40代になってくると、将来のことも考えて投資についても色々と挑戦
していこうと思われる方も増えてきています。
しかし、今まで、投資教育をまともに受けてきていないがために、
自分では意識せずとも、金融機関の策略にはまってしまっている
ケースが非常に多いです。
最近は、ロボアドツールで、いくつか自分の投資志向を入れると
自動でおすすめのポートフォリトや投資信託を紹介してくれるサービスが
ありますが、まさに金融機関の術中にはまっている典型でしょう。
何となく納得感があるため、そのとおりに購入してみようと思って
しまいがちですが、少なくとも私の周りでロボアドのアドバイスを
真に受けて投資をしてしまっているような人は一人もいません。
話が色々とそれてしまいましたが、今日は40代の方向けにおすすめの
投資信託ポートフォリオを紹介していきたいと思います。
よく見る40代におすすめの投資信託ポートフォリオの問題点とは?
まず投資信託ポートフォリオ作成の一般的な流れとして、あなたの
期待するリスク・リターンを決定し、そのうえで資産構成比を決めて
いきます。
その後、資産クラスごとに投資信託を選ぶという流れですね。
何かしらポートフォリオ作成ツールなどを使ったことがる人であれば、
こういったポートフォリオが出てきたことがある人もいるのではないでしょうか?
■ポートフォリオA
国内株式・海外株式を20%、国内債券・海外債券を30%ずつ保有する
という方法です。
半分以上が債券ですし、何となくバランスが取れていて良さそうに感じるのが
このパターンのポートフォリオですね。
一方、40代ですからもう少しリスクを抑えたいという人用の
ポートフォリオですと、こういったものをよく見かけます。
■ポートフォリオB
国内株式・海外株式を15%、国内債券・海外債券を35%ずつ保有する
という方法です。
では、ここで問題です。
ポートフォリオAとポートフォリオBのリスク・リターンが次のように
なっていた場合、あなたはどちらのポートフォリオを選びますか?
ポートフォリオA | ポートフォリオB | |
平均リターン | 4% | 2% |
リスク | ±4% | ±2% |
はい。答えはどちらを選んでも大丈夫です。
あなたのリスク志向に合わせて選んでください。
ただし、あなたはここで疑問を感じないといけません。
あなたは「平均リターン」「リスク」がどのように計算されているか
詳しく知っているでしょうか?
何が問題になってくるかというと、この「平均リターン」「リスク」は
計測する期間によって、数値が変わってくるということです。
大抵は5年か10年で算出していることが多いですが、5年で算出した
「平均リターン」「リスク」が最適な期間であるとは誰にもわかりません。
上記の表を仮に5年間の運用実績の「平均リターン」「リスク」で
計算されたものだったとしましょう。
これを6年間の運用実績をもとに「平均リターン」「リスク」を
計算したら次のようになったとします。
ポートフォリオA | ポートフォリオB | |
平均リターン | 2% | 4% |
リスク | ±2% | ±4% |
さて、あなたはどちらのポートフォリオがあなたにとって最適だと
言えるでしょうか?
