2021年はロボアド業界に新しい旋風が巻き起こるかもしれません。

というのもフィンテック・ベンチャーのSUSTENキャピタル・
マネジメントが完全成功報酬型のロボアドバイザーをリリース
しました。

これにより、投資家と運用会社は「資産を増やす」という
ただ1つの目的を共有し、同じ方向を向いて資産運用に
取り組むことできます。

ただ、「完全成功報酬型」という今まであまり馴染みのない
手数料体系は、そもそもお得なのかどうなのかわからない
という人も多いと思いますので、

インデックスファンドとの手数料とも比較しながら、SUSTENを
徹底分析していきます。

SUSTEN(サステン)の基本情報

SUSTENはフィンテック・ベンチャーのSUSTENキャピタル・
マネジメントが提供するロボアドバイザーです。

現在はPCとスマホで提供されており、アプリはまだありません。

最低投資金額は10万円なので、他のロボアドと変わらないですね。

簡単な質問に答えると9つのタイプから、あなたにおすすめの
ポートフォリオが提案されます。(ポートフォリオの種類は
36種類あります。)

ちなみに私は左上の「信頼の世界経済タイプ」でした。


※引用:SUSTEN HP

ポートフォリオの決定ロジックは、どのロボアドでもブラック
ボックスなので、ここで優劣の議論をしても仕方ありません。

正しく質問に答えて、あとはお任せするようにしましょう。

投資対象は?

続いて、SUSTENの投資対象を見ていきます。

SUSTENの投資対象は世界の株式、債券、通貨、
デリバティブとなっています。

実際には、バンガードやステート・ストリート、
ブラックロックのETFを購入して投資をしていきます。

あなたがSUSTENに資金を入金すると、あなたの資産は
3つのポートフォリオに分散投資をされます。

その3つというのが、

  1.  グローバル資産分散ポートフォリオ(R)
  2. グローバル債券ポートフォリオ(B)
  3. グローバル複合戦略ポートフォリオ(G)

です。

ここから3つのポートフォリオについて解説していきます。

グローバル資産分散ポートフォリオとは?

グローバル資産分散ポートフォリオは日本を含む世界の
株式市場全体の値動きに長期的に連動する投資成果を
目指して運用されます。

現在、組み入れられているのは、以下の4つのETFです。

VTI、VEA、VWOはウェルスナビやTHEOでも組み入れ
られており、メジャーなETFです。

全世界の株式に投資ができるVTではなくVTI、VEA、VWOに
分散投資をしているのは、投資比率を柔軟にコントロール
できるようにするためです。(手数料も若干ですが、有利になります。)

ティッカー ETF概要 組入比率
VTI 米国株 39.5%
VEA 先進国株 29.4%
VWO 新興国株 27.5%
JNK ハイ・イールド社債 2.5%

※引用:2021年1月レポート

今は、4本のETFで構成されていますが、目論見書を見ると、
バンガードのVanguardシリーズ、ブラック・ロックのiShares
シリーズ、ステート・ストリートのSPDRシリーズから

14本が投資対象の候補となっていますので、今後、組み入れ
られる銘柄は変わっていきそうです。

グローバル債券ポートフォリオとは?

グローバル債券ポートフォリオは長期的に日本を含む
先進国の投資適格債券市場の値動きに連動する投資成果を
目指して運用されます。

現在、組み入れられているのは、BND及びBNDXの2銘柄です。

ティッカー ETF概要 組入比率
BND 米国投資適格債券 49.5%
BNDX 米国以外の投資適格債券 49.3%

※引用:2021年1月レポート

目論見書を見ると、ブラックロックのiSharesシリーズと
バンガードのVanguardシリーズから6本のET Fが投資候補と
なっていますので、こちらも今後組み入れ比率は変わってきそうです。

グローバル複合戦略ポートフォリオとは?

SUSTENのCIO山口氏曰く、このグローバル複合戦略
ポートフォリオというのが、他社にはない独自性のある
ポートフォリオと言っています。

具体的な戦略まではわかりませんが、先物のロングも
ショートも活用し、できるだけ株式相場との連動性を
抑えた運用がされるポートフォリオとなっています。

組入比率
外国債券 58.3%
短期金融資産 41.7%

※引用:2021年1月レポート

長期的に日本の短期金利を上回る投資成果を目指して
運用すると書かれていますので、インフレヘッジ用の
超安定ポートフォリオなのだと思われます。

参考までに、私の「信頼の世界経済タイプ」の3つの
ポートフォリオの比率は以下のようになっています。

質問の回答によって、このポートフォリオの比率が
変わる仕組みです。

組入比率
グローバル資産分散ポートフォリオ 86.66%
グローバル債券ポートフォリオ 6.66%
グローバル複合戦略ポートフォリオ 6.66%

 

サービスローンチをしたばかりなので、画面上では、金額の
増減しか見えず、具体的な資産の分散状況が見えないのは
かなり不便ですが、今後実装されることを期待して待ちたいと思います。

さて、続いて、多くの人が気になっているであろう手数料の仕組みを
徹底分析していきます。

SUSTEN(サステン)の手数料体系とは?

