プット・コール・パリティというのは、同一限月、同一権利行使価格のプットとコールで合成先物を作成すると、先物と等価になる。という意味です。
もう少しわかりやすく言えば、オプションとは、原資産(日経平均株価)をコールとプットに分解したものとなります。コールとプットは全く別のものと思っていた方もいるかもしれませんが、コールとプットは表裏一体の関係にあります。
文字で読んでもよくわからないと思うので、実際にチャートを見てみましょう。以下は日経225先物(28120)を1枚買った時に損益曲線になります。
続いて、下の図は同一限月、同一権利行使価格28125のコール買とプット売を組み合わせたときの損益図です。(先物を買った時の価格は28120でしたが、オプションには28120がないので、一番近い権利行使価格を買っています。)
ほぼ同じ損益曲線になっていますね?このようにオプションを組み合わせることで、先物と全く同じポジションを作れるのです。
例えば、こんなこともできます。
こちらはP28125を1枚買った時の損益曲線です。これはあなたもよく見たことがありますね。実はこのような損益曲線をコールオプションと先物を使っても全く同じものが作れます。
それがこちらです。この損益図は日経先物28120で1枚売って、C28125を1枚買った場合の損益です。
他にもコール買いの損益図を先物買いとプットオプションの買いでも作ることができます。
プット・コール・パリティの関係にあるものをまとめると、以下のようになります。
この表を暗記して覚えるというよりも、先物1枚を買った時・売った時の損益図、コール1枚買った時・売った時の損益図、プット1枚買った時・売った時の損益図が頭に入っていれば、あとは組み合わせるだけの話です。
教科書では学べない実践で使えるマメ知識
例えば、OTMのプットを一枚売っていたとします。ポジションを持った瞬間に、相場が暴落を起こし、損切りをしていなかったので、あっさりITMになってしまいました。
ここから、どれだけ暴落するかもわからないので、損切りを決意しますが、ITMにのオプションは板がスカスカになっており流動性は喪失し、ハイリスクなプットを買いたいと思う投資家が現れないため、逃げたくても逃げられなくなってしまいました。相場は下げ止まらず、さらに下落を続け、損失もどんどん膨らんできます。
そんなときに使えるのが「プット・コール・パリティ」です。合成ポジションを使って、プット1枚を作り、損益を固定化することで、これ以上プット売りによる損失を防ぐことができます。
さきほどの早見表を参考にすれば、先物1枚を売って、コールを1枚買えば、プット買い1枚のポジションを作れることがわかります。
ご覧のようにプット側がITMということは、コール側はOTMになっているため、流動性に問題はなく、簡単に合成ポジションは作れます。
実際に、このように合成ポジションを使って対処しないといけないレベルまで追い込まれることは早々ないと思いますが、損切りを入れ忘れていたり、何かしらトラブルで窮地に追い込まれたときは、こういう方法もあると覚えておいて下さい。