2019年はレバレッジ型ファンド元年とも言うべき年で、
各運用会社が先物を活用したレバレッジファンドを次から
次へと設定しました。
グローバル3倍3分法ファンドなどは、1年で3000億円以上
の巨大なファンドとなり、いかに多くの投資家がレバレッ
ジ型のファンドに注目をしているかがわかります。
実は、投資信託だけでなく、海外ETFでも幅広くレバレッジ
型ETFが登場しています。
今日はその中で、Direxion デイリーテクノロジー株ブル
3倍ETF『TECL』を徹底分析していきます。
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Direxion デイリーテクノロジー株ブル3倍ETF『TECL』の基本情報
投資対象は?
TECLの投資対象は米国のテクノロジー株です。
手数料やコスト控除前の段階で、テクノロジー・セレ
クト・セクター・インデックス(IXTTR)の日次の基準
価額の変動幅が3倍となるパフォーマンスを目指します。
TECLの組入銘柄を見てみると、Apple、Microsoft、
Visa、Mastercardなど米国の超大型株が上位に組入ら
れています。
セクター別の構成比率を見てみると、ソフトウェアの
比率が最も高く、次いでITサービス、テクノロジーと
続きます。
純資産総額は?
TECLの純資産総額は約1000億円となっており、十分な
規模の純資産です。
直近パフォーマンスがよかっただけに多くの資金流入を
していたようですが、今回のコロナショックで大きな
含み損を抱えている人も多いでしょう。
実質コストは?
続いて、TECLの実質コストを見てみましょう。
運用報酬や、運営費用、ファンドにかかる手数料などを
すべて含めると、1.08%かかります。
また証券会社によりますが、日本円を米ドルに換えるため
の為替手数料やETFを購入するときにかかる売買手数料が
別途かかります。
それを考えると、日本のインデックスファンドもかなり
安くなってきたことがよくわかりますね。
購入時手数料 | 証券会社による |
実質コスト | 1.08%(税込) |
Direxion デイリーテクノロジー株ブル3倍ETF『TECL』の評価分析
基準価額をどう見る?
続いてTECLの直近5年間の基準価額の推移を見てみましょう。
2020年2月までは大きな下落は何度かありましたが、着実に
基準価額が上昇していました。
しかし、直近のコロナショックではすでに70%近く下落して
おり、2017年後半以降にTECLを購入した投資家は含み損を
抱えるような展開です。
直近、米国株式市場が好調だっただけに、コロナショックの
直前で、TECLを仕込んでしまった人もいると思いますが、
資産の減り方は悲惨な状況になっています。
利回りはどれくらい?
続いてTECLの利回りを見てみましょう。直近で大きく
上げていましたので、1年間で見ると、まだ20%程度の
マイナスで済んでいます。
ただし、さきほどの価格の変動をみればわかりますが、
最高値からすでに70%ほど下落しています。
年間利回り | |
1年 | ▲18.71% |
3年 | 17.71% |
5年 | 25.07% |
10年 | 27.96% |
※2020年3月時点
年別のパフォーマンスは?
続いてTECLの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2020年の暴落分がまだデータに反映されていませんが、
2010年以降はとても素晴らしいパフォーマンスを残して
いることがわかります。
残念ながら2020年の大暴落で含み益の大部分が吹き飛
んでしまった方が多いのではないかと思いますが、コロ
ナショックで基準価額が落ちきったところで仕込むこと
ができれば、今後の伸びにかなり期待が持てそうです。
年間利回り | |
2019年 | +75.55% |
2018年 | ▲23.51% |
2017年 | 98.88% |
2016年 | 47.02% |
2015年 | ▲8.35% |
2014年 | 25.71% |
2013年 | 106.70% |
2012年 | 26.41% |
2011年 | 9.18% |
※2020年3月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略TECLとS&P500のパフォーマンス比較
TECLはレバレッジを効かせて運用をしていますので、
一概に比較をすることはできませんが、S&P500と比
べてどの程度のパフォーマンスになっているのか
TECL(青線)、SPX(橙線)で比較をしてみました。
10年間のパフォーマンスで比較をしてみると、TECL
のトータルリターンが1067%に対して、SPX(S&P500)
は117%とかなり大きな開きができています。
やはりレバレッジが効いている分、TECLのほうが
かなり高いパフォーマンスを残すことができています。
ただみてわかる通り、TECLはボラティリティ(基準
価額の変動幅)がかなり大きいので、平気でマイナス
50%程度の下落が何度か起こります。
なので、精神的に下落に耐えられる金額で投資をして
おかないと、まず長続きはしないでしょう。
直近5年間のパフォーマンスを比較してみても、TECLの
トータルリターンが153%に対して、SPX(S&P500)は
13.95%なので、
確固たる決意をもって投資をすれば、TECLのほうが高い
リターンが期待できることがわかります。
TECLとSPXLのパフォーマンス比較
TECLへの投資を検討している人であれば、同じく3倍の
レバレッジETFであるSPXLへの投資も検討している人が
多いと思います。
SPXLはご存知の方も多いと思いますが、S&P500の日次
リターンの3倍動くように設定された海外ETFです。
そこでTECLとSPXLの10年間のパフォーマンスを比較
してみました。
10年間のトータルリターンはTECLが1067% に対して、
SPXLが423%です。
直近10年間は、やはりamazonやgoogle、facebookなど
テクノロジー企業の株価が圧倒的に強かったので、納得
のいく結果です。
コロナショックで大暴落したあとの水準で10年間で
10倍になっているのは驚異的ですね。
ちなみに5年間のパフォーマンスでもTECLは153%の
プラスに対して、SPXLはマイナス4%となっています。
どこで買えるの?
TECLは人気の海外ETFですので、海外ETFを扱っている
証券会社であれば、購入できると思って間違いありません。
ネット証券で言えば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券
など有名どころの証券会社であればどこでも購入することが
できます。
Direxion デイリーテクノロジー株ブル3倍ETF『TECL』の評価まとめ
いかがでしたでしょうか?
海外ETFには日本ではお目にかからないインデックスに
連動したETFやレバレッジを効かせたETFがいくも存在
しています。
レバレッジ型ETFはうまく行けば当然大きな利益がでる
のですが、毎回うまくいくわけではありません。
しっかりとリスクコントロールをして、取引していかな
ければ、今回のように一瞬にして資産を吹き飛ばすこと
になります。
そのため、余剰資金の一部で投資する分にはよいですが、
TECLで一儲けしてやろうと投資をしていると、どこかで
必ず大きな損失を出すことになります。
少なくとも50%資産が減るようなことは平気で起こり得ると
思ったほうが良いですね。
資産を増やすためにはリスクを取っていくことも重要ですが、
自分のリスク許容度をはるかに超えるリスクを取ってしまうと、
一発退場することにもなりかねません。
そのあたりはくれぐれも注意しながら投資をしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点