まずSUS TENの手数料の一覧を見てみましょう。

SUSTENの手数料は以下のようになっており、通常の
ロボアドによくある年間管理費は発生しません。

銀行振込 ※投資家負担
積立 無料
出金手数料 400円(税抜)
為替手数料 無料
売買手数料 無料
リバランス 無料
成功報酬 運用益に応じて

その代わりに、毎月、運用益が出たら、その運用益から成功報酬を
支払うというHWM(ハイ・ウォーター・マーク)方式を採用しています。

HWM方式では、過去の最高評価額(総資産が最も多くなったとき)を
基準に、その評価額を上回った分を運用益と考え、成果報酬が発生します。

それまでの最高評価額が30万円だった場合、最高評価額が40万円まで
増えると、10万円が運用益となり、この運用益に対して、一定の
成功報酬を支払うということになります。

具体的にどういう仕組みなのかというと、下図を見てもらったほうが
わかりやすいでしょう。

厳密には少し違いますが、理解する上では役立ちます。


※引用:SUSTEN HP

あなたは4月末から運用を開始しました。

5月末に最高評価額を更新した場合、4月末の最高評価額との
差分を運用益とし、この運用益の一部を成功報酬として
SUSTENに支払います。

6月は運用がうまくいかずに最高評価額を更新しなかったので、
手数料の支払いはありません。

7月は6月末と比べると若干プラスの運用ができましたが、7月末
時点では5月末の最高評価額を超えていませんので、手数料の
支払いは発生しません。

8月は運用が大きくプラスとなり、8月末時点で5月時点の最高
評価額を大きく超えました。

ですので、5月末の最高評価額を超えた分に対して、一定の成功
報酬を支払うことになります。

少し複雑に感じるかもしれませんが、要は、あなたの資産が
最高額を更新したら、更新した分に対して一定額の成功報酬を
支払うということです。

HWM方式が投資家にとってメリットが大きいのは、運用会社は
本気で運用しなければ、報酬が一切受け取れないということです。

ウェルスナビやTHEOといった他のロボアドであれば、最悪、
運用がずっとマイナスだったとしても、年間の管理費1%を
受け取れます。

ですので、パフォーマンスが悪くても、「長期で保有することが
大事なんですよ」とでも言って、投資家に解約さえされないように
フォローをしていれば、最悪、管理費は毎年受け取れるわけです。

一方で、完全成功報酬型のSUSTENの場合、何が何でも成果を
出さなければ、一銭も報酬を受け取れないので、必死さが違います。

どちらの手数料体系の運用会社にお金を預けたほうが必死に
あなたの資金を増やしてくれそうかは言わずもがなですね。

さて、成功報酬型の手数料体系は、投資家にとってもフェアな
仕組みになっていることはわかっていただけたと思います。

ただ、フェアな仕組みだったとしても、手数料(報酬)が
高いのか安いのかは別問題です。

現在のSUSTENの手数料率は、最高評価額(資産が一番
増えた時の金額)に応じて、以下のようになっています。

この手数料率は先ほど説明したように、資産が増えた分に
対してかかってくるものなので、資産全体にかかってくる
信託報酬や管理費よりも数字が大きくなっています。

会員ランク 最高評価額(資産額の最高値) 手数料率
ステージ1 80万円未満 1/6
ステージ2 80~200万円未満 1/7
ステージ3 200~500万円未満 1/8
ステージ4 500万円以上 1/9

ただ、これだけ見ても、結局、成功報酬として支払う手数料が
高いのか安いのかわかりません。

そこで、今回は、もしeMAXIS バランス(8資産均等型)をSUSTENと
同じ成功報酬で運用したら、どの程度の成功報酬(手数料)が発生する
のか調べ、

毎年、信託報酬を支払う場合と比べてどちらが割安なのかを
検証していきます。

今回、eMAXIS バランス(8資産均等型)を選択した理由としては、

  • 手数料の割安なインデックスファンドだから
  • SUSTENも株式や債券を組み入れたバランス型のファンドだから
  • eMAXIS バランス(8資産均等型)は運用期間が長いので、
    検証期間を長く取れるから

