投資の世界で最も成功した人物といえば、多くの方が
ウォーレン・バフェットの名前を挙げると思います。
2020年の純資産はなんと732億米ドルとなっており、
世界で3番目の大富豪です。
バフェットは数多くの名言を残しており、今でもあなた
が投資をするときに役立つ数多くの名言を残しています。
今日はその中でも私が一番好きな名言を紹介したいと
思います。
バフェットの名言
ルールその1:絶対に損をするな。
ルールその2: 絶対にルール1を忘れるな。
これが数ある名言の中で私が一番好きな名言です。
「絶対に損をするな」だけでも、それなりに強い表現
ですが、さらに「絶対にルール1を忘れるな」と強く
念を押しているのが伝わってきます。
世界第3位の大富豪まで成り上がったバフェットがなぜ
それほどまでに損を避けることにこだわっていたので
しょうか。
それは一度損をすると、その損失を取り戻すためには、
とてつもない労力が必要だとわかっているからです。
50%の損失と50%の利益
とてつもない労力がかかるという話をする前に、あなた
には知っておいてほしい事実があります。
投資の世界では利回りという言葉が使われますが、こちら
は資産が上がったり下がったりした幅の%のことを指して
います。
この利回りというのには不思議な性質があり、50%の利益
が出たあとに50%の損失が出た場合、もとの数字に戻り
そうなものなのですが、実際にはそうはなりません。
例えば1,000万円が手元にあっって、3年間であなたの
資産が50%増えました。
そうすると、1000万円×50%=1500万円となります。
では、その後3年間であなたの資産が50%減ってしまった
とします。
さて、いくらになったでしょうか?
50%増えて、50%減ったので、1000万円に戻るでしょうか。
いいえ。正解は、1500万円×50%=750万円です。
なんと、50%増えて、50%減ったにもかかわらず、資産は
750万円に目減りしてしまうのです。
ちなみに、下の表のように、30%増えて、30%減った場合と
10%増えて、10%減った場合の金額も載せておきます。
スタート | 利益 | 損失 | |
10% | 1000万 | 1100万 | 990万 |
30% | 1000万 | 1300万 | 910万 |
50% | 1000万 | 1500万 | 750万 |
ここからわかることは、大きな損失を出せば出すほど、
損失を出した分と同じ利回りで運用したとしても、資産
が減っていくということです。
逆に言えば、大きな損失を出すと、元本を取り戻すため
には、損失以上の高い利回りで運用ができなければいけ
ないことを意味します。
元本を取り戻す難しさ
さきほどは、50%プラスを出しても、50%マイナスを出す
と大きく資産が減ってしまうことがわかりました。
それでは、50%資産が減った場合、何%の利回りで運用が
できれば、1000万円まで回復させることができるでしょうか?
わかりやすく説明するために、まず3年間で50%資産が
目減りしたとすると、1000万円×(100-50)%=500万円に
なります。
さて、ここから3年間で1000万円まで戻すには何%の
利回りが必要でしょうか。
答えは500万円×(100+100)%=1000万円。
つまり、利回り100%の運用が求められるのです。
50%しか目減りしていないにもかかわらず、元の水準に
戻すには100%のリターンが必要なのです。
この元本を取り戻す難しさを知れば、大きな損失を出す
ことがいかに危険かわかったのではないでしょうか。
ちなみに30%目減りした資産をもとの1000万円に戻す時と、
10%目減りした資産を元の水準に戻すための利回りは以下の
ようになります。
スタート | 損失 | 元本回復に必要な利回り | |
10% | 1000万 | 900万 | 約11% |
30% | 1000万 | 700万 | 約42% |
50% | 1000万 | 500万 | 100% |
いかがでしょうか?
損失を抑えることができれば、それを取り戻すことも容易
であることがわかりますね。
だからこそ、バフェットは『絶対に損をするな。絶対に
それを忘れるな』と念をおしているのです。
とはいっても、損失を恐れすぎていては、リターンを得る
ことはできません。
なので、ある程度のリスクは取る必要があるわけですが、
どうすればよいのでしょうか。
標準偏差とキャッシュポジション
投資の種類にもよりますが、標準偏差がわかる投資信託を
例にしてみましょう。
標準偏差とは価格の変動幅を表しています。
株式ファンドであれば、平常時は15~16程度が多いので、
平均利回りが5%だとすると、1年間で▲10%~+20%以内
に値動きが収まる可能性が高いことを意味します。
もう少し具体的に説明すると、
あなたは余剰資金として1000万円を保有していて、1000万円
を株式ファンドに投資をしたとします。
そうるすると、あなたが保有する資産に対して、この1年間で
最大10%の資産が減少するリスクがあります。
一方で、1000万円のうち、500万円は現金で保有し、残り
500万円を株式ファンドに投資をしたとすると、あなたが
保有資産に対して、この1年間で5%資産が減少するリスク
があります。
何が言いたいのかというと、現金の比率(キャッシュポジション)
を調整することで、あなたの全資産に対して、リスクを抑える
ことが可能であるということです。
つまり、もし、年間50%損失を出す可能性があるハイリスク
ハイリターンの投資案件にどうしても挑戦したいという場合、
1000万円全額で投資をすると、万が一のときに挽回すること
が非常に難しくなります。
一方で、100万円だけ投資をするのであれば、1000万円に
たいしては5%程度のリスクにしかなりません。
ここで重要なのは、いくら儲かりそうなのかという観点で
投資をしていないということです。
とにかく大きな損は絶対しないように自分の資金をコント
ロールすることができれば、あなたが投資している商品が
50%の大暴落を起こしたとしても、資産全体から見れば、
軽傷で済みます。
ですので、改めてになりますが、
ルールその1:絶対に損をするな。
ルールその2: 絶対にルール1を忘れるな。
どれだけ儲かりそうかではなく、どうすれば損失を抑えながら
資産を増やすことができるかと言う視点で、あなたの投資戦略
を考えてみてください。