計測期間を変えれば当然リスク・リターンは変わりますので、
こういったことは普通に起こり得る話です。
結論、よくわかりませんよね。こういったポートフォリオを作るときの
問題点は、運用期間をどのように取るかで、「平均リターン」「リスク」は
変わってきてしまうということです。
ポートフォリオのリスク・リターンの数値があまりアテにならないとすると、
そのリスク・リターンを根拠に銘柄を決めていくのは非常にナンセンスなわけです。
投資信託ポートフォリオは納得感を持たせるために作られたツールでしかない。
このようなポートフォリオを作って、リスク・リターンで管理しましょうと
言われ始めたのは、ロボアドが流行り始めた最近のことかと思っていますが、
まさに販売会社側の策略がみごとにはまっていますね。
確かにポートフォリオを組んで、アセットクラスを色々と調整して、
リスクとリターンを算出すると、何となく自分に適したポートフォリオ
ができた気になれます。
投資においては、この納得感というのが、一歩踏み出す勇気にも
つながりますので、投資家の心理がさすがよくわかっていますね。
かつ、ポートフォリオを組むとなると、基本複数商品を購入すること
になりますので、その分、販売会社の手数料も増えるというわけです。
販売会社にとっては非常に魅力的な話ですが、残念なことにあなたに
とってはそうとも言えません。そのポートフォリオどおりに運用できる
確率はかなり低いと思ったほうがいいでしょう。
40代のあなたにおすすめ投資信託ポートフォリオはこれ。
つらつらと書いてきましたが、「じゃあ、結局どうすればいいんだ。」
ということになりますね。結論から言えば、10年間寝かせておいてもよい
貯蓄をこのようなポートフォリオで投資してください。
余剰資金がないという方は積立でも大丈夫です。
ここでは国内株式の比率を10%にしていますが、これは全世界の
株式に分散投資をすると言う意味です。
なぜ、このようなポートフォリオが最適なのか。
それは、私が一番信頼できると思っているのは、世界のGDPの成長だからです。
GDPというのは、「国内総生産」とも言いますが、簡単に言ってしまえば、
企業の売上の合計だと思ってもらえばよいでしょう。
GDPが増加=企業の売上増加=企業価値増加=株価増加=投資信託の基準価額の増加
という式が成り立ちます。そして、各国のGDPの伸び率を下記にリンクを
張っておきますので、ご自身の目でご確認ください。
国名 | ||||
アメリカ | イギリス | カナダ | フランス | 中国 |
日本 | ドイツ | スイス | オーストラリア | 韓国 |
驚くべきことにすべての国が右肩上がりに成長しています。
つまり、あなたは世界の経済が成長することを祈りつつ、世界の
様々な企業に分散投資をしておけば、世界経済の成長とともに
あなたの資産も増えていくというわけです。
一部の人からは、株式だけだとリスクが高いのでは?なんていう声が
聞こえてきそうですが、本当にリスクは高いのでしょうか?
私からすれば、金利の変動で予期せぬ動きをする債券は、満期まで
保有する前提で投資をするのであれば良いですが、債券ファンドに
投資をしようとは全く思いません。
それよりも、過去からずっと右肩上がりに成長しつづけいている
世界経済の成長に今後も期待して、世界の株式に分散投資をしたほうが
よほど、まともな投資をしていると思います。
リスクを取りたくないという人は、投資する額を減らせばよいのです。
100万円の余剰資金があるのであれば、全部を投資するのではなく、
半分の50万円だけ投資をすれば、実質的にリスクは半分になります。
案外、この観点が抜け落ちている人が多いのですが、投資信託は
運用コストがかかるわけですから、できるだけ投資する金額は
小さくして、自分が目指す期待リターンを実現する方法を探すのが
最適です。
40代におすすめの投資信託ポートフォリオに組み込む銘柄は?
ポートフォリオはこれだと言うだけですと、「じゃあ何に投資をすれば
いいんだ。」ということになりかねませんので、おすすめの投資信託を
ひとつ紹介しておきましょう。
もうすでに巷で有名になっている商品ではありますが、
それは「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」です。
2019年1月末時点で、全世界の約8000銘柄に投資ができます。
そして、国別の銘柄構成はこうなっています。
図には載っていませんが、この投資信託一本で、実際は世界47か国に
分散投資ができます。
信託報酬も非常に安くなっているので、40代の方にはまさにおすすめの
1本といえるでしょう。
投資マニアの方向けにより詳細の記事を書いていますので、
詳しくファンドの内容を知りたい方はこちらを読んでみるといいと思います。
【投資マニア向け】楽天・全世界株式インデックス・ファンドの評価は?実質コストや利回りは?
まとめ
いかがでしたでしょうか?
実はこのポートフォリオは20代でもおすすめしています。私個人の意見
としては、年代にあまり関係なく、このポートフォリオが一番安定すると
思っています。
唯一変えるのは、ご自身の資産に対する投資割合だけです。40代になると
20代ほどリスクは取りたくないと思いますので、その分、投資に回さず
預金で置いておく資産を増やせばいいという話です。
寝かせておくのは勿体ないからと言って、よく調べもせず、変な投資信託に
投資をするくらいであれば、自分が自信を持てる投資信託にのみ投資をしたほうが
間違いなく良い結果がでますよ。
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点