偉大な投資家の残した名言というのは、いつの時代にも
役立つことがあります。
以前にもジョージ・ソロスの名言を取り上げたことがあり
ますが、今日も私が大事にしているジョージ・ソロスの
名言を紹介したいと思います。
ソロスの名言
「私の実践的スキルを要約せよ。と求められたなら、
ただひとこと「サバイバル」と答えるだろう。
まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ」
世界の三大投資家と称されるジョージ・ソロスにしては、
保守的な思考だと思った方もいるのではないでしょうか。
普通の人が一生かかっても築き上げられないような資産
を投資で築いた人物だからこそ、
「割安株を見抜く力」とか「相場を読み切る力」など、
資産を増やすための実践的なスキルを私も想像しました。
しかし、ソロスは「まずは生き残れ」と言っており、
普通の投資家とは投資へのアプローチがそもそも違う
ことに気づきます。
なぜ生き残ることが重要なのか
では、なぜソロスは「生き残る」ことを重視しているのか。
投資で大失敗をしたことがある人であれば、この名言の
意味がよくわかると思います。
投資というのは一種の麻薬のような性質があり、特に投資
経験が浅い人ほど、
「もっと豊かな暮らしがしたい」
「不労所得が欲しい」
「大きな資産を築きたい」
と、とにかく「儲けたい儲けたい」という思いばかりが
先走ります。
その結果、この投資をすれば、どれくらい資産が増える
だろうかという点ばかりに目が行ってしまい、その投資
が失敗するリスクを過小評価する傾向にあります。
リスクをしっかり考えずに投資をするような人は必ずと
言っていいほど大失敗をして、市場から退場する羽目に
なるのですが、0からの再スタートというのは、本当に
大変です。
資産が1000万円ある人が年間で10万円のリターンを得る
ためには年利1%で運用ができればよいですが、
資産を失い、手元に10万円しかない人が年間で10万円の
リターンを得るには年利100%で運用しなければなりません。
逆に言えば、損失を出したとしても、損失の額を抑える
ことができれば、いくらでも挽回のチャンスはあります。
ソロスの名言から考えられる投資戦略
では、この名言からどのような投資戦略が考えられるで
しょうか。
それは、投資をしようか考えているときに、「どれくらい
儲かりそうか」ということを先に考えるのではなく、
「どれくらい損失が出そうか。どうすれば、損失を最小限
に抑えられるだろうか」ということを最初に考えるという
ことです。
どれだけ儲かるかを先に考える人の特徴
1000万円の自己資金が手元にあったとして、「どれくらい
儲かりそうか」を先に考えるような人は、次のような思考
パターンの人です。
たいていの人は「年利5%で運用できたら、年間50万円か。
月4万円程度の臨時収入は大きいな。」とか、
「年利10%で運用できたら、年間100万円も資産が増えるな。
そんな実績が出ているファンドはないだろうか」など、
どうやったら一番増えるのかばかりに目が行きがちです。
まずどれくらい儲かりそうかばかりに目が行くと、その
投資商品のリスクを過小評価しがちです。
年平均で見ると10%程度のリターン期待できるファンドが
あったとして、20%~30%下落することが頻発するファンド
だったら、どうでしょうか?
中長期で保有を続ければ、年10%の利回りが期待できる
かもしれませんが、一時的にでも含み損が200万~300万円に
なると、
たいていの人は、もうこれ以上の損失は精神的に耐えられ
ないと考えて、損失を確定させてしまいます。
私の過去の経験からしても、どれくらい儲かりそうか
だけを考え、先走って投資をした場合は、ほとんどうまく
いきませんでした。
どれだけ損をするかを先に考える人の特徴
では、どれくらい損失が出そうかをさきに考える場合は
どうなるでしょうか。
1000万円の自己資金が手元にあったとして、まず考える
のは損失額を決めておくことです。
「最大でも損失は50万円に留めたい」といったイメージです。
そのあと、年利5%の投資商品の標準偏差が10%程度だった
とすると、この商品は1年間のリターンが▲5%~15%の範囲
に収まることがわかります。
ですので、「1000万円投資をしても、最大でも50万円程度の
損失で済むな」と考えられるわけです。
標準偏差は算出できる商品もありますが、怪しい投資案件の
ようにリスクの算出が困難な投資も多数存在します。
そのときは、100%の損失が出る可能性があるという前提の
もとで投資金額を決定しますので、50万円だけ投資をする
といった形です。
重要なのは、どれくらい儲かるかに焦点をあてて投資を
しているのではなく、どれくらいの損失で抑えるのかに
焦点を当てて投資をしているという点です。
普段からこの意識を持って投資をしていると、プラスは
出にくくなりますが、損失も出にくくなります。
その結果、長い目でみると、間違いなく、後者の考え方で
運用を続けたほうが大きな資産を築くことができます。
ジョージ・ソロスの「まず生き残れ。儲けるのはそれからだ」
という名言はぜひあなたも覚えておいてほしいと思います。