差金決済とは、現物の受け渡しを行わないで、反対売買によって生じた差額のみを受け渡しする取引です。
例えば、大豆などの商品先物取引では、ヘッジ目的や投機目的で取引している人がいます。もし、現物の受け渡しが発生してしまうと、大量の大豆の輸送や保管に莫大なコストと手間がかかってしまいますので、金銭だけの授受で取引が完結するようになっています。
また、日経225オプションでは日経平均株価という指数が売買の対象ですが、日経平均株価という現物は存在しないため、満期日に現物を受け取るということができません。そのため、現物をやりとりしたことにして、お金の受け渡しだけで済ませてしまうというわけです。
具体例を挙げておくと、現在の日経平均株価が28,000円で、満期日が9/10で権利行使価格が30,000のコール・オプションを売買したとしましょう。
SQ値が31,000円だったとすると、オプションの買い手は権利行使をして、オプションの売り手から日経平均株価を30,000円で買い、市場で31,000円で売ることができます。(実際には日経平均株価の受け渡しはしませんが、こういうやりとりがあったと考えるとわかりやすいです。)
そうすると、30000円で買って、31000円で売っているわけですから、実質的には1000円×1000倍=100万円の利益が出ます。そのため、差金決済によりこの差額の100万円だけをオプションの買い手は受け取ることになります。
一方、オプションの売り手は、オプションの買い手の権利行使に対して応じる義務があります。
ですので、オプションの売り手は市場から日経平均株価を31000円で仕入れて、30000円でオプションの買い手に譲ります。(実際には日経平均株価の受け渡しはしませんが、こういうやりとりがあったと考えるとわかりやすいです。)
そうすると、オプションの売り手は31000円で買ったものを30000円で売っているので、1000円×1000倍=100万円の損失が出ます。そのため、差金決済により差額の100万円だけオプションの売り手が損失を被ることになります。
このように実際に日経平均株価を受け渡しするわけではないのですが、あたかも受け渡しを行ったことにして、差額のお金だけをやりとりするというのが差金決済です。