近年、非常に人気が高まっている金投資ですが、一言で金投資といっても、様々な投資方法があります。
その中でも代表的なのが金地金(きんじがね)投資と呼ばれる、金の延棒を購入する投資方法です。
今日は、この金地金について、購入するならどこがおすすめなのか、手数料や保管料などのコスト面も合わせて徹底比較をしていきます。
金地金とは?
まず金地金というのは、純金のインゴット、ゴールドバーとも言いますが、いわゆる金の延べ棒です。
以下のように、表面には販売店の名前やシリアルナンバー、サイズが記載されています。
※引用:徳力商店HP
この金の延べ棒を購入し、ずっと保有をしておいて、売却時に購入価格よりも高くなっていれば、利益が出る投資方法です。
金地金投資の何よりの魅力はやはり手元に金のインゴットを置いておけることでしょう。
実際に手元に置いたことがある人はわかると思いますが、インゴットの美しい輝きを見ていると、手元に持っているだけで至福のひと時を味わえます。
ここからは、金のインゴットを購入する場合、どのような観点で比較をして購入するべきなのか、様々な観点で比較をしていきます。
金地金の取り扱いサイズを比較
金地金は販売店によって取り扱っている重量サイズに違いがあります。
下に、主要な販売店を記載していますが、多くてもサイズは10種類程度しかありません。
販売会社 | 重量サイズ |
田中貴金属 | 5g、10g、20g、50g、100g、200g、300g、500g、1kg |
三菱マテリアル | 5g、10g、20g、100g、500g、1kg |
日本マテリアル | 1g、5g、10g、20g、50g、100g |
徳力本店 | 1g、5g、10g、20g、30g、50g、100g、200g、300g、500g、1kg |
第一商品 | 1kg |
※2022年1月時点
どのサイズを購入するかはあなたの予算との兼ね合いもありますが、私の経験からすると100g以上のインゴットは、やはり持っていて気分が高揚するのでおすすめです。
続いて、販売店ごとの金価格を比較してみましょう。
金1g当たりの価格を比較
金地金を購入する場合、金1gあたりの金額に重量サイズを掛け合わせることで金価格を算出できます。
下のように、販売店によって、わずかに差はありますが、ほとんどの販売店で金価格は同じになっています。
販売会社 | 1gあたりの金価格 |
田中貴金属 | 6,827円 |
三菱マテリアル | 6,827円 |
日本マテリアル | 6,827円 |
徳力本店 | 6,827円 |
第一商品 | 6,820円 |
※2022年1月28日時点
第一商品の金価格だけ割安なのは、取扱商品が1kgのインゴットだけなので、ボリュームディスカウントが効いているからです。
さて、この金価格をもとに、重量サイズ別の金地金の購入価格を比較してみましょう。
重量サイズ別の購入価格を販売店事に比較
ここでは、多くの販売店が取り扱っている10g、100g、1kgのサイズで購入価格(円)を比較しました。
ちなみに購入価格というのは金価格にバーチャージという金地金加工料が上乗せされた金額(円)です。
購入価格は2021/1/28時点の金価格をもとに計算しています。
販売会社 | 10g | 100g | 1kg |
田中貴金属 | 78,250円 | 755,000円 | 7,385,000円 |
三菱マテリアル | 77,150円 | 746,750円 | 7,385,000円 |
日本マテリアル | 75,650円 | 738,500円 | - |
徳力本店 | 76,050円 | 744,000円 | 7,385,000円 |
第一商品 | - | - | 7,353,500円 |
※購入価格=金貨価格+バーチャージで算出
重量サイズが10g、100gでは日本マテリアルが一番購入価格が低くなっています。
1kgになると第一商品が一番購入価格が安いです。
CMをよくやっている田中貴金属は広告費をかけている分、金額が上乗せされていますね。
こうみると、あえて田中貴金属で購入するメリットはないと言えます。
さて、ここまでで購入価格についてはどこが割安で購入できるのかわかったと思います。
続いて、金地金を購入する上でかかる手数料について販売店ごとに比較をしていきます。
金地金の手数料を比較
さきほど見た通り、1gあたりの金価格には販売店ごとにほとんど差はありませんでした。
一方で、購入金額に差がついているのは、次に紹介するバーチャージという金地金加工料に差があるためです。
金地金を購入する上では、バーチャージ以外にあと2つの手数料についても考慮する必要がありますので、併せて3つの手数料についてそれぞれ販売店ごとに比較をしてみましょう。
バーチャージを比較
ます1つ目がバーチャージです。金地金の重量サイズによってバーチャージの金額が変わってきます。
そこで、主要な金地金のサイズでのバーチャージを比較しました。
販売会社 | 10g | 100g | 1kg |
田中貴金属 | 4,400円 | 16,500円 | 0円 |
三菱マテリアル | 3,300円 | 8,250円 | 0円 |
日本マテリアル | 1,800円 | 0円 | - |
徳力本店 | 2,200円 | 5,500円 | 0円 |
第一商品 | - | - | 0円 |
※2022年1月28日時点
