでも同じ200万円です。保有ポジションはさきほど
説明したとおりですね。

パフォーマンスは過去の実績を分析して、無理なく達成でき
る数値をいれています。

自己資金 ポジション 年利回り 利益
米国VIベアETF 200万円 買200万円 10% 20万円
米国VIブルETF 200万円 売10万円 30% 3万円
米国VI 200万円 売20万円 24% 4.8万円

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今までは私も米国VIブルETFや米国VIのほうが効率よく
リターンを伸ばせると考えていましたが、大暴落相場では、
想像以上に米国VIブルETFや米国VIが大きく上昇すること
がわかりました。

そのため、今までの想定以上に必要証拠金を積んでおく
必要があり、ロスカットに遭わないように運用をすると
なると、米国VIブルETFはかなり資金効率が悪い運用
しかできないことがわかります。

今回米国VIブルETFについては、保有ポジションの20倍
ということで少し余裕を持たせているため、このような
検証結果になっていますが、精神的な影響も考慮すれば、
妥当なラインだと思っています。

ただ、今回の検証の大前提はあくまでもロスカットされ
ないように証拠金を準備した場合の投資効率についての
検証です。

コロナショックのようなものは10年に1度程度なので
あれば、ロスカットされることを前提に投資をしていく
ことで、米国VIブルETFや米国VIは投資効率を高める
ことができます。

何事も工夫次第ということですね。

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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