投資基礎力UP

投資行動に大きな影響を与えるプロスペクト理論とは?

投信運用を始めると、必ずと言っていいほど誰でも通る道があります。

それが損益ゼロ近辺での攻防です。

損益ゼロ近辺での攻防というのは、まさに投資の利益がプラスマイナス
ゼロ付近で推移しているときで、

「やった!少し利益が出てる!」

「あ~ついにマイナスになっちゃったよ。」

「どうしよう、このまま大きく下落しないかな」

「利益が出てるうちに売ってしまったほうがいいかな」

のように、日々の株価の値動きに一喜一憂してしまうことを指します。

これは人間が元来持っている特性なので、抗うことは難しいのですが、
そのメカニズムを知っておかないと、利益を取りこぼすことに
繋がりかねないので、ぜひ知っておいてほしい内容になります。

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なぜ、こんなことに?

では、なぜ損益がプラスマイナスゼロ近辺になると、一喜一憂して
しまうのでしょうか。

これは、行動経済学という人間の行動を研究する学問でも証明されている
プロスペクト理論が関係しています。

プロスペクト理論については、小難しい説明をするよりも以下の図を
見てもらったほうが理解が早いと思います。

まずこのグラフは、横軸が利益、縦軸が嬉しい・ガッカリという感情を
表しています。

このグラフだけでも色々なことわかるのですが、今回の話をプロスペクト理論に
あてはめると、縦軸と横軸が交わっている地点が損益ゼロの地点です。

そこから利益が出る方向を見ていきます。

そうすると、初めは大きく上昇していきますが、徐々に上昇率は低下していくこと
がわかります。

これは何を意味するかと言えば、少しでも利益が出たときのほうが、喜びが大きく、
大きな利益が出過ぎると嬉しい気持ちは、あまり高まらないことを意味しています。

損失が出ているときも同じですね。少額の損失が出ているときのほうががっかり感が強く、
損失が大きくなりすぎると、感覚がマヒしてあまりがっかりと感じなくなるわけです。

つまり、損益ゼロから少額の利益や損失が出ている状態というのは、一番感情が
高ぶったり、がっかりしたりするということです。

そして、これは長年の研究で証明されている理論ですので、あなたも私も関係なく、
基本的に皆同じ理論が当てはまります。

ですので、まず第一歩として、あなたも私も「人間は元来、利益や損失がわずかに
出ている状態というのが、一番感情が高ぶったり、がっかりしたりする」ことを
知っておくことが大事です。

プロスペクト理論を知っておかないと・・・

結局、この理論を知っておかないと、日々の値動きに一喜一憂することになります。

そして、たいていの場合は、だんだん一喜一憂するのにも疲れてきて、

「もう、なかなか値上がりしそうにないし、一旦売却してしまおうかな・・」

「もしかすると、大きく下落するかもしれないから、損失が小さいうちに
売っておこうかな・・」

と言った気持ちになっていきます。

本来、長期投資を前提に考えるのであれば、あまり短期の値動きについて
一喜一憂しても仕方がないのですが、一喜一憂するのに疲れて、手仕舞い
してしまっては元も子もありません。

プロスペクト理論に抗う方法はあるのか?

では、損益がゼロ近辺のときに、相場の動向で一喜一憂せず、プロスペクト理論に
打ち勝つにはどうすればよいのでしょうか?

普通に考えると、「長期投資を前提に投資をしているので、短期の値動きなんて
気にしなければいい。」と思うかもしれません。

しかし、実際に、自分の資産の値動きを目の当たりにしてしまうと、結局、
感情には勝てません。

なので、もっと強制力の強い方法で制御する方法がお勧めです。

非常にシンプルですが、しばらく相場を見ないようにする。と言う方法です。
「どうぜ、自分は長期投資をしているのだから、短期の結果に一喜一憂しても
仕方ない」と割り切って、まったく相場を見ないようにしてみてください。

2週間~1カ月程度は空けたほうがいいですね。

少なくとも、相場を見て、毎日毎日、一喜一憂することもなくなり、もっと
冷静に相場を見て、投資判断ができるようになります。

投資というと、どうしても、どのファンドがいいのか、どの銘柄がいいのか、
ばかりに気を取られてしまいますが、こういった感情をいかにコントロール
するのかといった面も非常に大事になりますので、ぜひ覚えておいてください。

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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