2019年はレバレッジ型ファンド元年とも言うべき年で、
各運用会社が先物を活用したレバレッジファンドを
次から次へと設定しました。
グローバル3倍3分法ファンドなどは、1年で3000億円以上
の巨大なファンドとなり、いかに多くの投資家がレバレッ
ジ型のファンドに注目をしているかがわかります。
実は、投資信託だけでなく、海外ETFでも幅広くレバレッ
ジ型ETFが登場しています。
日本の投資信託にはない特徴をもったETFがいくつも
ありますので、紹介していこうと思います。
今日はその中で、Direxion デイリーS&P500ブル3倍ETF
『SPXL』を徹底分析していきます。
Direxion デイリーS&P500ブル3倍ETF『SPXL』の基本情報
投資対象は?
SPXLの投資対象は米国のS&P500の構成銘柄500銘柄です。
SPXLは手数料および費用の控除前段階で、ファンドの
日次の基準価額の値動きがS&P500指数の3倍のパフォー
マンスになる投資成果を目指します。
組入銘柄の上位はApple、Microsoft、Exxon、Google、、、
と米国の超大手企業の名前が並んでいます。
近年、米国株人気もかなり出てきていますので、S&P500
のことはすでに知っている人も多いかもしれませんね。
純資産総額は?
SPXLの純資産総額は約800億円となっており、十分な
規模の純資産です。
直近パフォーマンスがよかっただけに多くの資金流入を
していたようですが、エントリーして1年もせずコロナ
ショックの被害を受けた人も多いのではないでしょうか。
実質コストは?
続いて、SPXLの実質コストを見てみましょう。
運用報酬や、運営費用、ファンドにかかる手数料などを
すべて含めると、0.99%かかります。
また証券会社によりますが、日本円を米ドルに換える
ための為替手数料やETFを購入するときにかかる売買
手数料が別途かかります。
それを考えると、日本のインデックスファンドもかなり
安くなってきたことがよくわかりますね。
購入時手数料 | 証券会社による |
実質コスト | 0.99%(税込) |
Direxion デイリーS&P500ブル3倍ETF『SPXL』の評価分析
基準価額をどう見る?
続いてSPXLの直近10年間の基準価額の推移を見てみ
ましょう。
2020年2月までは大きな下落は何度かありましたが、
着実に基準価額が上昇していました。
しかし、直近のコロナショックではすでに70%近く
下落しており、2015年以降にSPXLを購入した投資家
は含み損を抱えるような展開です。
直近、米国株式市場が好調だっただけに、コロナ
ショックの直前で、SPXLを仕込んでしまった人も
いると思いますが、この下落幅はさすがに厳しいですね。
利回りはどれくらい?
続いてSPXLの利回りを見てみましょう。
直近1年間の利回りはなんとマイナス50%を超えています。
5年平均で見ても、かろうじてプラスといった状況です。
しっかりとロスカット等を入れて、リスク管理をして
いなかった投資家は5年間運用してほぼプラスがないので、
投資家的にはかなり厳しい結果ですね。
年間利回り | |
1年 | ▲52.16% |
3年 | ▲10.03% |
5年 | 0.56% |
10年 | 17.17% |
※2020年3月時点
年別のパフォーマンスは?
続いてSPXLの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2020年の暴落分がまだデータに反映されていませんが、
2010年以降はとても素晴らしいパフォーマンスを残して
いることがわかります。
残念ながら2020年の大暴落で含み益の大部分が吹き
飛んでしまった方が多いでしょう。
ただ、よく見ると2008年~2009年のリーマンショック
以降にSPXLを購入していた場合、かなり資産を増やす
ことができていたことがわかります。
今回、コロナショックで基準価額が落ちきったところで
仕込むことができれば、今後の伸びにかなり期待が持て
そうです。
年間利回り | |
2019年 | +103.30% |
2018年 | ▲24.86% |
2017年 | 70.89% |
2016年 | 29.37% |
2015年 | ▲5.48% |
2014年 | 37.49% |
2013年 | 117.94% |
2012年 | 44.00% |
2011年 | ▲14.57% |
38.89% |
※2020年3月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはSPXLとS&P500とのパフォーマンス比較
SPXLはレバレッジを効かせて運用をしていますので、
一概に比較をすることはできませんが、S&P500と
比べてどの程度のパフォーマンスになっているのか
SPXL(青線)、SPX(橙線)で比較をしてみました。
SPXLのトータルリターンは423%に対して、SPX(S&P500)
は117%ですので、10年間の確固たる決意をもって長期保有
ができれば、SPXLを保有していたほうがSPXを保有する
よりも4倍ほどパフォーマンスがよくなります。
ただし、直近5年間のパフォーマンスを比較してみると、
直近の2月まではSPXLがSPXを上回っていましたが、
コロナショックの影響で、SPXLがSPXを下回りました。
かなりボラティリティが大きいので、ときどきSPXを
下回ってしまう時が必ずあります。
そのようなときに、自分の運用スタンスをぶらさずに
保有を続けられるかが一番重要ということですね。
とにかく変動が大きいので、損しても諦められる金額で
投資をすべきです。
SPXLとTECLのパフォーマンス比較
SPXLへの投資を検討している人は、同じく3倍のレバレッジ
ETFであるTECLへの投資も検討している人が多いと思います。
TECLはご存知の方も多いと思いますが、米国のテクノロジ
ー・セレクト・セクター・インデックス(IXTTR)の日次変動率
の3倍動くように設定された海外ETFです。
そこでSPXLとTECLの10年間のパフォーマンスを比較して
みました。
10年間のトータルリターンはSPXLが423%に対して、TECLは
1067%です。
直近10年間ややはりamazonやgoogle、facebookなどテクノ
ロジー企業の株価が圧倒的に強かったので、納得のいく結果です。
ちなみに直近5年間のパフォーマンスでも比較をして
みましたが、SPXLはマイナス4%に対して、TECLは
153%プラスなので、パフォーマンスを見ると、TECLに
投資をしたほうがよさそうです。
どこで買えるの?
SPXLは人気の海外ETFですので、海外ETFを扱っている
証券会社であれば、購入できると思って間違いありません。
ネット証券で言えば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券
など有名どころの証券会社であればどこでも購入することが
できます。
Direxion デイリーS&P500ブル3倍ETF『SPXL』の評価まとめ
いかがでしたでしょうか?
海外ETFには日本ではお目にかからないハイレバレッジの
ETFがいくも存在しています。
レバレッジ型ETFはうまく行けば当然大きな利益がでる
のですが、毎回うまくいくわけではありません。
SPXLのように、ある一定期間では参照指数であるS&P500
にパフォーマンスで負けることもあります。
そのときに、大抵の人はS&P500に切り替えようとします。
しかし、そこで切り替えるのではなく、我慢して長期保有
を続けることで、大きなプラスのリターンが期待できるの
がレバレッジ型ETFの魅力です。
くれぐれもレバレッジ型ETFで一発当てようと全力で投資を
するのはやめましょう。
しっかりとリスクコントロールをして、取引していかな
ければ、今回のように一瞬にして資産を吹き飛ばすこと
になります。
資産を増やすためにはリスクを取っていくことも重要で
すが、自分のリスク許容度をはるかに超えるリスクを
取ってしまうと、一発退場することにもなりかねません。
そのあたりはくれぐれも注意しながら投資をしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点