という3つを選定しています。

eMAXIS バランス(8資産均等型)の過去のパフォーマンスを使ってSUSTENの手数料を徹底検証

さて、下の表が2012年以降のeMAXIS バランス(8資産均等型)の
データです。

期間内最高値というのは、ファンドの基準価額を示しており、
HWM方式でいう最高評価額だとお考え下さい。

運用益とは、前年の最高値を更新をした分の金額を表しています。

期間内最高値(円) 運用益(円)
2020年 22,004 513
2019年 21,491 1,153
2018年 20,338 393
2017年 19,945 968
2016年 18,072 0
2015年 18,977 636
2014年 18,341 2,878
2013年 15,463 3,316
2012年 12,147 2,438
2012年1月1日 9,709

※SUSTENの場合は、毎月末に期間内最高値を判定するので、完全に正しい数値を算出できてはいません。あくまで参考値としてご活用ください。

上記の運用益に手数料率を掛け合わせたものが成功報酬額に
なります。

SUSTENの場合、最も資産額が多かったときの金額に応じて
手数料率が変わりますので、ステージ1~ステージ4の場合の
報酬額を算出しています。

また、近年非常に人気の高いeMAXIS バランス(8資産均等型)の
改良版であるeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の信託報酬率
0.154%をもとに、毎年支払う信託報酬額も算出しました。

S1 S2 S3 S4 信託報酬0.154%
2020年 86 73 64 57 29.5
2019年 192 165 144 128 30.5
2018年 66 56 49 44 29.6
2017年 161 138 121 108 29.0
2016年 0 0 0 0 26.0
2015年 106 91 80 71 27.3
2014年 480 411 360 320 25.3
2013年 553 474 415 368 21.3
2012年 406 348 305 271 16.8
合計 2049 1756 1536 1366 235.2

※信託報酬額の算出は、1年のうちの最高値と最安値の平均値×信託報酬率で算出しています。あくまでも参考値としてご活用ください。

こうしてみると、どのステージだったとしても、近年の
超低コストのインデックスファンドのほうが手数料は
はるかに安いということがわかります。

では、ウェルスナビやTHEOのように管理費として年間1%の
報酬を受け取っている会社と比べると、手数料は安いでしょうか?

S3 S4 信託報酬0.154% 管理費1%
2020年 64 57 29.5 191
2019年 144 128 30.5 198
2018年 49 44 29.6 192
2017年 121 108 29.0 189
2016年 0 0 26.0 169
2015年 80 71 27.3 177
2014年 360 320 25.3 164
2013年 415 368 21.3 138
2012年 305 271 16.8 109
合計 1536 1366 235.2 1527

ステージ3と管理費1%の手数料の場合でだいだいトントンと
いう結果となりました。

ステージ4まで行くと、成功報酬型のほうが割安になるようです。

どちらにしても近年の超低コストのインデックスファンドと
比べると手数料では見劣りする結果となりました。

ただ、1つ注意点としては、2012年~2020年というのは
株式市場が総じて好調だったこともあり、成果報酬型の
手数料が高くなっています。(運用益が多いため、報酬が増える)

これが2006年~2015年など、リーマンショックを挟むと
SUSTENの手数料はかなり少なくて済むと思います。

とは言え、インデックスファンドが割安であることは
間違いないですね。

今後、預かり資産額が増えて、SUSTENの手数料率がもっと
下がってくると、さらに魅力が高まってくるといえるでしょう。

とはいえ、SUSTENの成功報酬型の手数料については、
多くの投資家が期待を寄せているのも事実です。

SUSTEN(サステン)の評判はどう?

Twitterでの投稿を見てみると、成功報酬型という手数料体系に
期待している投資家も多いです。

 

SUSTEN(サステン)の評価まとめ

私の友人が古くから成功報酬型の資産運用サービスを提供しており、
「いつか運用会社の報酬体系も成功報酬型のHWM方式になればなあ」
とは思っていましたが、

運用会社側からすると、株式相場に大きく収益が影響されるので、
「信託報酬という安定収入を捨てて、成功報酬型に切り替えるという
判断を運用会社がするのは難しいだろうなあ」とも思っていました。

そんな中、この旧態依然とした資産運用業界の手数料モデルに
切り込んだSUSTENの挑戦は素晴らしいと思っています。

ただ、現状で言えば、管理費年1%をとっているロボアドサービスと
比べて、手数料が大きく割安であると言える水準ではなく、今後、
手数料率が下がってくることに期待したいところです。

とはいえ、今まで販売員に好き放題手数料をだまし取られてきた
投資家がほとんどですので、真の意味で投資家に伴奏してくれる
サービスというのは、多くの投資家が待ち望んでいます。

ぜひSUSTENにはこの成功報酬型モデルの先駆者として業界を
牽引してほしいと思います。