日経225オプションに投資をしている投資家はSQで最終的に利益が出るかどうか、その確率が高くなるかどうかで取引をしていますので、SQにおける合計損益の計算方法を知っておく必要があります。
ここからは、SQにおいてプット・オプションを売った場合の合計損益について詳しく見ていきます。
プット・オプションの売りの合計損益
まず、SQにおけるプット売りの合計損益を考える上で、次の2つの損益を考える必要があります。
①プットの買い手から受け取る購入プレミアム
②プット売りのSQにおける損益
今回、例として権利行使価格が28,000で、プレミアムが200円のプットを売った時の合計損益を考えてみましょう。
プットの買い手から受け取る購入プレミアムの損益
①プットの買い手から受け取るプレミアムは、SQまで日経平均がどれだけ動こうが関係なく、最初に受け取れますので、SQ時点でのチャートで表すと以下のようになります。(橙線)
次に、②のSQにおけるプット売の損益を見ていきます。プット売の損益を見る前に、必ず覚えておいてほしい考え方があります。この考え方を覚えていないと、オプションの売りはとにかく混乱します。
何を覚えておいてほしいのかと言うと、あなたがプットを売った場合、必ずプットを買った人がいるということです。そして、プットの買い手が権利行使をした場合、プットの売り手は必ず権利行使に応じなければいけません。
具体的には権利行使価格28000のプットの売り手と買い手を見ていきます。SQ値が27500でプットの買い手が権利行使した場合のオプションの買い手と売り手の流れを見ていきます。(あくまでもイメージであり、わかりやすさを重視しています。)
権利行使する場合のプットの買い手と売り手の流れ
【プットの買い手】
①プットのプレミアムをプットの売り手に支払う。
(SQまで期間があく)
②SQ時点でプットの売り手から、権利行使価格28000円で日経平均を売る権利を買う。
③日経平均を市場価格27500で買って、28000円で市場で売る。
④50万円の利益が出る(日経平均は指数で、現物を売買できないため、差金決済されて、利益が出た金額だけを受け取ります。)
【プットの売り手】
プットの売りに関しては、「売る権利」を売ることになるため、何を言っているのかよくわからなくなります。ただ、原則として、プットの買い手がいれば、プットの売り手がおり、プットの買い手に利益が出れば、プットの売り手に損失が出るという点はコール・オプションと変わりません。
ですので、プットの買い手が権利行使をする=プットの買い手に利益が出る。つまり、プットの売り手は損失が出る。と覚えておいてください。とにかくプット売は頭で考えるとよくわからなくなりますので、プット買の逆の動きと覚えるようにしてください。
権利放棄する場合のプットの買い手と売り手の流れ
では、引き続き、権利行使価格28000のプットの売り手と買い手を見ていきます。SQ値が28500でプットの買い手が権利放棄する場合のオプションの買い手と売り手の流れを見ていきます。
【プットの買い手】
①プレミアムを売り手に支払う。
(SQまで期間があく)
②SQ時点で権利放棄する。
【プットの売り手】
①プレミアムをプットの買い手から受け取る
(SQまで期間があく)
②SQ時点でプットの買い手が権利放棄したので、何もない。
ここまでの基本を理解した上で、SQにおけるプット売の損益を見ていきます。
プット売りのSQにおける損益
SQにおいて日経平均が権利行使価格28,000よりも低い場合、プットの売り手は損失が発生します。(これは、権利行使価格よりSQ値が低い場合、プットの買い手は必ず権利行使をして利益を得るため、その分、プットの売り手は損をするということです。)
一方、SQにおいてSQ値が権利行使価格28000より高い場合は、プットの買い手が権利放棄をするため、売り手は損失が発生しません。
覚え方は色々あるのですが、私はイメージしやすいプットの買いのグラフをまず思い浮かべて、プットの売り手はこの逆さになるという覚え方をしています。
ここまでが、プット売の損益を分解したときの話です。ここからは①プットの買い手から受け取るプレミアム②プット売のSQにおける損益を合わせたプット売りの合計損益を見ていきます。
プット売りのSQにおける合計損益
具体的にどのようなグラフになるかと言うと、以下のようになります。
まず、注目すべき点はSQにおいてSQ値が権利行使価格28,000よりも高かった場合です。
この場合、プットの買い手が権利を放棄しますので、プットの売り手は、最初に受け取ったプレミアム分が利益となります。日経平均がどれだけ上昇したとしても、もらえる利益の上限が同じであることから、プット売は最大利益が決まっていると言われたりもします。
続いて、SQ値が27,800~28,000だった場合です。さきほどSQ値が権利行使価格を下回っていれば、プットの買い手が権利行使するので、損失が発生すると説明しました。
この表現は正しいと言えば正しいのですが、厳密にいうと、プットの売り手は最初にプレミアムを受け取っているので、SQ値が権利行使価格よりも少しだけ下回った場合、損失が小さいと、損益はプラスになる可能性があります。
そして、そこよりもSQ値がさらに低くなった場合、初めてプットの売り手は損失を被ることになります。
グラフを見てもらえばわかりますが、プットの売り手は、SQ値が下落すればするほど、損失が膨らむため、プット売りは損失無限大であると言われたりします。これを理由にプット売りは危ないという人がいますが、リスク管理と損切りをしっかりできれば、100%損失は限定的です。
SQにおけるプット売りの全体損益まとめ
・プット売りは最初にプレミアムを受け取れる
・SQで買い手が権利放棄すれば、最初に受け取ったプレミアムが全て利益になる。
・SQ値が高くなればなるほど、損失が大きくなる。
・プット・オプションの権利が行使されても、トータルの損益がプラスになることがある。
・SQでの日経平均株価が重要であり、SQより1日前、1日後に権利行使価格を超えても意味はない
教科書では学べない実践で使えるマメ知識
コール売と同じですが、よくオプションの書籍やブログ、証券会社のWEBサイトでは、オプションの売りは損失が無限大だから危険である。取引しないほうがいい。というような書かれ方をしています。
確かに、何の対策もせず、プット・オプションを裸売りする場合はかなりリスクが高いので、私もおすすめしませんが、しっかりと資金管理とリスク管理ができていれば、これほど利益を得られるトレードはありません。
もちろん、オプションの売りを単体でやるのか、買いのヘッジをいれるのか等、戦略は多岐に渡りますが、オプションで稼いでいる人で、売りをやっていない人は聞いたことがありません。結局、何事も使い方次第ということです。