経済的自由を手に入れた人達のことを指す言葉として、
最近では「FIRE」という言葉がよく使われるようになり
ました。

私個人としてもFIREの考え自体には非常に共感するのですが、
投資の理論と実態を理解していない人が間違ったFIREの方法を
伝えていることに違和感を覚えています。

そのため、今日は、FIREを目指すのであれば、どのような
スタイルを目指すのがよいのか、またそれはなぜなのか
徹底解説していきます。

FIREとは?

FIREというのは、「Financial Independence Retire Early」
の略で、一般的には株式や株式100%の投資信託で運用し、
そこからの配当収入を得て、早期に経済的な独立をする
というライフスタイルを指します。

2021年にはこのFIREが一大ムーブメントになり、日本で
もFIREに憧れる若者が急増しました。

今までは「資産が多ければ多いほど良い!」という考えが、
一般的でした。

しかし、

「別に死ぬときにお金がたくさんあっても仕方ないのでは?」

「そのために人生の大半を特にやりたくもない仕事に注いで、
無駄にしてしまうのってどうなの?」

「それであれば、適度に働き、自分のやりたいことを若いうちから
やりきるほうが人生楽しいのでは?」

という若者が急激に増えてきているというのが背景にあります。

そのため、多く稼ぎ、大きな資産を作ることよりも、自分が
実現したいライフスタイルを実現するために支出を見直し、
それに見合うだけの投資収入を得ることで、楽しく暮らす
という点が重視されるようになりました。

従来であれば、例えば1億円を貯めて、セミリタイア生活を
始める人だけが賞賛されていましたが、月20万円好きな
仕事で稼ぎ、

支出を20万円以内に抑えることで、自由に生きるという
ライフスタイルも今では一つのリタイアの方法として
認められるようになったということです。

私もこの考え方にはとても共感していて、他人と比較を
しなければ、いくらでも自分らしく自由に生きる方法が
あるということです。

1億円貯めようと思うと、心が折れそうになるかもしれま
せんが、支出を抑えて、自分の好きなことで稼いで生き
ていくというライフスタイルであれば、もっと多くの人が
実現できそうです。

何より、日本人は、心配性の人が多いせいか、死ぬ間際に
貯蓄が最大になってしまう人が多いです。

嫌な仕事を一生続けて、お金を貯め続けるよりも、貯蓄は
そこそこしつつも、自分らしいライフスタイルを確立して
ほしいと思います。

ただ、世間一般で言われているFIREというのは実は大きな
落とし穴があり、そのままFIREを目指すとFIRE後に大きな
落とし穴にはまる可能性があるので注意が必要です。

FIREはやめておいたほうがいい理由

①高配当株はそれなりにリスクがある

まずFIREの基本は、生活費を投資収入で全額カバーして
しまおうという考え方です。

これ自体は決して悪くはないのですが、理論と実践は
大きく違います。

多くのFIRE提唱者は、「株式に投資をして資産を増やし、
FIRE後は年4%の配当を得ましょう。投資先は米国の
高配当株がおすすめです」と言います。

たしかに、年4%の配当を得られるのであれば、3000万円
投資をして、年4%の120万円(月10万円)を毎年受け取れる
わけです。

これなら悪くないと考えるのも無理はありません。ただ
この手法には大きな穴があります。

例えば、高配当株へ3000万円投資した場合を考えてみます。

今であれば、米国の株式で、20年30年と連続増配をして
いる銘柄に投資をするのが一般的です。

しかし、いくら今まで増配を続けてきたからと言って、
今後も増配が続くかわかりませんし、実際に配当見送り
や大幅な減配も行われています。

もちろん株価が下落していなければ、株式を売却して、
3000万円を元手に、新たに他の銘柄を購入するだけの話
ではありますが、もし株価が大きく下落していたとした
らどうでしょうか?

配当が続くと思い、3000万円を投資して、毎年120万円の
分配金を受け取っていました。

配当が永続的に続く前提であれば、株価が大きく下落して、
評価額が3000万から2000万、1000万と下落したとしても、
年間の配当は120万円とかわりませんので、大きな問題には
なりません。

ただし、もし配当が半分に減配されたらどうでしょう
か?

毎年の分配金が60万円に減ってしまい、評価額も2000万円
になってしまっていたら。

ここで株式を売却すると、2000万円しか返ってきません。

そして、配当利回り4%程度の別の銘柄に投資をすると、
2000万×4%なので年80万円しか得ることができないわけです。

この状況になると、ただ数字で考えるよりも精神的には
大きな不安でいっぱいになります。

今は株式市場が好調であることからも、配当が減配となっても、
他の株にただ乗り換えるだけでいいかもしれませんが、
今後、株式市場が下落トレンドに入ると、そうはいきません。

配当の減配リスクと株価の下落リスクを考えると、少なくとも
高配当株だけに投資をしてFIREを目指せば、安心だとはまず
言えません。

これが高配当株でFIREを目指す場合のリスクです。

②インデックス投資もそれなりにリスクがある

もう1つ良く推奨されるのがS&P500に連動するインデックス
ファンドに投資をするという方法です。

この方法は、米国のS&P500という非常に優れた銘柄に分散投資
をしていき、毎年4%程度の資金を取り崩すという方法です。

高配当株と比べると、株式の成長性があるという点と、
500銘柄に分散投資されているので、個別銘柄に投資をするのと
比べると、何かあった時のリスクは小さくなります。