基本的に、どの販売店でも500g以上の金地金を購入する場合、バーチャージはかかりません。
日本マテリアルだけは100gからバーチャージを無料にすることで差別化を図っています。
バーチャージは日本マテリアルが一番割安となっています。
売買スプレッドを比較
2つ目の手数料が売買スプレッドです。
多くの販売店では「購入時、売却時の手数料はかかりません」と謳っていますが、実際には販売店の利益が金価格に上乗せされています。
スブレッドはイメージしにくいので、具体例で説明しましょう。
田中貴金属の場合、2022/1/28時点では小売価格が7,385円/gに対して、売却価格は7,281円/gとなっています。
つまり、あなたが2/25に金地金を1g買って、すぐ売却した場合、104円の損失が出ることになります。
なぜこのように購入時と売却時の金額に差がついているかということ、この差額の104円/gというのが田中貴金属の利益になっているからです。
ですので、実質この104円/gをあなたは手数料として支払っていると言えます。
(もしあなたが100gの金のインゴットを購入して、すぐ売却した場合は104円×100=10,400円を手数料として支払うことになります。)
それでは、各販売店の売買スプレッドを比較してみましょう。
販売会社 | スプレッド |
田中貴金属 | 104円/g |
三菱マテリアル | 104円/g |
日本マテリアル | 104円/g |
徳力本店 | 104円/g |
第一商品 | 66円/g |
※2022年1月28日時点
スプレッドは第一商品以外は104円/gとなっています。
ですので、金価格に対して、1.6%ほど売買スプレッドという名の手数料がかかっていることになります。
第一商品だけスプレッドは他社の半分程度ですが、重量サイズが1kgからなので、一般の投資家にはなかなかハードルが高いですね。
他の4社では差がないことから、このスプレッドは甘んじて受け入れるしかない手数料になります。
保管料を比較
最後が金地金の保管料です。
金地金を購入後、一番気を付けなければいけないのが、盗難や紛失です。
もちろん自宅に金庫があり、そこで管理できるという方には保管料は不要ですが、自宅に金庫がないという人や万が一無くしてしまったら・・・と不安に感じる人も多いです。
そのため、販売店によっては、購入した金地金の保管サービスを提供しています。
こちらも販売店ごとに金地金のサイズによって年間保管料が異なりますので、比較をしてみましょう。
販売会社 | 10g | 100g | 1kg |
田中貴金属 | 5,500円/年 | 5,500円/年 | 5,500円/年 |
三菱マテリアル | 無料 | 682円/年 | 6,827円/年 |
日本マテリアル | - | - | - |
徳力本店 | 2,640円/年 | 2,640円/年 | 2,640円/年 |
第一商品 | - | - | - |
※三菱マテリアルは金の重量の0.1%(2000gまで)
保管サービスは各社金額がまちまちです。
10g、100gの場合は、三菱マテリアルが一番割安となっており、1kgの場合は徳力本店が一番安くなっていますね。
金地金購入方法の比較
さて、最後に金地金の購入方法について比較していきます。
金地金は一部、オンラインでの購入申し込みも受け付けてはいますが、通常は店舗に訪問して購入するか、電話で購入申込が中心です。
販売会社 | 購入方法 |
田中貴金属 | 店舗、電話 |
三菱マテリアル | 店舗、電話 |
日本マテリアル | 店舗、電話、オンライン |
徳力本店 | 店舗、電話、オンライン |
第一商品 | 店舗、電話 |
コロナ禍で非接触のサービスが増える中、未だオンライン対応ができていない販売店は今後出遅れることになりそうです。
さて、ここまで様々な角度から比較をしてきました。
では、最終的にどこで購入するのが一番良いのかという点について解説していきます。
金地金を購入するなら結局どこがいいの?
盗難や紛失のリスクを考えると、保管サービスを提供している販売店を利用するのがよいと考えがちですが、金のインゴットを1つか2つ購入する程度であれば、私はあえて手元に置いておくことをおすすめします。
盗難のリスクはゼロではありませんが、手元において、時々眺めるというのは、盗難リスクに備える以上の価値があると私は思っています。
ですので、そう考えると、オンラインで申し込みが可能で、手数料も割安な日本マテリアルが一番おすすめと言えるでしょう。
「いや、私は盗難リスクがとにかく怖いから買ったら預けておきたい」という人は、保管サービスのある徳力本店が良いでしょう。
金地金にかかわらず、どの業界でも有名な企業というのは、広告予算をかなり使っていますので、広告費が購入価格に上乗せされてきます。
今回のようにしっかりと調べて比較をすれば、どこで購入するのが一番お買い得なのかわかりますので、ぜひ参考にしてください。
最後に、念のためですが、最近ではYahoo!オークション等でゴールドバーや金のインゴットが売りに出されていることがあります。
もちろん、本物が売りに出されている可能性もありますが、写真だけでは品質も定かではありませんし、偽物が売りに出ている可能性もありますので、万が一のことを考えると、ちゃんとした販売店を通して購入するのが一番安心です。