恐怖指数について色々研究していると日経平均ボラティリティ・
インデックス(日経平均VI)はいったいどのように算出されて
いるのか気になってくる人もいるのではないでしょうか。
もちろん、相場が急落したときに、恐怖指数が跳ね上がるという
覚え方でもよいのですが、もう少し仕組みを細かく理解しておいて
損はありません。
そして、VIX、VSTOXX、日経平均VIは同じロジックで算出されて
おり、大きく違いはありませんので、日経平均VIの算出方法を理解
すれば、他の恐怖指数の算出方法も理解したと言えます。
実際の算出方法は複雑な数式なので、すべてを説明はしませんが、
算出方法の根幹となる考え方の部分を今日は紹介していきたいと
思います。
日経平均VIの考え方
まず日経平均VIの算出方法を計算する前に日経平均VIが何を
もとに算出されているのかを知っておかなければいけません。
一般的に、日経平均株価(日経225)のオプション取引では、
日経225の将来のボラティリティ(変動率)をもとに価格が
決まります。
この考え方を利用して、市場で取引された日経225オプション
の価格(プレミアム)から将来のボラティリティ、つまり恐怖
指数を計算します。
使用するのは、直近の限月のオプションと翌月の限月のオプション
です。今が8月であれば、8月限と9月限のオプションということ
ですね。
満期が常に30日になるようにボラティリティを線形補正して
いるのも重要なポイントです。
日経225のオプション価格は、大阪証券取引所の公表値を利用
します。実際は日中立会の間、15秒間隔で算出されるのですが、
そこまで詳しく覚えておく必要はありません。
日経平均VI算出方法
では、早速、日経平均VIの算出方法を見ていきましょう。
実際の計算式は以下のようになっています。
パッと見て、何のことか理解できる人はまずいないと思います。
ただ、安心していただきたいのは、この計算式を覚えなくても、
日経VIの計算方法は大方理解できます。
ここからは複雑な式ではなく具体的な例を見ながら説明して
いきます。
以下の表は、2011年11月限の日経225オプションの価格
(プレミアム)の約定値の一覧です。左側がコール、右側が
プットのプレミアムです。
コールの詳しい説明はここでは省きますが、簡単に言って
しまうと、これから日経225が上昇しそうだと多くの人が
思えば、プレミアムが上がっていきます。
一方で、プットはこれから価格が下がっていくだろうと多く
の人が思えば、プレミアムが上昇します。
日経平均VIを算出するには、まずATMの行使価格を決定します。
ATMというのは、日経平均先物の終値に最も近い価格のことです。
このときは、日経平均先物の終値が8,850円でしたので、
ATMは8,750円となります。
そして、コールであれば、ATMよりも行使価格の高いオプション
の価格が計算対象となり、プットではATM以下のオプションの
価格が計算対象となります。
コール・オプション | 権利行使価格 | プット・オプション |
1 | 10,000 | |
1 | 9,750 | |
4 | 9,500 | 625 |
17 | 9,250 | 415 |
70 | 9,000 | 215 |
195 | 8,750 | 95 |
380 | 8,500 | 36 |
650 | 8,250 | 16 |
855 | 8,000 | 8 |
1190 | 7,750 | 4 |
7,500 | 2 | |
7,250 | 1 | |
7,000 | 1 | |
6,750 | 1 | |
6,500 | 1 | |
6,250 | 1 | |
6,000 | 1 | |
5,750 | 1 | |
5,500 | 1 | |
5,250 | 1 | |
5,000 | 1 |
さきほど説明した複雑な計算式に、これらのオプション価格を
当てはめていくと、実際の日経平均VIが計算されますが、そこ
まで覚えておく必要はありません。
重要なのは、コールのプレミアムとプットのプレミアムが
足し合わさって算出されているということです。
コールの橙色部分とプットの青色部分を足し合わせると264に
なりますが、コール側は93、プット側は171となっています。
これは、何が言いたいかというと、コールよりもプットのほうが
日経平均VIの算出値に大きな影響を与えているということです。
日経平均VIは日経225が大きく下落したときに急騰する理由と
いうのもここから説明ができます。
具体例で見てみましょう。
日経225が1500円程度の大きな下落をすると、ボラティリティが
大きくなりますので、以各権利行使価格のプレミアムが高くなり
ます。
また、下落したことにより、ATMからかなり離れたプットまで
売買が成立します。そうすると、コール(橙色部分)とプット
(青色部分)の合計値は553となります。
上の表の例では、コールとプットの合計値は264でしたので、
2倍近くに日経平均VIが跳ね上がることがわかります。
コール・オプション | 権利行使価格 | プット・オプション |
1 | 8,750 | |
2 | 8,500 | |
2 | 8,250 | |
8 | 8,000 | |
34 | 7,750 | 830 |
140 | 7,500 | 430 |
390 | 7,250 | 190 |
760 | 7,000 | 72 |
6,750 | 32 | |
6,500 | 16 | |
6,250 | 8 | |
6,000 | 7 | |
5,750 | 6 | |
5,500 | 5 | |
5,250 | 4 | |
5,000 | 4 | |
4,750 | 3 | |
4,500 | 3 | |
4,250 | 3 | |
4,000 | 2 | |
3,750 | 2 | |
3,500 | 2 | |
3,250 | 2 | |
3,000 | 1 | |
2,750 | 1 | |
2,500 | 1 | |
2,250 | 1 | |
2,000 | 1 |
まとめ
いかがでしたでしょうか?
恐怖指数の算出式の仕組みを理解しておけば、どのような時に
恐怖指数が急騰しやすいのかがわかり、かつそれに合わせて、
VIX関連商品の投資戦略を変えることができます。
ぜひこれを機会に覚えておきましょう。