2021年に最も投資家の間で話題になっていたのがNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけた通称「レバナス」です。
リスクは高いのですが、パフォーマンスが異常に良かったこともあり、「レバナスでFIRE」「レバナスで億り人」なんていう言葉まで聞こえてきました。
レバナスは一般的にはNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけた投資信託を指しますが、大和アセットには、レバレッジを3倍にかけたNASDAQ100 3倍ブル「別名:レバナス3倍」という商品が実はあります。
かなり攻めた商品ですが、今日は、このNASDAQ100 3倍ブルについて独自目線で徹底分析していきます。
「NASDAQ100 3倍ブルって投資対象としてどうなの?」
「NASDAQ100 3倍ブルって持ってて大丈夫なの?」
「NASDAQ100 3倍ブルより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
NASDAQ100 3倍ブル『レバナス 3倍』の基本情報
投資対象は?
NASDAQ100 3倍ブルの投資対象はNASDAQ100で、日々の基準価額の3倍程度になる運用を目指します。
ちなみにNASDAQ100というのは、米国のナスダック市場に上場している時価総額の大きい非金融業100社の株式で構成される株式指数です。
NASDAQ100 3倍ブルの組入れ銘柄はVAult Investments PLCのみとなっています。資産構成比を見ると、レバレッジをかけるために外国債券に投資をしていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、NASDAQ100 3倍ブルの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
NASDAQ100 3倍ブルの純資産は約161億円で、レバレッジ型のファンドには珍しく堅調に純資産を伸ばしています。規模としても全く問題ない水準ですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
NASDAQ100 3倍ブルの実質コストは1.544%と割高な水準です。購入時手数料もしっかり3%取られますので、辛いですね。
ただ、NASDAQ100 3倍ブルに投資をするようなリスク選好型の投資家にとっては、大きなリターンが期待できるので、あまり気にならないのかもしれません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.52375%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.544% |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
NASDAQ100 3倍ブル『レバナス 3倍』の評価分析
基準価額をどう見る?
続いて、NASDAQ100 3倍ブルの基準価額を見てみましょう。2021年以降、大きく下落しており、2023年になってもまだ復活してきていません。
※引用:ウエルスアドバイザー
基準価額の値動きについて必ず押さえておきたいこと
NASDAQ100 3倍ブルに投資をする上で、必ず知っておかなければいけないことがあります。
それは、どの期間をとっても、NASDAQ100の3倍の値動きをするというわけではないということです。
例えば、以下の例。
対象指数であるNASDAQ100は四日間でプラスマイナスゼロだったとしましょう。
そのとき、NASDAQ100 3倍ブルはどうなるかというと、以下の図のように四日目には資産が12%目減りしてしまいます。
NASDAQ100 3倍ブルはあくまでもNASDAQ100の1日の値動きに連動していますので、複数日にまたがると、複利の影響で、単純に3倍にはならなくなります。
上昇・下落を繰り返した場合はまだ影響が少ないですが、一方的に下落を続けた場合はもっと影響が大きくなります。
それが次の例です。
NASDAQ100は4日間で20%しか下落していませんが、NASDAQ100 3倍ブルは51%も下落します。
一番、ひどいことになるのが、上昇・下落を繰り返しながら、下落していった場合です。
以下の図ようにNASDAQ100は20%しか下落していないにもかかわらず、NASDAQ100 3倍ブルは72%も下落します。
このようにNASDAQ100 3倍ブルは下落相場で保有をしていると、かなり苦しい展開になりますので、基本、下落相場では保有しないようにしてください。
利回りはどれくらい?
つづいて、NASDAQ100 3倍ブルの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは67.33%となっています。多くの投資家が群がる理由もよくわかりますね。
ただ、この時点の利回りだけで判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +67.33% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
NASDAQ100 3倍ブルは、株式ブル型カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
NASDAQ100 3倍ブルは、上位17%ということで、非常に優れた成果を残していることが分かります。
上位●% | |
1年 | 17% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
NASDAQ100 3倍ブルの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
+80%と▲80%を交互に繰り返しており、普通の投資家はまずメンタルが持ちません。
年間利回り | |
2023年 | +88.85%(1-9月) |
2022年 | ▲80.28% |
2021年 | +87.93% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
NASDAQ100 3倍ブルに投資を検討しているのであれば、超低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。
そこで今回は、インデックスファンドとしても非常に人気の高いeMAXIS Slimシリーズの全世界株式、全米株式、先進国株式と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2021年までは、NASDAQ100 3倍ブルが大きく差を広げていましたが、2022年、2023年以降は完全に逆転しています。
インデックスファンドと比較をすると、NASDAQ100 3倍ブルの異常性がよくわかりますね。
NASDAQ100 3倍 | Slim 米国株式 | |
1年 | +67.33% | +23.68% |
3年 | - | +23.72% |
5年 | - | +15.80% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
類似ファンドとの利回り比較
NASDAQ100 3倍ブルに投資を検討しているのであれば、2倍レバレッジをかけたiFree レバレッジ NASDAQ100と通常のNASDAQ100とパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
果たして、どのような結果になるのでしょうか。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも同じく2021年末までは、NASDAQ100 3倍ブルが圧倒的に差をつけていましたが、2022年以降は、最下位となっています。
結局、目先の利益に囚われずに、無難にインデックスファンドに投資をするのが一番と言うことです。
NASDAQ100 3倍 | iFree レバNASDAQ100 | |
1年 | +67.33% | +47.45% |
3年 | - | +6.93% |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
評判はどう?
続いて、NASDAQ100 3倍ブルの評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
2021年末まではパフォーマンスが好調だったので、流入が続いていますが、はたして2022年はどうなっているのでしょうか。
たぶんですが、下落に耐えられず投げ売りした投資家が多数いると思います。
※引用:ウエルスアドバイザー
NASDAQ100 3倍ブル『レバナス 3倍』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
2021年までの相場は奇跡的といっていいほど右肩上がりに上昇していたので、NASDAQ100 3倍ブルに何の疑いもなく投資をしていた人が多数いました。
ただ、レバレッジが3倍かかっている時点で、下落相場に直面すると、異常なまでに資産がマイナスになります。
その結果が2022年の暴落です。
「長期保有するから大丈夫」と頭の中ではわかっていても自分の資産が半分以下に下落している状態が長く続くと精神的にかなり辛いです。
ですので、NASDAQ100 3倍ブルに投資をするのであれば、気にならないくらい少額で投資をするか、株式市場が大きく下落した後のタイミングで短期的に投資をするのが一番賢い投資法でしょう。
少なくとも今の相場でNASDAQ100 3倍ブルを全力で保有するメリットはほぼないですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点