投資を始めようと色々勉強を始めたけれども、どのタイミングで始めればよいかわからないという話をよく聞きます。
上昇相場だと、そろそろ下がり始めるんじゃないかとか、下降相場だと、まだまだ下がるんじゃないかとか、色々な考えが出てきてしまい、結局なかなかスタートを切れなくなってしまうのです。
私も投資を始めたころは、同じような思いをしたことがあるので、よくこの気持ちはわかります。
投資の基本原理は安く買って高く売ることですので、相場をしっかり見定めることは非常に重要なことです。
しかし、投資信託に限って言えば、実は相場を見極めることはそこまで重要ではないのです。
それはなぜなのか、今日は説明していきます。
投資信託の基本的な商品設計
そもそも投資信託というのは、どういう仕組みの金融商品なのかを、まずしっかり理解することが重要です。
ここでは話をわかりやすくするために投資信託の中身がほぼ株式で構成されている銘柄を例に挙げたいと思います。
近年では、本来の株式投資の考え方ではなく、短期間での利益を狙っていくような株式投資をする人が増えてきています。
そのような人たちは、安く株を買い、値上がりしたタイミングを見計らって、株を売却し、利益を得ることを狙うわけですので、相場をとにかく読み切る力、安く仕込むかが運用成績に大きく影響を与えることになります。
2020年のコロナショックでも異常な値動きを狙って、多くのギャンブラーたちがゼロサムゲームを繰り広げていました。
しかし、本来の株式投資というのは、皆さんから集めた資金を使って、企業がビジネスを拡大し、利益を増やし、その利益の一部を株主にお礼として還元するというものです。
つまり短期的な利益を狙って売買するものではなく、長期的な利益を期待して投資するものなのです。
株式投資=企業の成長に期待して投資するものですから、株式の集合体ともいえる投資信託もまた、長期目線で企業の成長に期待して投資をするものということですね。
ここから言えることは、投資信託は目先の値動きに心を揺さぶられて、売買をするものではなく、長期的な企業の成長や経済の成長を期待して投資をするものということです。
この点は非常に重要なことですので、ぜひ覚えておいてください。
世界経済は右肩上がりに成長している
短期的に見ると、好景気不景気の波はありますが、長期的に見ると世界経済は右肩上がりに成長しているという事実があります。
例えば、日本とアメリカのGDP(国内総生産)の推移を見てみましょう。GDPというのは、簡単に言ってしまえば、国内の企業の売上の合計ですね。
どちらも右肩上がりにGDPが増大しているということがわかると思います。
なかなか実感はわかないかもしれませんが、マクロ的な視点で見ると、日本国内の企業の売上の合計というのは右肩上がりに伸びているのです。
企業の売上の増大=企業価値の増大=株価の増大なので、長期的な目線で投資をすれば、株価は上がっていく=株式の集合体である投資信託の価値も増大していくということになるわけです。
ここで言いたいのは、単一の株式では、この右肩上がりの成長の恩恵を受けづらいですが、アメリカを代表する企業に投資するような投資信託や日本を代表する企業に投資するような投資信託であれば、この右肩上がりの恩恵を受けることができます。
この右肩上がりの事実を知っていれば、投資信託の売買タイミングについてそこまで気にする必要がないことがわかると思います。
つまり現時点で相場が上がりそうとか下がりそうとか考える必要はなく、あなたは世界経済の発展を祈りながら、すぐにでも投資を始めればよいのです。そして短期的な値動きは特に気にする必要もないということです。
中長期目線での投資はとにかく負けづらい
せっかくですので、もう一つあなたが一歩踏み出すための貴重な情報をご紹介しましょう。
以下に、国内株式に投資する投資信託の利回りを分析した表を用意しました。
平均利回り | 元本割れする確率 |
1年 | 13.57% (90本/663本) |
3年 | 0.81% (5本/616本) |
5年 | 1.81% (10本/552本) |
10年 | 0%(0本/322本) |
※2022年1月時点
表の見方は、1年前から運用されていたファンドが663本あり、その中で利回りがマイナスだった投資信託の本数が90本だったという見方をします。
3年だったら、3年前から運用されていた投資信託が616本あり、3年間運用して利回りがマイナスなファドは5本という意味です。
ちなみに、10年前から運用されている投資信託に至ってはなんと元本割れしているファンドは1本もありません。
ここから言えることは、いつ始めるか細かいことにこだわっていても、相場は上がり下がりを繰り返しますので、いつになってもスタートを切れません。
しかし、仮に投資を始めてすぐに下落をしたとしても中長期でしっかり保有をつづければ、ほぼ負けることはないのです。
これを頭で理解できていれば、始めるタイミングにそこまでこだわる必要がないことがわかるでしょう。
まとめ
長期投資を前提に考えるのであれば、投資信託は非常に魅力的な設計になっています。
どのタイミングで買えばいいかということを考える時間があるのなら、その時間を使って、どの商品を購入するか検討することに時間を使ってくださいね。
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点