近頃、アクティブ運用よりもインデックスファンドのような
パッシブ運用のほうが効率がよい。優れている。というようなことを
言う人が増えていますが、資産運用業界にいる人間からすると、
この議論は大きな誤解の下に語られています。

こうした議論は、アクティブ運用のファンドマネージャーで長期的に
ベンチマークをアウトパフォームした例が少ないというデータによるものが
多いですが、そもそもアクティブ運用というものが何なのか
理解しないまま議論が進んでいるためこのようなことが起きると思っています。

アクティブ運用とパッシブ運用におけるベンチマークの違い

まず、パッシブ運用の場合は決められたベンチマークに追随するように
投資信託の中身を入れ替えていくという、まさに指標としての
意味合いを持っています。

一方で、アクティブ運用におけるベンチマークというのは、
そもそも運用会社に勤めるファンドマネージャーの人事評価を
適切に評価するために作られたものです。

サラリーマンファンドマネージャーの人事評価は、
下げ相場をうまく凌いだかなど、数値で冷静に評価をしてあげないと、
運用成果がマイナスだから単純にダメ、罰点というようなつけ方では、
上げ相場時のファンドマネージャーと下げ相場時のファンドマネージャー
での運不運の差が大きすぎることになってしまい、率先して
ファンドマネージャーをやりたいとう人間がいなくなってしまうからなのです。

そして、アクティブ運用におけるベンチマークというのは、
そもそも適切に設定するのが難しく、何となくで決まってしまっていることも
多いということを知っておかなければなりません。

アクティブ運用におけるベンチマーク設定のむずかしさ

ここで一つ具体例をあげてみましょう。

例えば日本株100%で構成されている投資信託があったとして、
「相場状況に応じて最大30%まで外国株式を投資対象として組み入れます」と
謳っていたとします。

この場合、適切なベンチマークはどうなるでしょうか?
日本株100%の状態であれば、TOPIXでよいかもしれませんが、
機動的に外国株式が組み込まれてしまったら、当然TOPIXを
ベンチマークにするのはふさわしくありません。

当然、適切な外国株式のベンチマークと合成したベンチマークに
する必要があるわけですが、そう簡単にころころベンチマークを
変えるわけにもいきませんので、とりあえずTOPIXにしておくかと
いうことになってしまいます。

このようにアクティブ運用の場合は、運用手法上、
適切なベンチマークを設定することが難しい場合も多く、
適切に設定されているとは言えないケースも多いのが実情なのです。

アクティブ運用におけるベンチマークは後付け

通常のアクティブ型と呼ばれる投資信託の場合、運用のテーマやスキームが
決まってから、後付けで「TOPIXをベンチマークにして大丈夫ですよね?」
などど、商品開発側から運用部門へ確認を入れて、運用部門がしぶしぶ
承諾するというのが通常の流れです。

正直な話、上記のように適切なベンチマーク設定が行われていないことも
多々あるのです。

もちろん、利益を出すために運用をするわけですが、もともと運用手法に
合った適切なベンチマークが設定されないことも多いので、
ベンチマークに対して、アウトパフォームしたしないという議論が
そもそもおかしいと言えます。

最近、裁量労働制の適用範囲を拡大の件で、裁量労働制に関するアンケートデータが
不適切ということで、国会が紛糾しましたが、まさにあの不適切なデータが
ベンチマークのようなものですね。

適切に設定されていないベンチ―マークをもとに、いい悪いを議論しても意味がないということです。

ベンチマークに勝つだけであれば簡単

実は、運用方針、運用目的、運用スキーム、運用ポリシーなどに沿った
最適なベンチマークさえ選んで運用を始めれば、ベンチマークを
アウトパフォームすること自体は難しくないです。

仮にTOPIXをベンチマークとして選定していた場合をみてみましょう。

あり得ない想定ではありますが、もし孫さんがアップルのCEOのティム・クックと
大喧嘩をして、今後、iphoneを供給しないといったニュースが報道されたら
どうでしょう。

間違いなくソフトバンクの株価は急落します。

インデックスファンドであれば、TOPIXに追随する必要があるため、
ソフトバンク株を手放すわけにはいきません。

しかし、もしこの発表と同時に、組み入れ銘柄からソフトバンクを外すことができれば、
そのマイナスの影響は一切ファンドの足を引っ張らないので、TOPIXの下落の何%かは
回避することができます。

その後、事態を重く見た孫さんが、アップルに詫びを入れて、従来通りの取引になると
発表されたら、その段階で買い戻せば、間違いなくTOPIXに連動したインデックス型の
投資信託より良い成果を出せるわけです。

東芝やシャープといった銘柄も、もし早い段階で銘柄を外すことができていれば、
TOPIXをベンチマークとしたインデックスファンドよりアウトパフォームするのは当然ですよね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
私は上記の理由から、パッシブ運用とアクティブ運用について、そもそも比較できない。
と思っています。

それぞれに一長一短があり、比べるのが難しいからです。

少なくとも近年の論調のようにパッシブ運用のほうが優れているというのは、
論理の飛躍があります。

アクティブ運用の投資信託でも優れた投資信託が存在しますので、
表面的な意見に流されないようにしてくださいね。