オプション取引にはデルタ、セータ、ガンマ、ベガというギリシャ文字(グリークス)で表される指標があります。
この指標を覚えておくと、「日経平均株価が100円上昇したら、プレミアムの価格がいくら上がる」といったようにプレミアムがどう変化するのかシミュレーションできるようになるのですが、実際、グリークスを使ってわざわざプレミアムを計算することはまずありません。
例えば、あなたは次のプレミアムの値動きの感覚はわかるでしょうか?
「日経平均が上昇すれば、コールのプレミアムも上がるよね。でも、SQが近づいているから、日経平均が上昇しても、コールの価格が上がらないかも」
「日経平均が上昇しても、ATMから遠く離れたOTMのコールの価格はあんまり上がらないよね」
「オプションのプレミアムってSQに近づくにつれて減っていくよね」など。
ある程度、オプション取引の経験がある人であれば、感覚的にわかると思いますが、今説明したような話がグリークスを使うと、論理的に説明できるというだけの話です。
グリークスを使わなくても、日々オプション取引を続けていれば感覚的に身についてくるので、安心してください。
①デルタ(Δ)
デルタとは、日経平均が100円動いたときのプレミアムの変化量を表しています。
デルタは言葉で説明されても、イメージしづらいと思いますので、具体例で説明します。
例1:デルタ=0.5のとき、日経平均が100円動くとプレミアムが100円×0.5=50円動きます。
例2:デルタ=0.2のとき、日経平均が100円動くとプレミアムが100円×0.2=20円動きます。
例3:07c27000@545のオプションでデルタが0.44の場合、日経平均が100円上昇すると、545+100×0.44=589に上昇するということがわかります。
デルタはATMで0.5になるように設計されており、OTMになるにつれて値が小さくなります。
これは、日経平均が大きく上昇した場合、ATM付近のオプションほどプレミアムが跳ね上がり、ATMから遠く離れたOTMのオプションは大してプレミアムが上昇しないということです。
そのため、ATM付近でポジションを持つと、運が良ければ、大きく利益が出ますし、運が悪いと一瞬で資金を失うことになりますので、基本的にはおすすめしません。
②ガンマ(γ)
ガンマは日経平均が100円動いたときのデルタの変化量を表しています。
ガンマも言葉で説明しても、イメージしづらいと思いますので、具体例で説明します。
例1:ガンマが0.0001の時、日経平均が100円動くとデルタが0.01変動します。
例2:ガンマが0.0005の時、日経平均が100円動くとデルタが0.05変動します。
例3:07c27000@545でデルタが0.44、ガンマが0.0002の時、日経平均が100円上昇すると、プレミアムは589になり、デルタは0.44+0.0002×100=0.46に上昇します。さらに、ここから日経平均が100円上昇すると、プレミアムは589+0.46×100=635まで上昇し、デルタは0.46+0.0002×100=0.48まで上昇します。
ガンマはATM付近で最も高くなるように設計されており、日経平均が大きく上昇すると、ガンマの影響でATM付近のデルタが最も大きく上昇します。
そして、デルタが大きく上昇するということは、プレミアムが大きく上昇するということです。そのため、くれぐれもATMに近いオプションを売るのはやめてください。(日経平均の急騰、急落でプレミアムが急騰しますので、大損につながります。)
③ベガ
ベガはIVが変化した時のプレミアムの変化量を表しています。
07c27000@545のオプションのIVが24.85で、ベガが27.03だった場合、IVが1上昇すると、プレミアムが545+24.85×1≒569もしくは570に上昇することを意味しています。
ベガもATM近辺で最も高くなっており、相場が急騰、急落し、IVが急上昇すると、ベガの影響でもプレミアムが急騰するということです。
④セータ
セータはタイムディケイにより減少するプレミアムの1日当たりの減少量を表しています。タイムディケイによりプレミアムが減価していくのはこのセータが関係しています。
07c27000@545のオプションのセータが-14.01の場合、日経平均がほぼ動かなかったとすると、1日後にプレミアムは545-14.01≒531に減少します。
プレミアムの価値がセータによって毎日減価していきますので、オプションの売りから入ることで、この下落分を利益に変える戦略を取ることができます。
ここまでがグリークスの解説です。繰り返しになりますが、「グリークスを使って、オプション取引をするんだ!」と必要に迫られるまで、覚えなくても構いませんので、こういうのがあったな~程度で構いません。