数年前に大手の販売会社が積極的に販売したことにより、何も
知らない無知の投資家が続々と購入してしまったフィデリティ・
USリート・ファンドB。

 

私のお客様の中にも、とりあえず月々配当がもらえるなら買って
おこうということで手を出している人達が何人もいます。

 

では、実際のところ、フィデリティ・USリート・ファンドBは
どうなのでしょうか?

 

専門家の目線で詳しく解説していきます。

 

 

フィデリティ・USリート・ファンドBの基本情報

投資対象は?

まずフィデリティ・USリート・ファンドBは米国に上場している
不動産投資信託(リート)に投資を行います。

 

リートとは、多数の投資家から資金を集めて、オフィスビル、
商業施設、住宅などの様々な形態の不動産を取得・管理・
運用するファンドのことです。

 

組入業種別でみると、住宅・物流施設への投資比率が高く
なっています。

 


※引用:マンスリーレポート

 

また、組み入れ銘柄は45銘柄で、米国リート市場全体で150銘柄ほど
ありますので、3分の1程度に絞り込んでいます。

 

運用体制は?

フィデリティ・USリート・ファンドBのマザーファンドのファンド・
マネージャーのスティーブ・ビューラーは約20年の豊富なリートの
運用・調査経験を持っており、2003年から一貫して運用に携わっています。

 

経験10年以上のリート専任のアナリストチームがあり、徹底した
銘柄調査をもとに組み入れる銘柄を厳選しています。

 

調査体制としては十分な体制になっていると言えますね。

 

純資産総額は?

続いて、フィデリティ・USリート・ファンドBの純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買でき
なかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの
1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

フィデリティ・USリート・ファンドBは5400億円程度の規模があり、
未だに非常に人気のあるファンドとなっています。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

フィデリティ・USリート・ファンドBの実質コストは1.58%と
なっており、割高です。購入時手数料もかなり高めの設定なので、
そう簡単には手を出せません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.85%(税込)※上限
信託報酬 1.54%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.58%(税込)

※引用:最新運用報告書

 

フィデリティ・USリート・ファンドBよりはるかに優れたパフォーマンスの海外REIT特集

 

フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)の評価分析

基準価額をどう見る?

フィデリティ・USリート・ファンドBの直近3年間の基準価額は
35%ほど下落しています。

 

コロナショックで一番大きく下落したのはREITではないかと
思っていますが、直近の高値から40%近く下落したことで、
パフォーマンスが大きく悪化しました。

 

分配金を受け取らずに再投資をした場合の基準価額を見ても、
この3年間で積み上げてきた利益をほぼゼロの水準に戻すほど
今回のコロナショックの影響は大きかったと言えます。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

つづいてフィデリティ・USリート・ファンドBの利回りを
見てみましょう。

 

直近1年間の利回りは▲9.99%、3年平均利回りもマイナスと
なっています。

 

半年前の利回りと比べると、コロナショックの影響で、かなり
大きくパフォーマンスが悪化していることがわかります。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年1月 2020年7月
1年 24.27% ▲9.99%
3年 5.35% ▲0.85%
5年 4.15% 1.73%
10年 12.58% 10.58%

※2020年7月時点

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

フィデリティ・USリート・ファンドBは、国際RIETの特定地域カテゴリー
に属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

フィデリティ・USリート・ファンドBは、直近1年間で大きく
マイナスとなりましたが、それでも同カテゴリー内では上位20%
程度にランクインしています。

 

コロナショックで世界的にリートがダメージを受けたことが
ここからもわかります。

 

半年前から比べると、パフォーマンスは明らかに落ちましたが、
ランキングはほとんど変わっていないようです。

平均利回り(上位●%) 2020年1月 2020年7月
1年 19% 22%
3年 55% 41%
5年 31% 23%
10年 7% 7%

※2020年7月時点

 

年別のパフォーマンスは?

フィデリティ・USリート・ファンドBの年別のパフォーマンスを
見てみましょう。

 

2018年、2020年は大きくマイナスとなっていますが、それ以外の
年では、わずかながらでも着実にプラスのリターンを残しています。

 

ただ、他のカテゴリーのファンドと比較をしたときに、
パフォーマンスで劣るので、米国リートを自分のポート
フォリオに組入れるべきかは検討する必要がありそうです。

年間利回り
2020年 ▲15.28%(1-6月)
2019年 24.27%
2018年 ▲8.05%
2017年 2.31%
2016年 1.58%
2015年 3.17%
2014年 48.30%

※2020年7月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

フィデリティ・USリート・ファンドBに投資をするのであれば、
より低コストで米国リートに投資ができるインデックスファンド
とパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

 

今回は、S&P 米国RIET指数に連動するeMAXIS 米国リート
インデックスとパフォーマンスを比較しました。

 

組入られている銘柄が重なっていることから、パフォーマンス
に大きな差は見られなかったのですが、コロナショック以降、
フィデリティ・USリート・ファンドBが大きく差をつけ始め
ました。

 

やはりこういった急落相場では、アクティブファンドは銘柄を
自由に出し入れできるので、有利に働きますね。

 


※引用:モーニングスター

 

フィデリティUSリート eMAIXS 米国リート
1年 ▲9.99% ▲14.65%
3年 ▲0.85% ▲3.00%
5年 1.73%
10年 10.58%

※2020年7月時点

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

フィデリティ・USリート・ファンドBに投資をするのであれば、
同じくアクティブファンドで、米国リートに投資をしている
ファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くありません。