ただ、この投資にも実は大きなリスクが潜んでいます。

それは、S&P500の大きな暴落です。

例えば、3000万円投資をしているとき(評価額も3000万円)に、
運用で毎年4%資産が増えると運用益は120万円になります。

毎月10万円をとり崩す場合、年間120万円ですので、3000万円を
年4%で運用している限りは元本も減ることなく取り崩しができます。

ただ、暴落が起きて、仮に投資信託の評価額が2000万円に
なったとします。

年4%で運用できたとしたら、運用益は80万円しかありません。

ここで、年間120万円取り崩すと、40万円のマイナスとなります。

このようにして、暴落が起きて、評価額が大きく減って
しまったときに、以前と同じペースで資金の取り崩しを
してしまうと、投資の元本がドンドン減っていってしまいます。

そして、数字上では、「まだ2000万円くらい残っている
から大丈夫!」のように思ってしまいますが、

実際にFIREしていて、このような資産の下落に遭遇すると、
並大抵の精神の人では耐えきれません。

ですので、インデックス投資だけでFIREしようとするのも
危険なのです。

③FIREしている人も実は色々な収入がある。

この点を案外押さえていない人が多いのですが、FIREして
有名になった人の大半は、株式や投資信託以外の収入が
いくつもあります。

FIREの書籍を出して、印税収入を得ていたり、不動産収入を
得ていたり、太陽光投資をしていたり、ブログやYoutubeで
収入を得ていたりします。

確かに投資収入のメインは株式や投信運用かもしれませんが、
それ以外の収入があるのとないのとでは、FIRE後の気持ちの
持ち用が全く違います。

どうしても投資だけに頼ってしまっていると、リスクを
恐れて適切な判断ができなくなることがあるからです。

FIREした人が他の収入源をいくつも作っていく理由は、
株や投資信託がかなり不調に陥ったときでも、自分が適切な
投資判断ができるようにするためです。

もちろん、投資収入源の1つとして、株や投資信託は良い
のですが、株・債券・RIETのような投資対象以外の、全く
性質の異なる収入を複数作らなければ、理想のFIRE生活は
難しいです。

④時間がかかる

①と②と③はFIRE後の話ですが、FIREを目指す上で
もう1つ大きな問題があります。

それがFIRE達成するためには6000万とか1億とか、かなり
大きな資金を貯める必要があるということです。

そのため、FIRE達成までにどうしても時間がかかって
しまいます。

投資信託の積立でも3000万円貯めるまでには10~20年
かかりますので、その金額が2倍3倍と増えれば、あなたが
定年するまでに貯めることができるかさえわかりません。

何より、「FIREしたい!」という熱い思いが、10年も20年も
続けられる人はごくわずかしかしませんので、途中で
心が折れて諦めてしまうのが目に見えています。

サイドFIREを目指すべき理由

このように間違った考えのもとFIREを達成しようとすると、
FIRE後かなり苦しむことになりかねません。

そこで私がおすすめしているのがサイドFIREという考え方です。

一般的には、投資からの収入半分と労働収入半分で生活を
しようというライフスタイルを指していますが、この比率は
あまり気にしなくても構いません。

とにかく投資収入だけに頼らない複数の収入源を作って
FIREすることが重要だということです。

サイドFIREをあなたにおすすめする理由は大きく3つあります。

①FIREよりも短期間で実現可能

単純な計算ですが、FIRE後の収入の半分を労働収入や別
の収入で賄うわけですから、FIRE達成に必要な資金は
半分になります。

つまりはFIREを達成するために必要な期間も半分で済む
ということです。

多くの人が気づいていませんが、50代でFIREするのと
30代、40代でFIREするのでは、全く意味が違います。

やはりその年齢でしか体験できないことがありますので、
50代でFIREしていてはできないことが色々あるのです。

ですので、短い期間でFIREすることには、お金以上に
大きな価値があります。

②収入の性質が違うので、収益が安定する

株式や投資信託だけから収入を得ていると、リーマン
ショックのような大暴落が来ると、収入が大きく減ること
になり安定しません。

その点、株式や投資信託だけでなく、他の事業からの
収入を作ることができれば、リスク分散になるという
わけです。

何より、性質の異なる収入源を複数持っておくというのは、
心の安定につながり、適切な投資判断がいつでもできる状態を
作れるのは大きいです。

FIREしている人の大半が事業を分散している理由はまさに、
自分が平常心で適切な投資判断をいつでもできるように
するためです。

③自分の好きなことで稼ぐのは楽しい

今まで我慢しながら仕事をしている方はあまりイメージが
湧かないかもしれませんが、自分の好きなことで稼げる
ようになると仕事がとても楽しくなります。

例えば、私はもともと投資が好きなので、投資の情報を
発信しているわけですが、仕事がつまらないと思ったこと
がありません。

むしろ、楽しくて仕方がないです。

また、事業というのは全く投資とは違う性質の収入になりますので、
ポートフォリオが安定しますし、楽しくてそれをやっている
わけですから一石二鳥だと思います。

まとめ

いかがでしょうか?

「人によっては、もう仕事なんて全くやりたくないから
FIREがいいんだ!」と思う方もいるかもしれません。

しかし、投資収入にだけ頼る、特に株や投資信託だけの
収入に頼るというのは、全くおすすめできません。

まずやめておいたほうがいいです。

それよりも、投資の収入以外にも労働収入やそれ以外の
収入を複数つくり、安定した収入のポートフォリオを
作れるサイドFIREのほうが断然おすすめできます。

もしFIREを目指している方がいれば、一度自分の目指す
べき姿を考え直してみてください。