 

今回は、フィデリティ・USリート・ファンドBと同じく、
毎月分配型のダイワ・USリート・オープン・Bコース
新光US-RIETオープンと比較をしました。

 

直近3年間のパフォーマンスではフィデリティ・USリート・
ファンドBが一番劣ることがわかります。

 

ただし、後述しますが、5年、10年の平均利回りで見ると、
様相が少し変わってきます。

 


※引用:モーニングスター

 

フィデリティ・USリート・ファンドBは5年平均、10年平均利回り
では、他の2ファンドと比べて、パフォーマンスで上回っており、
USリートに投資をするのであれば、フィデリティ・USリート・
ファンドBでも十分であると言えます。

フィデリティUSリート ダイワUS-REIT
1年 ▲9.99% ▲9.97%
3年 ▲0.85% ▲0.22%
5年 1.73% 1.57%
10年 10.58% 9.65%

※2020年7月時点

 

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性が
あるのは知っておきたいところです。

 

標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認した
ほうがイメージがわきますね。

 

フィデリティ・USリート・ファンドBは2008年4月~2009年3月の間
に最大▲64.20%も下落しています。

 

リートはリスクが低いと思われがちですが、下落するときは大きく
下落しますので、その点は心にとめておきましょう。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲34.78%
3カ月 ▲54.31%
6カ月 ▲63.45%
12カ月 ▲64.20%

※2020年7月時点

 

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲764円 420円 ▲81%

※2019/7/22~2020/7/21



フィデリティ・USリート・ファンドBの直近1年間の
分配健全度は▲81%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

ここまで分配健全度がマイナスになるファンドも珍しいですが、
ファンドの運用がうまくいっていないにもかかわらず、高い
分配金を支払っているようなファンドだとこのような数値に
なりがちですので、注意が必要です。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金利回りは
高いので、大きな分配金を受け取ることができます。

 

ただ、ファンドの運用利回りがマイナスなので、あなたが
受け取っている分配金のほとんどはあなたが投資した資金
が戻ってきているに過ぎないということです。

 

さらに運用利回りがマイナスなので、あなたの投資元本も
そもそも目減りしています。

運用利回り 分配利回り
1年 ▲9.99% 15.14%
3年 ▲0.85%
5年 1.73%
10年 10.58%

※2020年7月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金余力は、
まだ200カ月以上ありますので、減配の心配はないと言えます。

分配金 繰越対象額 分配金余力
184期 35円 7,949円 228カ月
185期 35円 7,914円 227カ月
186期 35円 7,889円 226カ月
187期 35円 7,865円 225カ月
188期 35円 7,830円 224カ月
189期 35円 7,862円 225カ月
190期 35円 7,894円 226カ月
191期 35円 7,860円 225カ月
192期 35円 7,827円 224カ月
193期 35円 7,835円 224カ月
194期 35円 8,040円 230カ月
195期 35円  8,010円 230カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年7月時点

 

評判はどう?

直近の実績を見れば、何となく想像がつくと思いますが、
「投資に疎い老人たちをカモにしている詐欺ファンド」
「どうしようもない毎月分配型投資信託」
「即刻解約すべき」「売りつけた販売員を訴えろ」
といったかなり厳しいコメントが投稿されています。

 

そして、評判をはかる指標として月次の資金流出入額が
参考になります。

 

流出しているということは解約者が多いということなので、
評判が悪くなっているということです。

 

フィデリティ・USリート・ファンドBは、2019年の後半まで
毎月資金流出が続いて、評判は落ちていましたが、基準価額が
下落し、分配金利回りが高くなってきたことで、分配金目当て
の投資家たちの資金が流入し始めています。

 


※引用:モーニングスター

 

フィデリティ・USリート・ファンドBの評価まとめと今後の見通し

フィデリティ・USリート・ファンドBの運用体制等はベテランの
ファンドマネージャーやアナリストが揃っていますし、

 

10年間の長期で見てもしっかりカテゴリーの中で上位のパフォー
マンスを発揮できていることからも、ある程度は挽回が期待
できると思います。

 

ただ、挽回できると言っても、年利で6~7%程度だと思いますので、
分配金をすべて運用益でカバーするために必要な年利15%超での運用は
難しく、基準価額の下落、もしくは配当金の減額は避けられないでしょう。

 

毎月分配金をもらえていると、自分のファンドがどのような状況
(タコ足配当)になっているのか気づくのに遅くなりがちです。

 

毎月分配型の投資信託は今でも年金変わりの手段として非常に人気が
ありますが、毎月年金のように配当金を受け取れるという表面的な
メリットだけにフォーカスしていてはいけません。

 

銘柄の選定においては、あなたが選んだ投資信託がしっかりと
利益を上げてくれなければ、意味がありません。

 

米国リートのインデックスファンドや他の米国RIETのアクティブ
ファンドに投資をするよりは、まだ良いですが、そもそも論として、
米国リートに投資をすべきなのかは検討したほうがよいと思います。

 

毎月分配金をもらいたいのであれば、他にもっとパフォーマンスが
優れたファンドがありますし、パフォーマンスにこだわるのであれば、
あえてリートでなくても構わないと思います。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点